農機カタログによく出てくる言葉最終回、今日は『粘り』を考える

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毎日『ネバリ・ねばり・粘り』をくだらなく考えてきましたが、今日で最終回。初期のカタログに多く見られる「粘り」です。

一番普通でまっとうな書き方なのに、探してみるとカタログ表現の中では一番少ないのでした。

ネバリ・ねばり・粘り・・・今まで見てきたわずかなサンプルの中で、なんとか結論じみたものを考えてみたいと思います。

「強い」を修飾して「粘り強い」「粘り強さ」と、ひとまとまりに使う用法

新設計の水冷4サイクルディーゼル採用 ■小型ながら本格的なトラクタL13GR様として特に設計しました。トラクタ用としては最高に軽く、世界二も誇りうる高性能ディーゼルです。 ■クボタ独自の休憩燃焼室を採用していますから燃焼効率が高く、燃料の消費も少なくてすみます。 ■機関各部は、オール密閉式で、代かきの際に泥水がかかっても平気です。 ■寒冷時でも始動性がよく、低速でのトルクが大きい、粘り強く強力なディーゼルです。 ■エンジンと車体は直結していますから、ベルト駆動よりも動力の伝達効率が良好です。
クボタL13GRのカタログです。
■機関各部は、オール密閉式で、代かきの際に泥水がかかっても平気です。
■寒冷時でも始動性がよく、低速でのトルクが大きい、粘り強く強力なディーゼルです。

★車体 名称 L13GR 形式 農耕用小型特殊自動車 全長 3,350ミリ 全幅 1,300ミリ 全高(ハンドルまで) 1,240ミリ 軸距 1.310ミリ 最低地上高 有効415ミリ 軸距(前輪) 790ミリ 軸距(後輪) 780ミリ・930ミリ タイヤ(前輪) 7.00-12 タイヤ(後輪) 7-24 重量 825キロ 三点リンク カテゴリー0の・・・(後読めず) 変速段数 前進6段 後進2段 主クラッチ 乾式単板 駆動方式 後輪駆動 差動方式 デファレンシャルギア方式 制動装置 一系統左右独立(連結装置つき)・・・(後読めず) 作業機昇降装置 油圧式 最小回転半径 1.6メートル PTO 規格DINSAE・・・(後読めず) ロータリ耕幅 1.120ミリ・・・(後読めず) ★エンジン 名称 E650B 形式 立形水冷4サイクルディーゼル シリンダ内径×行程 95×90ミリ シリンダ数 1 総行程容積 637cc 出力 13馬力 2,800回転・・・(後読めず) 使用燃料 クボタディーゼル重油または・・・(後読めず) 燃料タンク容量 14.5ℓ 潤滑形式 ギヤポンプ全自動圧送式 冷却方式 加圧ラジエター式 始動方式 セルスターター式 ★速度 前進1速 1.02キロメートル/時 前進2速 1.58 前進3速 2.48 前進4速 3.85 前進5速 6.06 前進6速 14.74 後進1速 1.56 後進2速 3.80 ★車体 名称 L170R 形式 農用四輪トラクタ 全長 2,220ミリ 全幅 1,100ミリ 全高(ハンドルまで) 1,300ミリ 軸距 1.380ミリ 最低地上高 332ミリ 軸距(前輪) 920・1,080ミリ 軸距(後輪) 880ミリ・1,100ミリ タイヤ(前輪) 4.00-15 タイヤ(後輪) 8.3/8-24 重量 800キロ(ロータリなし)・980キロ(ロータリつき) 三点リンク カテゴリー1(三点リンクは特別装備品) 変速段数 前進6段 後進2段 主クラッチ 乾式単板式 駆動方式 後輪駆動 差動方式 デファレンシャルギア式(デフロックつき) 制動装置 一系統左右独立(連結装置つき) かじ取り装置 ボールスクリュー式 作業機昇降装置 油圧式 最小回転半径 1.7メートル PTO 規格DIN,SAE規格1 3/8(インチ) ロータリ 1.360ミリ(約4.5尺)延長1.560ミリ(約5.2尺) ★エンジン 名称 E800 形式 立形水冷4サイクルディーゼル シリンダ内径×行程 102×960ミリ シリンダ数 1 総行程容積 784cc 出力 17馬力 2,800回転/分 燃焼室形式 球形燃焼室式 使用燃料 クボタディーゼル重油またはディーゼル軽油 燃料タンク容量 21ℓ 潤滑形式 トロコイドポンプによる強制圧送式 始動方式 セルスターター式 ★速度 前進1速 1.02キロメートル/時 前進2速 1.57 前進3速 2.48 前進4速 3.86 前進5速 6.06 前進6速 14.8 後進1速 1.56 後進2速 3.80
クボタトラクターL170Rのカタログです。
◯◯作業にぴったりの超軽量ディーゼル
■◯◯な湿地でもフルに性能を発揮する超軽量、超小型、◯◯ディーゼルを搭載しました。低速回転での粘りが強◯◯抜群です。
クボタトラクター最初のL型、L13GR、L170Rカタログ記事はこちら

クボタトラクターL200カタログ。上のL140と顔は一緒です。エンジンはZ1100型エンジン 立形直列2気筒4サイクルディーゼル 1,070cc 20馬力/2700rpmと、2気筒になっています。
クボタトラクターL200のカタログです。
20馬力の超軽量ディーゼルを搭載
●湿田でも力いっぱいの作業ができるように、超軽量、超小型の強力ディーゼルを搭載しています。低速回転での粘り強さは抜群です。
クボタL200Rの記事はこちら。L140が全面に来ていますが、L200Rのカタログと同時掲載です。

「粘り」と単独で使う用法

HINOMOTO E25 TRACTOR CATALOG 日の本トラクター ベストE25 カタログ
日の本ベストE25ディーゼルカタログです。
(自社製)「強力25馬力水冷ディーゼルエンジン」 1346ccという大排気量によるトルクが強大なエンジンを、2500rpmの中速回転にしているので、余裕があり、作業時の粘りは驚くほどです。 回転部を完全に覆うファンベルトカバーで安全です。
昔のトラクターカタログ、日の本トラクター「ベストE25」のカタログ記事はこちら

佐藤造機(三菱農機)のSATO TRACTOR ST-4000 サトートラクターST-4000のカタログ。2084ccで40PS
サトートラクターST-4000カタログです。
●豪快40馬力、静かな4気筒エンジン。過酷な作業も業力な粘りであと押し。
●前進18段・後退6段、P.T.O独立4段が、あらゆる作業にマッチ。
●手もと集中の快適な操縦機能。疲れ知らずの居住性。徹底した安全設計。
サトートラクターST-4000カタログと実写のサトーKUMIAI ST-4000D「撮りトラ」記事はこちら。

「粘り強い」「粘り強さ」と使うのは比較的古いカタログで。「粘りは驚くほど」「粘りであと押し」などと「粘り」を単独で使うタイプは比較的新しいカタログです。

カタカナの「ネバリ」表現は、古いものから新しいものまでまんべんなく見られ、用法としては「粘り」の場合と同じように、「ネバリ強い」「ネバリ強さ」の他に、エクストラ表現として「他を圧倒する抜群のネバリ!!」「ネバリにネバリます」などがありました。

おもしろかったのは「ねばり」で、すべてのカタログが「ねばり強い」「ねばり強さ」表現でした。「抜群のねばり」とか「ねばりにねばります」、「ねばりは驚くほど」「ねばりであと押し」などのエクストラ表現はなかったのです。ねばねば・ネバネバ糸を引いちゃいそうで敬遠されたのでしょうか?

結論らしきもの

やはり「ネバリ」は発明だったのだと思います。昔、カタログは写真少しで文章ズラズラと書き並べるものでした。ですから普通に「粘り強い」または「ねばり強い」と書いていてもよかったのです。

しかし、印刷技術が向上して美しい写真で消費者の目を惹くことができるようになると、必然的に文章のスペースは小さくなります。そうなると少ない文字で文章のほうも写真に対抗しなくてはなりません。単語一つ一つ、文字の並べ方1つが重要になってきたのです。(断言しちゃってますが、あくまでも想像、妄想です)

そこで粘り1つで注目を集めようという「ネバリ」です。やっぱり従来の「粘り」を「ネバリ」とすれば、そこで流れる目が止まりますよね?

「ネバリ」はカタログ上の発明なのだと思います。刺激は慣れると刺激でなくなる。ですから「他を圧倒する抜群のネバリ!!」「ネバリにネバリます」などの刺激的表現が出てきた・・・そんなところではないかと思います。

競争って色々なところで発明を生むんですね。そういえば機械に「さなえ」のように、名前・愛称を付けてしまうのも劇的な発明です。

さなえで始まり、他社も追従した愛称化。愛称が増えれば増えるほど埋没します。きっとイセキは・・・
しかし、発明はすぐに追従されてしまい、陳腐化してしまうんですよねぇ・・・更なる刺激が必要になって「強力さなえちゃん」とか「スーパーさなえちゃん」などとインフレ化が進み、煮詰まったところでまた発明・・・の繰り返しになるんですよね!

今日はこんなところです。また明日!

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