細王舎のメリーティラーは「羊」と関係が深かった(つづき)

hokkaidoujinさんに連れて行ってもらった私設博物館で見た、メリーティラーMTG3型を調べていたらめんどくさい話になりました。

昨日はつんのめっていたのできっとわかりにくかったと思います。一晩経った頭で整理をしてみますね。

 

  • メリーティラーが日本に普及しだしたのは1950年代である
  • メリーティラーは(株)細王舎という川崎市の会社で作っていた
  • メリーティラーは日本製だけどアメリカの技術が導入されていた
  • しかし、メリーティラーがアメリカで生まれたという明確な記述はWEB上でまだ見つけられていない
  • メリーティラーは「1950年代後半にイギリス・バーミンガムのウォレスリー・シープ・シャーリング・マシン社によって作られていた」という記述を見つけた。
  • ウォレスリー・シープ・シャーリング・マシン社は1887年に創業された羊の毛を刈る機械を扱う会社で、現在でもロンドン証券取引市場に上場している。
  • そのウォレスリー・シープ・シャーリング・マシン社から派生したウォレスリー・モーター社という自動車会社があった。
  • ウォレスリー・モーター社は1914年に旧石川島重工業とライセンス提携を結んでいた。
  • メリーティラーシバウラのエンジンが搭載されたのは、そのような経緯があった所為だと考えることはできないか?
  • ウォレスリー・モーター社は1950年代にはすでにブリッティッシュ・モーター・コーポレーションの一員だった。
  • ブリッティッシュ・モーター・コーポレーションはウォレスリーの他にオースチンやMG、モーリスなどのブランドを抱えていた。
  • ブリッティッシュ・モーター・コーポレーションはナフィールドユニバーサル(トラクター)のナフィールド(戦車も作っていた!)も関係が深い

 

だいたいこんなところでしょうか・・・

今日はまずこれから。

「メリーさんの羊」という歌があります。もし羊といえば「メリーさん」というのがどこかで定着していたのなら、羊の毛を刈る機械を扱う会社が作ったティラーに「メリーさん」の名前をつける理由になりそうと考えて、まず歌詞を調べてみました。

Wikipediaによると・・・

 

メリーさんのひつじ(Mary Had a Little Lamb)は、19世紀のアメリカ合衆国に起源を持つ英語の童謡(ナーサリーライム、マザー・グース)である。

曲名は「メリさんの羊」とも表記される。

1.

  Mary had a little lamb
  Little lamb, little lamb,
  Mary had a little lamb
  Its fleece was white as snow.

2.

  Ev'rywhere that Mary went,
  Mary went, Mary went,
  Ev'rywhere that Mary went,
  The Lamb was sure to go.

3.

  It followed her to school one day,
  School one day, school one day,
  It followed her to school one day,
  Which was against the rule.

4.

  It made the children laugh and play,
  Laugh and play, laugh and play,
  It made the children laugh and play,
  To see a lamb at school.

 

なーんだ・・・メリーさんの羊はMaryさんで、メリーティラーはmerryさん・・・直接的に関係はなかったんだ・・・

 

気を取り直して先に進みます。

 

川崎市のWEBページにあったもののよううですが、今はリニューアルされて削除されてしまったみたいです。WEB上のアーカイブに残っていました。
川崎市のWEBページにあったもののよううですが、今はリニューアルされて削除されてしまったみたいです。WEB上のアーカイブに残っていました。

 

字が小さいので文字ベースで引用してみます。

 

メリーティラー

細王舎は、昭和28年に米国メリーテーラー社と技術提携を行い、小型では日本初の空冷エンジン搭載の耕運機を、在来品の3分の1の価格で販売開始しました。商品名を「メリーテーラー」と言い、非常に軽量コンパクトにつくられており、また、故障も少なかったので、たちまち、農家の必需品となり、メリーテーラーは耕運機の代名詞ともなりました。小型ティラーでは唯一の機種で全国各地の農家で重宝な機械として人気が高かったということです。プラウ、砕土機、トレーラー、代掻きなどの作業機があり付け替えて使用していました。プーリーは脱殼機などベルト駆動の機械を動かすのに利用していました。展示されているものは、メリーテーラーB、3型、シバウラ3馬力、(株)細王舎製(川崎市高石) 専売特許取得したもので、特別通産大臣賞受賞したものです。

 

米国メリーテーラー社とありますね!

 

更に調べてみると、Wolseley Merry Tiller, Atcoというサイトを見つけました。それによれば・・・

 

メリーティラーは1947年にアメリカはワシントン州のクレイトン・メリーさんによって設計され、アメリカでは当初の設計そのままに長い間作られた。

イギリスではウォレスリー・シープ・シャーリング・マシン社が生産していて、色々なタイプが作られた。それは1980年代に製造権がATCOという会社に売却されるまで続いた。

 

そしてリンクを辿っていくと、メリーティラーは1991年にMacKissic Inc.というアメリカの会社に買収されたようで、現在も売られています。(かたちは全く違いますが)

 

 

別物ですねー!
別物ですねー!

 

大分はっきりしてきました。もう一度整理するとこういうことになります。

 

  • メリーティラーはアメリカのClayton Merryによって1947年に設計された
  • アメリカでは製造者は色々変わったが現在も売られている
  • 日本では(株)細王舎が製造販売権を取得して1953年に販売を始めた
  • イギリスでは1950年代後半にウォレスリー・シープ・シャーリング・マシン社製造販売権を取得し、それは1980年代まで続いた。
  • メリーティラーは「メリーさんの羊」とは関係ない

 

こんな感じでしょうか。

 

最後に色々写真を見つけたので載っけておきます。

 

あ!まずメリーティラーB 3型の写真。どうも数字はエンジンの馬力を表すらしい。
あ!まずメリーティラーB 3型の写真。どうも数字はエンジンの馬力を表すらしい。

 

とにかく一番気に入ったのは荷車を引く姿。これいいなあ・・・
とにかく一番気に入ったのは荷車を引く姿。これいいなあ・・・

 

荷車の取っ手部分がレールになっていてそこにハマったメリーティラーがクルクル回るんですね!
荷車の取っ手部分がレールになっていてそこにハマったメリーティラーがクルクル回るんですね!

 

シンプルな形です。日本のはこうじゃないですよね?確か1点で繋がれていたはず。
シンプルな形です。日本のはこうじゃないですよね?確か1点で繋がれていたはず。

 

確かにこれならどこに人が乗っても、荷物が多くても少なくても姿勢が変わらないですよね・・・
確かにこれならどこに人が乗っても、荷物が多くても少なくても姿勢が変わらないですよね・・・

 

そのかわりハンドルが重くなったり軽くなったりするのか・・・
そのかわりハンドルが重くなったり軽くなったりするのか・・・

 

この発想、日本(もとい、僕には)にはなかったかも・・・おもしろいなあ。

 

今日はこれでおしまいです。また明日!

上の記事とゆるく関連しているほかの記事:

“細王舎のメリーティラーは「羊」と関係が深かった(つづき)” への4件の返信

  1. 福家さん、情報ありがとうございます!
    川辺産業と細王社が繋がっていたなんてすごい情報です
    今何かに使えるわけではありませんが、きっと後で役に立つと思います
    ありがとうございました

  2. はるか以前に聞いた事有り 川辺農研産業 川辺久男さんが 細王社で メリーテイラーを設計したか、作ったかと聞いた確かな記憶有ります かって川辺さんのトレンチヤー使用してました

  3. 山葵さん おはようございます
    確かにターレットみたいですね!
    ターレットも不思議な発想の機械です
    日本発祥のものなのでしょうか?それとも
    こんな発想のイギリスでしょうか・・・

    輪っかの抵抗もキツそうですからハンドルは重そうです。
    向こうの人は腕だって丸太みたいで力もあるでしょうから関係ないのでしょうねぇ

  4. この運搬車って、ターレットトラックのご先祖様みたいですね!
    駆動輪が2個あるので旋回する時はハンドルが重そうですね
    タイヤを一つだけにしてループ状のハンドルにして座席を取り付けたり
    立ち乗りし易いプラットホームを取り付けたのが市場で活躍している
    おなじみのあのマシンです

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