今日は「田植機考古学」。hokkaidoujinさんの案内で行った私設博物館の中で見た歩行型で、苗と顔を合わせながら植えるような形、三菱の古い田植機(キャプションによれば1972年【昭和47年】)のnewすくすく号です。
田植機 マット苗
三菱田植機すくすく号
田植機の始まり 昭和47年
と書いてあります。
なぜか昔の歩行型の田植機は今とは逆で、苗とにらめっこしながら歩く方式になっています。この方式を苗対面型(仮)と呼ぶことにします。今回のミッションではこいつの型式を推定してみようと思います。
拡大すると「new すくすく号」と書いてあるのがわかります。「す」の文字の頭が稲の葉っぱになっているのがかわいいです。それから機首のほうには大きなCの文字。これは謎でよくわかりませんでした。
このずっと後の「すくすく号」は青いですが・・・
名前はいつの間にかnewが取れてただの「すくすく号」。ということはどういうわけだか「すくすく号」(初代)→「new すくすく号」→「すくすく号」という変遷を辿ったものと考えられます。
クボタの歩行型田植機SPS-4000も同じ苗対面型。1970年代初頭のものと思われ、この形が当時の主流だったことがわかります。
その機首はユニークな形をしています大抵の田植機はエンジンが横置き(ベルト駆動?)なのに、この田植機は縦置きです。
1978年の広告のすくすく号MP206では横置きになっているので(しかも苗対面型ではありません)MP206より前の型なのは間違いなさそうです。ちなみに農研機構の登録では真ん中のMP410が1976年で最古のものとなっています。
手持ちの三菱田植機年表で見ると、1972年(昭和47年)というのが正しければMP210ということになるわけですが、果たしてどうなんでしょう・・・
いろいろ探していると、三菱マヒンドラ農機のWEBページ/歴史に田植機に事が書いてありました。文章では全く無視され触れられていない右の写真。苗対面型でエンジンが縦置きのすくすく号じゃないですか!
拡大してみます。 よくこんな写真が残っていたなあ・・・よく見ると押しているのはもしかして「匿名女性イメージキャラクター」? サイケなパンツをはいている感じだし、写真の質も高いし、カタログ写真でしょうか。ということはこのカタログがあるってことですよね?
僕が私設博物館で見た機体は正面に大きな三菱のマークが付いていました。しかし、この機体にはその位置に◯にSのマークが付いているような気がする(クリックで拡大します)・・・佐藤造機?

既出の写真ですがもう一度比べてみてください。マーカーが取れちゃっているくらいでほとんど違いが見受けられません・・・そしてもう一度年表にもどります。
三菱マヒンドラ農機のWEBページ/歴史の写真にあった機体が三菱最初の田植機、PS20F初代「すくすく号」として、僕の見た田植機がMP201/MP210/MP211と連なる「newすくすく号」シリーズだと考えると辻妻が合いそうです。その後MP204/MP205シリーズではnewが取れてレギュラーな「すくすく号」に戻って行ったのでしょう。現時点では情報が少な過ぎてこう考えるより他にありません。
苗スライダー部分、古い田植機って何で銀色なんだろう・・・と思っていたのですが、これ、アルミをプレスしたものですね! プラスチックじゃなかったんだ!
操作部。昔の耕耘機みたいに重厚な作りです。
昔の田植機の情報ってすごく少なくて苦労します。今日はここまでです。また明日!
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