休みの日は見に来る人も少ないので今日は趣向を変えて・・・国立科学博物館で開催されていた、明治150年記念、日本を変えた千の技術博という特別展で見たものいろいろ・・・その20です。
この展示の図録92Pには、もう少し詳しく辻本博士の魚の脂への取組みが書かれています。彼は日本の油脂工業を発展させるために基礎的な研究が重要と考え、油脂の成分分析を精力的に行なっていたそうです。
1906(明治39)年に「黒子鮫」の肝油中に炭化水素を発見し、1916(大正5)年にはその化学式をC₃₀H₅₀と決定して「スクアレン」と命名。これは世界に先駆けた油脂研究でした。スクアレンは、コレステロールやステロイドホルモンの前駆物質として生物化学的に重要で、最近は健康食品や化粧品などにも添加されることがあります。辻本はその他にも「マッコウ酸」や「イワシ酸」などを発見。
と書かれていました。科学者は(この場合は化学者?)一番最初の発見の感動で、芋づる式に興味がわいちゃうのでしょう。サメはこうだったのなら、マッコウクジラは?イワシは?と、次々と辿って行く様が想像できます。
しかし、スクアレンほどインパクトがなかったのか、ネーミングはマッコウクジラの酸だからマッコウ酸、イワシの酸だからイワシ酸・・・と感動の感じられないテキトーなものとなっています。
そもそもアズレンってなに?と調べてみるとWikipediaにこうありました。
アズレン (azulene) は10個の炭素原子と8個の水素原子からなる炭化水素で、ナフタレンの構造異性体にあたる。分子式は C10H8、分子量 128.17、融点 99–100 ℃、沸点 242 ℃。ナフタレンのような特有のにおいを持つ、代表的な非ベンゼン系芳香族化合物である。
あ!そういうことか!ナフタレンもアズレンも同じ C10H8で、ナフタレンは6角形が2つくっついたような形、アズレンは7角形と5角形がくっついた形なんだ!
なるほど〜・・・と言っても、「だから何?」となっちゃいますよねぇ・・・一般人には・・・基礎研究ってその時点では知の欲求を満たすだけだから、対外的に難しいです。
とはいってもこうやってネットで調べると出てくるというのは、結局前回に登場した眞島先生や野副、辻本先生のおかげなのですよね。ありがとうございます。
今日はこんなところです。次回はもう少しおもしろいかもしれません。また明日!
上の記事とゆるく関連しているほかの記事:
雲野さん おはようございます
アズレンと周期律表に誘われちゃいましたね
「産業技術史資料データベース」役に立ちましたか?
農機のほうはデータが少ないのと偏りがあるので
あまり見るものがないような気がしました
こういうデータベースはこだわりのある人を雇って是非充実させてもらいたいですよね
国立科学博物館の思い出は、なんといっても現物勝負の周期律表でしたよ。子供心に、これは分かりやすいぞ(!)と感じた記憶。それから大昔と昔で、更新されて良くなったような悪くなったような…記憶がうすれています。いずれまたゆっくり行って確認してみたいです。
ところで、数年前に仕事の一環での調査で国立科学博物館によるデータベースがとても役に立ちましたよ。「産業技術史資料データベース」っていう。「どこが何を何年に」を記録してあるので長期的な経過を事実関係で整理できました。ただ、コメントについては中の人として?な部分も、それがちょっと残念。関心あれば参照してみてください。