カタログに出てくる言葉『ネバリ・ねばり・粘り』を考える(今日はネバリ)

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今日はShioikaさんに送ってもらった、ヤンマー2条完全・全面刈り高性能乗用形ディーゼルコンバインTC750、昔のカタログシリーズ(Shioikaさん、いつもありがとうございます!)の続きを始めようと思ったら、序盤で躓いてしまいました。

よくカタログに出てくる言葉、エンジン特性や簡単に音を上げない作業特性を表す言葉「粘り強い」の表現が、時代によってメーカーによって『ネバリ・ねばり・粘り』とバラバラ。今日は方針転換。おもに「ネバリ」を見て行きます。

今日のネバリ

ヤンマー2条完全・全面刈り高性能乗用形ディーゼルコンバインTC750のカタログ見開きページで最初目に飛び込んでくる部分です。

完全・全面刈り高性能乗用形コンバイン 生脱・乾脱自由自在のハイメカニズムの脱こく部と回転ムラのないネバリ強さが自慢のヤンマーディーゼルエンジンが数々のすぐれた機構とピッタリ合って「快適な作業」を生み出します。
完全・全面刈り高性能乗用形コンバイン 生脱・乾脱自由自在のハイメカニズムの脱こく部と回転ムラのないネバリ強さが自慢のヤンマーディーゼルエンジンが数々のすぐれた機構とピッタリ合って「快適な作業」を生み出します。

稲を刈り取ってすぐ脱穀することを「生脱」、刈り取った稲を乾燥させてから脱穀することを「乾脱」というのだな・・・ということはともかく、ディーゼルに関わってカタカナに変化した「ネバリ強さ」がここでも見られます。

教科書に出てこない「ネバリ」

普段の文章や教科書では見ることのない「ネバリ」表記ですが、ことディーゼルエンジンが関わった農機のカタログではちょいちょい目にします。

なんとなく今まで紹介したカタログの中から「ネバリ」表記されているものを抜き出して見ている方と思いを共有したい感じです。

中のイラストも田植機伊吹のカタログとテイストが統一されていて好感が持てます。 ただ、カタログのテキストは「古色蒼然」といった趣。
同じくヤンマーのYM1600のカタログです。

水冷2気筒・20馬力クラスの排気量(1021cc)を持った、余力十分の強力エンジンで、ネバリ強く、どんな過酷な重負荷作業も余裕を持ってこなします。

とあります。やっぱりエンジン関係ですね!
そのカタログ自体を見たい方はこちら。

わりと古めのカタログに限って言えば、あくまでも肌感覚として「ネバリ」が一番多く、「ねばり」が次点、「粘り」はほとんど使われていない感じがします。

漢字が農機が土の抵抗に打ち勝って作業する様子と合わないのかもしれません。

そもそも「粘」という字は、穀物の粉に水を加えて練る際に指にベタベタ付く感じを表しているらしいです。(ネット情報)

農機の場合、そのような面同士の表面的接触というより腹にググッと感じる、目に見えない感覚ですから、カタログ担当者は「粘」を無意識に外してしまっている可能性があります。

僕としては「腹に感じる目に見えない感覚」を強調したい場合に「ネバリ」または「ねばり」を、さらっと流してしまうような時に「粘り」を使っているように思えます。

特に「ネバリ」は『ネバリ強い』と使う場合に「ネバリ」だけが目に飛び込んできますから、請求力が強いです。

他の「ネバリ」も見てみよう

機種も豊富です。センタードライブとサイドドライブのロータリーや油圧式の車幅調製ができる機種なんていうのもあったんですね。ここに出ているCT731は、三菱製品機種別生産年度一覧表によると、昭和43年の中頃から昭和44年の終わり、昭和45年の頭まで売られていたもののようです。つまり、1963年〜1970年ということですね。
機期待に応えるハイパワー
エンジンは定評ある三菱エンジン。タフさ、ネバリ強さは折り紙つきです。
とあります。やはりエンジン関係の記述に「ネバリ」が使われていますね。
そのカタログ自体を見たい方はこちら。

三菱多めです

ディーゼルの中のディーゼル《かつら》! 《かつら》のレトロな書体がいいです!こういうのも韻を踏むというのでしょうか・・・小見出しの最後は全部「!」で終わっています。 その小見出しのなかで目を惹くのは「ほかにないネバリ強さ!」農機のカタログでは「粘り強さ」を「ネバリ強さ」と、カタカナ表記するのはなぜなんでしょう?ネバリと書けば確かに目に飛び込んできますが、なんだかあっさりした印象で、あんまり粘らないような気がするのですが・・・
ディーゼルの中のディーゼル《かつら》! エンジンのカタログです。
ほかにないネバリ強さ!
他を圧倒する抜群のネバリ!40%もある余裕馬力と大きなトルクは、どんな作業にもヘバらず、マイペースで仕事をグングンんこなす。

カタカナ混じりの勢いのある文章。ネバリが重ねて使われています。へばらずのヘバまでカタカナです。

そのカタログ自体を見たい方はこちら。
安定した出力を誇る高性能エンジンです タフで経済的です エンジンの三菱ならではの合理化構造ですから、強度・耐久性は抜群。振動が少なく、全負荷状態での連続運転でもビクともしません。また、燃焼効率の高い子燃焼室式を採用していますから、常に高出力を保つとともに、燃料消費も少なく経済的です。 粘り強さが違います 最大トルク5.9kgmの粘り強いエンジンですから、急激に大きな抵抗が加わってもエンストを起さず、スキ耕をはじめ、どんな重作業でもラクに乗り越える根羽リヅトさを発揮します。また、ガバナには機械式ガバナを採用、どんな状態でも安定した回転を保ち、運転もスムーズです。 合理的な車速で20馬力をフルに活用します 合理的なトランスミッションですから、耕うんから運搬作業まで、最適のスピードが得られるばかりでなく、20馬力のパワーをフルに発揮することができます。 また、水温計・タコメーターを装備しており、エンジンを常にベストコンディションに保てるうえ、強力なセルスタータで厳寒時でも始動は一発、スタートから運転も快調です。
三菱R2000のカタログです。こちらもエンジン関係。

ネバリ強さが違います
最大トルク5.9kgmの粘り強いエンジンですから、急激に大きな抵抗が加わってもエンストを起さず、スキ耕をはじめ、どんな重作業でもラクに乗り越えるネバリ強さを発揮します。また、ガバナには機械式ガバナを採用、どんな状態でも安定した回転を保ち、運転もスムーズです。

三菱R2000昔のカタログの記事はこちら。
こちらは衝撃の4気筒、D2650-FDです。年表によると同じく1978年〜1980年製造(安全鑑定は1977年)となっています。
こちらは衝撃の4気筒、D2650-FDです。

衝撃の4気筒!
三菱のトラクターが生まれ変わりました。16馬力から40馬力まで、<4気筒>シリーズの完成です。

では<4気筒>はなぜいいのか?
<4気筒>はどこが違うのか?
音が違う。静かです。
振動が違う。疲れません。
パワーが違う。ネバリにネバリます。
「エンジンの三菱」が、他社に先駆けいち早く実現した自信作。
この性能、会場で実際にお試しください。
そのカタログ自体を見たい方はこちら。

三菱以外は少なく、クボタL140

クボタL140のカタログ
クボタL140のカタログです。

米つくり機械化一貫体系
その要にふさわしい豊かな内容のトラクタです


余裕タップリのエンジン性能
●単気筒立形水冷4サイクル・ディーゼルを搭載。低速時にすばらしいネバリを見せる理想のトルク。さらに特許のダイナバランサを内蔵、振動が少なく運転が快適です。
クボタL140のカタログその他の記事はこちら

クボタL3001DT

Catalog of Kubota tractor L3001DT at the time of release.北海道で見た大きな鉄車輪の クボタL3001DT、そのカタログを見せていただきました。僕が見たのは1970年代に発売され40年近く経ったものですが、その発売当時の姿を見ることができる昔のカタログは、なんだか不思議な気持をもたらします。
L3001DTのカタログです。

「静かで高出力の4気筒エンジン」
●心臓部には世界一流の技術水準をゆく、静かで振動の少ない4気筒立形水冷4サイクルディーゼルを搭載。
●湿田など過負荷のかかる作業で好評のネバリ強さを発揮します。
●寒冷時でもすばやく始動。独自の球形燃焼室は燃焼効率が高く、わずかな燃焼消費で十分な出力を発揮。故障が少なく、維持費もかからないのでとても経済的です。
L3001DTのカタログ自体の記事はこちら

クボタサンシャイン Lシリーズ

kubota tractor L-series catalog 18PS L1802/L1802DT(Doble Traction) 20PS L2002/L2002DT 22PS L2202/L2202DT 24PS L2402/L2402DT 昔のカタログシリーズ、クボタトラクター選べるカラバリのサンシャインシリーズ、18馬力のL1802/L1802DT(Doble Traction) 20馬力のL2002/L2002DT 22馬力のL2202/L2202DT 24馬力のL2402/L2402DTです。
クボタサンシャイン Lシリーズ。

エンジンやミッション、タイヤのことが書いてあります。
ずぬけた3気筒エンジンの威力
●出力当りの排気量を大きくし、低速でのトルク性能をアップさせた魅力のパワフルエンジン。湿田など過負荷のかかるところでも、余裕あるネバリ強さをみせてくれます。
そのカタログ自体を見たい方はこちら。

クボタ・アステA-17

クボタトラクターASTE(アステ)A-17カタログ
クボタ・アステA-17です。
アステのために開発されたNew TVCSエンジン搭載。低速から高速までパワフルでネバリ強く、小形とは思えないほどの実力を発揮します。

最後にシバウラ

余裕のパワー、バランス設計 4気筒ディーゼル搭載 ●4気筒1484ccの水冷ディーゼルエンジンを搭載し、小型特殊の制限内で最大のパワーを発揮します。 ●振動騒音が少なく低速でのネバリ強さが違います。 ●厳寒時でもセル一発でスタート。 経済性、耐久性も万全です。
シバウラSD3000のカタログです。
余裕のパワー、バランス設計 4気筒ディーゼル搭載 ●4気筒1484ccの水冷ディーゼルエンジンを搭載し、小型特殊の制限内で最大のパワーを発揮します。 ●振動騒音が少なく低速でのネバリ強さが違います。 ●厳寒時でもセル一発でスタート。 経済性、耐久性も万全です。
カタログ自体を見たい方はこちら。

とまあ、こんな感じです。「ネバリ」は圧倒的に三菱が多く、次がヤンマー、クボタ、シバウラの順となりました。(当社比)

エンジンメーカーとしての気概がもしかしたら「ネバリ」をチョイスする動機になっている可能性はあるかもしれませんね。

今日はこんなところです。それではまた明日!

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