今日は「昔のカタログシリーズ」、もとい「昔のポスター」。伊藤産業機械さんのところで見た、1960年代のモノと思われる、メリーティラーのポスターです。
小豆色とクリーム色のツートンは当時の農機具におけるお約束なのか?
前回紹介した日の出式の耕耘機?ティラー?同様、フルカバードの美しい形です。色が褪せているのでわかりにくいですが、小豆色とクリーム色のツートンではないかと思われます。この時代、農機具といったらこの色の取り合わせ・・・という暗黙のお約束でもあったのでしょうか? そしてまた、およそ農作業とはかけ離れたファッションの妙齢の女性が佇んでいるのも共通です。
埼玉・川越 片山製作所 日の出式のハンドトラクター。ポーズをとる女性は農機お約束のチェック(かなり大きいですが)のシャツ。しかし、とても農作業はできそうもないパンプスを履いています。
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このフルカバードの耕耘機、まるっこいデザイン、ホイールキャップはデイッシュ型でめちゃめちゃ格好いいじゃないですか!!!そして色合いはこちらも褪せて判断はしにくいですが、小豆色とクリーム色のツートンではないかと思われます。
それともキカイといえばこの色の取り合わせ・・・というお約束だったのか・・・(写真はWikipediaより)
話は戻ります
そして話はちょっとぶっ飛んでしまいますが、妙齢の女性は拡大するとこんな感じ・・・「こんな帽子、どこで売ってたんだ!」という感じです。
ポスターを拡大してみると、株式會社細王舎工場 メリーティラー と書いてあります。これがメリーティラー!
メリーティラーMTG3型です。メリーティラーと言えばこんな形しか思い浮かびませんでしたが、フルカバードタイプも作っていたんですね!
細王舎やメリーティラーのお話については下のリンクを見てもらうとして・・・
『メリーティラーB型・・・「撮りトラ@土の館」』
『ステキな工具箱のメリーティラーMTB3型「撮りトラ」』
『細王舎のメリーティラーは「羊」と関係が深かった』
『メリーティラーのエンジン面白い!』
『細王舎のメリーティラーは「羊」と関係が深かった(つづき)』
なぜフルカバードのカッコいい耕耘機が多数存在しているのか?
最近読んだ井関農機の社史にこんなことが書いてありました。(引用の引用になってしまいますけど・・・)
昭和34年4月21日付け『農機具新聞』は、同月18日に本田技研工業浜松製作所で発表された新型耕耘機F150型について、次のように書き出している。
「近年の農機具業界—-というよりある意味では農機具業界はじまって依頼のトピックス・ニュースといってもよいほど業界の話題を根こそぎさらった大ニュース—-人呼んでこれを“ホンダ旋風”と称しているが、事実その呼び名にたがわず、この旋風は強風が台風へとテンポを速めて、工業界、販売業界へ吹きまくり、その猛威は際限なく全業界にひろまる一方であった」
と、農機具新聞としてはいつもこんなものだったのか、それとも最大限の衝撃を記したものなのか、およそ新聞と名のつくものでめったにお目にかかれない表現で業界の驚きを表しています。
耕耘機といったらこのようなエンジンむき出しでベルト駆動というのが常識だった時に、未来的なホンダの耕耘機が来襲したという図式ですね。これはメリーティラーB
『ホンダのテーラー/耕耘機』より。昭和34年、1959年、ホンダ耕耘機F150 展示プレートには、強制空冷4サイクル倒立2気筒OHV/排気量154cc変速機/前進6段/後進2段/常用出力/5PS/5,000rpm ホンダ初の汎用完成品。耕耘機で世界初のOHV倒立2気筒エンジンは低速重視。自動遠心クラッチとギヤ駆動採用。低重心、手元集中操作で扱いやすさを追求した。とあります。
ピカピカに磨かれた正面部分。スターターのヒモを引っ掛けるプーリーが正面に付いていて、それが不思議な、どちらかというと生物を思い起こさせるようなアクセントになっています。
確かに、このF150が工業製品だとすると、今までの耕耘機はフレームにエンジンがただ載って、ベルトでプルンプルン回すなんだか手作り感が際立ってしまいます。まさに黒船来襲!という感じですよね?
その後小豆色とクリーム色のツートンに塗られたフルカバードの耕耘機が多数できたのもうなずけます。
今日は出かけるので時間がなくなってしまいました。この続きはまた明日!
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