やっぱりヰセキで売ってたんだ!イセキでは1973年発売、日の本のMB-1100

今日は以前ネットで見かけて「?」となっていたイセキカラーの日の本MB1100、何気なく見た井関農機の社史に「MB1100の供給を受け」という記述を見つけて「本当にあったんだ!」と、確認した・・・というお話です。「ネットの写真で撮りトラ」ですね!

問題の写真

ネットで探しても写真は2枚しか見つからない貴重品

ネットで探してもMB1100の写真は数枚しか見つからない貴重品。これが問題の写真です。

なんとイセキのMB-1100!イセキにOEMしていたのでしょうか?
『なんとイセキのMB-1100!イセキにOEMしていたのでしょうか?』と、発見当時は「?」で終っていたのでした。
今探しても小さな写真しか見つかりません。
今探しても小さな写真しか見つかりません。

MB1100はこんなトラクター

かなり前にずいぶん日の本のMB1100を紹介しています。過去の記事を並べます。

今日は「昔のトラクターカタログ」シリーズ、日の本“ラクトラ”MB1100です。
タイトルは大きく「ラクトラ」沈下橋に日の本とともに佇む若いカップルが時代を感じさせます。当時の人たち(失礼な表現になっているかも)がこのようなカッコで農業をしていたのかどうかわかりませんが、ものすごい肯定感というか明るい未来というか・・・いいなあ。
MB1100のカタログ詳細はこちら。
この当時はいつのものかわかりませんでしたが、今は自分の中の情報の蓄積で色々なことがわかってきています。
エンジンは愛知機械工業が作っていたのですって。
日の本の取説を見つけた話。
耕うん機並みの価格で乗用のトラクターが買える・・・というコンセプト。

井関の社史にあった記述です

イセキの社史「井関農機60年史」を何気なく見ていて見つけた記述です。少し長くなりますが、引用します。

 農業人口の現象と労働力の高齢化・女性化が進む中で、昭和40年代後半には、15馬力以下の小型トラクタを求める市場の要望が無視できなくなってきた。当社は40年に開発したTR1型乗用耕耘機に続けて、40年に「TM1200型」「TB1400型」を生産、販売し小型トラクタの需要に応えたが、40年代後半を迎えるとそのままでは通用しなくなり、改良を迫られていた。
 しかし、前述のように、中型トラクタTSシリーズの開発に技術陣の総力をかけていたから、小型トラクタを自社開発する余力がなく、したがって、この分野は他社の製品に依存して市場を維持することとし、大阪の東洋社から11馬力の小型トラクタ「MB1100型」の供給を受け、48年6月からOEM商品として販売を開始した。

「井関農機60年史」179p

こうありました。70年代にどこのメーカーも大きいのから小さいのまでやたら商品の種類が増えました。だからといって全部自社で揃えたわけではなく、このように足りない分を他社から補っていたというわけですね。

きっと、販売店がお客さんから「もっと小さいのはないの?」「もっと便利なものはないの?」と言われ、それが製造会社に上がってきたのでしょうね。

殺し文句は「他社にはあるのに」でしょう。「市場の維持」という社史の中の言葉にそれがよく表れているような気がします。

純粋な意味での市場の維持だとしたら、他社の製品で小型トラクターの市場は維持されているわけで、この場合の市場の維持とは「自分の畑」・・・「自分の畑の維持」という意味でしょうから。

結局は自分で作ったそう

イセキは当時、小型トラクター分野の市場を日の本からの供給でしのごうと考えたのでしょうが、その頃の11馬力クラスには既にブルトラB6000が既に存在していました。

また、年を重ねて三菱のD1300、ヤンマーのYM1300なども本格的な四駆も出てきました。

尻に火がついてTX1000を作ったそうです。11馬力なのでちょうどMB1100の後継という形になりますよね!

TX1000/TX1000F

四駆がTX1000F
ネットで写真を探してきました。四駆がTX1000F
同じくネットで探してきました。二駆がTX1000という型番になるみたいです。
同じくネットで探してきました。二駆がTX1000という型番になるみたいです。
海外のサイトで見つけた写真。「耕二」のロゴが逆さまなのがそれらしいです。日本人だったら気になっちゃいますよね?
海外のサイトで見つけた写真。「耕二」のロゴが逆さまなのがそれらしいです。日本人だったら気になっちゃいますよね?

イセキのサイトにはカタログがありました

そのカタログでTX1000の運輸省型式認定番号が農1005、そしてTX1000Fが農1006とわかってしまいました。

早速データシートに記入してみます

これを見ると社史にあったように、他社の本格的四輪駆動の小型トラクターとしては運輸省型式認定番号が1000番台ともっとも後発なことがわかります。
これを見ると社史にあったように、本格的四輪駆動の小型トラクターとしては運輸省型式認定番号が1000番台と、もっとも後発なことがわかります。

年表も作ってみます。

こうなります。
こうなります。ついでに今間で作った年表も並べて見ると・・・
ヤンマーも同じ頃、たくさんトラクターを出しています。きっとイセキと同じようにリソースの配分に苦労したと思います。イセキにとってのMB1100にあたる機種がこの中にもあったはず。
ヤンマーも同じ頃、たくさんトラクターを出しています。きっとイセキと同じようにリソースの配分に苦労したと思います。イセキにとってのMB1100にあたる機種がこの中にもあったはず。それがシバウラから供給を受けたS30Aなのかもしれません。
三菱年表の旅はまだまだ続きます。いつもつまらないことにお付合いいただきありがとうございます!
三菱の場合はデータが少なすぎてまだMB1100にあたるものがどれかわかりませんね。

どこかが商品のラインナップを充実させると、他社も何が何でも同じことをする・・・クルマでも同じような様子ですよね?

これって、世界中どこでもそうなのでしょうか・・・気になります。

今日はこんなところです。また明日!

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