
もう実機は見られないであろう運輸省型式の若い番号の古い農機を本や雑誌から探している「朝1分の農機考古学」。今朝は1984年富士重工業三十年史の記事と、ネットオークションのエンジンの写真とキャプションから1960年型式認定ロビンC521です。C521は富士重工最初の本格的耕うん機でなぜか翌年にロビンT4と改名され、1965年に生産中止されるまで6万台以上生産されたベストセラーでした。
(1) ロビントラクターT 4型
昭和28年,富士工業(三鷹工場で東農式動カカルチベーターを開発した。数十台を生産したのみであったが、当社関係で農業用トラクターを手がけた最初であった。
30年代にはいると,農作業は急速に機械化の兆しをみせ,大手農機メーカーは総合農機メーカーを目指して量産体制を整えつつあった。そこで当社は,自社製二輪トラクターの開発に着手し,新分野への進出を図った。
34年12月に,富士発動機株のエンジンと富士機械株のミッションを搭載したC 521型トラクターを完成し,翌年2月に,「ロピントラクターT 4型」として発売した。
1984年富士重工業三十年史
なんと!C521はT4だったのです。T4なら以前収集したことがあるのでどんな姿をしているかわかります。

資料によればロビンT4は別の運輸省型式認定番号を持っているもののC521と同スペックでした。社史にも書かれているように販売上の理由からか「ただ名前を変えた」だけのようです。しかし、それは当たりだったようで富士重工業三十年史にはこう書かれています。
(2) 耕運機ブーム
当社は,耕運機メーカーとして後発であり、T 4型を発売したものの,当初その売れ行きが心配された。しかし、ロビントラクターは,人間工学を重視した斬新なデザインと,操作性の良さに加えて,時代にマッチした営業施策により,予想以上の販売実をあげることができた。ロビントラクターT 4型は,昭和40年11月に生産を中止するまで6万170台を生産した。
1984年富士重工業三十年史
よかったですねぇ!

運輸省型式認定番号 農237号
ロビン T4型
となっています。エンジンはC521と同じく168ccのロビンKH-13型でした。何も変わらないのに心機一転、翌年に認定を取り直しているのです。面白いですね!
『農機の運輸省型式認定番号一覧表』に追記しました
『農機の運輸省型式認定番号一覧表』を固定ページで公開しました。一番上のメニューから入れるようにしています。これから新しく運輸省型式認定番号を発見するたびに追記することにします。
(ほぼ同時に英語版の一覧表も公開しています)← Click here for the English version.
追記:今まで一部の環境ではテキストが読めなかったということがわかったので修正しました。スマホでも読めるようになったと思うのですが、もし読めない場合はコメント欄でもメールでも構いませんので連絡をください。お願いします!
今朝はずっと気になっていた疑問というか、見えなかったものが見えるようになりとてもスッキリしています。それではまた明日!