毎日内容はその日の気分で朝決めています。今日の気分はなぜか北海道の私設博物館で見た、業界初のバインダー(本人は動力稲刈結束機と言っています)ヰセキRH10型です。
農機の広告や社史などでは業界初という言葉がよく出てきます。この「業界初」、辞書などでは『同じ業種や同じ商品を扱う企業らの中で初めて行うこと。新しい商品やサービスの提供などを指すことが多い。 』とありますけど、どうして日本初とか世界初、人類初じゃないんでしょう・・・
ホントは人類初(日本の業界初ならきっと人類初ですよねぇ)なのに、ちょっと日本人的に控えめに小さなサークルの中の表現にとどめているのかもしれませんね。
昔のカタログなんかどうせ、「ムクムクローラーで安心」などと、よく考えたらどういうことかわからない表現を多用してるんですから、業界初などと一歩も二歩も引かないで堂々と「人類初」と謳っちゃえばいいのに・・・などと朝から考えてます。


現在保存されている所なし。珍品
と書いてあるのが微笑ましいです。

良く見ると一輪車のタイヤじゃないですか!これでは自走できません。手押し式になってしまいます。ベアリングが入っているので、いくら車軸を駆動しても軸だけ回ってタイヤが回らないからです。動力稲刈だけど、動力はバリカンと結束だけ。機械自体は人力で押す・・・ということなのでしょうか???

井関農機の社史、「井関農機60年史」140Pから写真を引っぱってきました。これを見る限りタイヤホイールはオリジナルとは違います。
表4-4 RH10型の仕様概要
全長×全幅×全高(mm) 1270×500×820
重量(kg) 53
作業能率(分/10a) 180〜240
とありました。

たまたま後ろからの写真を撮っていました。これだけじゃよくわからないですけど、もしかしたら車軸のタイヤ側、薄いケースの中にギアとチェーンが入っていれば車軸は駆動できたかもしれません。しかしまだ手押し疑惑は残ったままです。あ!麻ひもが巻かれているドラムは半自動溶接機の溶接ワイヤのドラムですね! 良く見ると上のオリジナルと違うように見えます。一輪車のタイヤや半自動溶接機の溶接ワイヤのドラムなど、身近にあるものを上手に使ってレストアしています。

銘板も撮ってあったのでうが、ぼけぼけで全く読めませんでした。残念。
この動力稲刈結束機RH10型に対する記述が先の「井関農機60年史」140Pにありますので引用しておきます。(ただ、手押し疑惑についてはここでも解決しないんですけどね)
ところが、30年代の後半に入ると、農村から都市への人口流失がますます激しくなり、省力化機械への要請が高まるなかで、刈取機についてもより高能率製品の開発が望まれるようになった。そこで当社は、稲刈結束機の動力化に着手、39年に業界初の動力結束機「RH10型」を完成し、40年から生産、販売を開始した
とあります。人類初の動力稲刈結束機は昭和40年、1965年生まれなんですね!
日本で最初の自脱型コンバイン、つまりは人類初の自脱型コンバインはヰセキでした
せっかくなので僕が無責任に人類初宣言しちゃいます。人類初の動力稲刈結束機も自脱型コンバインもヰセキでした。


今日はこんな所です。また明日!