以前ISDE(1913年に始まった古いオフロードバイク競技、International Six Days Enduro)帰りのお友達からお土産に貰った古いトラクターの雑誌です。外国にはこういう雑誌があるっていう事がすごいです。(僕はあまり外に出歩かないから気がつかないだけで、もしかしたら日本にもあるかもしれませんが)今日はこの雑誌の中で一番目についたトラクターの事を少し・・・もし、生まれて一番最初にこのトラクターを見たら、誰もがきっと好きになってしまうであろうというトラクターです。
初めて受けた衝撃TB23
それまで当然トラクターというものがあるとは知っていましたが、初めてはっきりとトラクターというものを意識したというか「見た」というのは、今から8年前のこのトラクター、イセキポルシェTB23でした。それ以来ずいぶんはまり込んでしまったのですが、たくさんトラクターを「見る」ようになっても、一番好きなのはやっぱりこのポルシェ。まるでタマゴから孵ったヒナが一番初めに目にしたものを親だと思うみたなものです。ポルシェとどこか同じテイストがあるのか、もしSFV Vierzon super 203を一番先に目にしていたら、これを一番好きになったろうなぁ・・・そんな感じなんです。
SFV Vierzon super 203
前置きが長くなってしまいました。雑誌の中で衝撃を受けたのはこのページです。フランス語は全然わからないのでグーグル先生に聞きながら見てみると、SFV Vierzon super 203は1958年〜1959年、スタンダードタイプがプジョー4気筒1290ccガソリンエンジン18馬力(1958年)20馬力(1959年)DタイプがドイツのNormagが提供する2ストロークディーゼル単気筒エンジンを搭載していました。電気的にトップリンクを動かすファーガソン・システム的な機構を持っていたようです。(多分)「これのどこに衝撃を?」と言われれば、やはりそのスタイリングでしょう。1958年〜1959年というと、ストリームライン流行の終わりぐらいなのでしょうか?日の出ハンドトラクターとか、レイモンド・ローウィさんのファモールとか、きっとポルシェ・トラクターなどもその影響を受けていますよね? 「遅くても、走らなくても流線型」と言う時代のものになぜか惹かれてしまいます。
工夫好き鍛冶屋さんと機械好き農家、工夫好き大工さんと機械好き農家、農業機械メーカーはいつモこのようななところから始まりますが、SFVも大工修行をした息子と小農の父親のお悩み解決から始まります。セレスティン・ジェラールさんという人が、父親のために脱穀機を作り、1825年に起こした小さな会社。その会社は蒸気機関を経て1930年代からトラクター製造を始めます。それからわずか30年、ラインナップで15〜16ラインのトラクターを出してCASEに売られ、1960年にはSFVという会社はなくなってしまいます。そのトラクターラインナップの中で最後の輝きを放っていたのが前述のSFV Vierzon super 203というわけです。
ノルマーグの2スト単気筒エンジンは空冷のようですね。こちらはディーゼルエンジンのSFV Vierzon super 203Dでしょうか。やれた感じもまた良いです。
左はディーゼルエンジンのSFV Vierzon super 203D、右はガソリンのはディーゼルエンジンのSFV Vierzon super 203S(スタンダード)なのでしょう。
エンジンフードはプラスチック!
左はディーゼルエンジンのSFV Vierzon super 203にはS、D、Eの3タイプあって、これは203Eだそうです。Eタイプはぶどう畑で使われるsmalspoorのようなタイプ。エンジンはディーゼルのようですね。この特徴的なストリームラインのエンジンフードですが、先日のFORDのオデコのようなFRPかどうかはわかりませんが、なんとプラスチックなのだそうです! これがアルミの叩き出しだったらもっとファンが増えたと思うのですけどね!