15もあったのか・・・単気筒空冷ディーゼルのイセキTC-15「撮りトラ」

今日はhokkaidoujinさんの案内でandoさんと見た私設博物館のイセキTC-15「撮りトラ」です。(ただ、キャプションはTC-10となっていたのですけど・・・)

TC-10はエンジンが共通だったからなのか、ニューチェリートラクターと呼ばれ、メーカーを横断?したチェリーという名のついたトラクター群の一員です。以前も、

『STIHL製2ストディーゼルのイセキTC-10・・・「撮り虎」』
『STIHL製2ストディーゼルのイセキTC-10 その2・・・「撮り虎」』

で紹介していましたね。で、今回見たのはこれです。

イセキトラクタTC10 10馬力 井関農機㈱ 日本 1958年(昭和33年)と書いてあります。エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。正面のエアインテークについている翼かウシの角のような飾りと、大きく張り出した腕についたランプ(メーカーわからず)が印象的です。
イセキトラクタTC10 10馬力 井関農機㈱ 日本 1958年(昭和33年)と書いてあります。正面のエアインテークについている翼かウシの角のような飾りと、大きく張り出した腕についたランプ(メーカーわからず)が印象的です。
エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。
エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。

イセキトラクター TC-10
こちらは土の館で見たイセキTC-10 キャプションによると・・・ 井セキ トラクター1960年(昭和35) 井関農機㈱製 (日本)
TC-10型 10馬力 496cc 機番0133

1960年(昭和35) 清里町 中農場で導入。
馬に変わる農作業の動力では、10馬力の威力は驚くほど能率が上がった。
4年後に渋谷が譲り受け、付近の仕事に昼夜働いたという。

とあります。

正面のインテークの形状が少し違いますね。シンプルな角ではなく、上唇と下唇の2枚に別れています。

これを見ていて「ヘンだな」と思いました。シリンダーの根元にある数字が763ccと書いてあるように読めたからです。小馬力の単気筒って大抵600ccくらいじゃなかったかな?と少し不思議に思ったんです。右側の濃い色の筒に、今度はKAYABAと書いてあります。油圧用のポンプかな?
写真は私設博物館の「公称TC-10」に戻ります。これを見ていて「ヘンだな」と思いました。シリンダーの根元にある数字が763ccと書いてあるように読めたからです。小馬力の単気筒って大抵600ccくらいじゃなかったかな?と少し不思議に思ったんです。右側の濃い色の筒に、今度はKAYABAと書いてあります。油圧用のポンプかな?
拡大します。ねっ?目を細めてみると763ccと書いてあるように読めません?
拡大します。ねっ?目を細めてみると763ccと書いてあるように読めません?
そして決定的なのはこの部分。バッジにTC-15って書いてあります。
そして決定的なのはこの部分。バッジにTC-15って書いてあります。

そしたらネットでTC-15の動画を見つけました

↑ヰセキ(ニューチェリー)TC-15のエンジン始動と走行シーン。ヰセキの初代トラクターTC-10のエンジン強化版でTC自体が希少車です。ビクターオート製スチール131BLエンジン。だそうです。

スチール131BLエンジン・・・本家本元にこのエンジンがあるか調べてみました。

すると、ユニトラックUD12(1949〜1955 12馬力)というトラクターに使われているものが近く、STIHL131というのがありました。これが760cc単気筒。ということは、僕の見たエンジンが131BL、763ccで15馬力というのはありそうな話です。
すると、ユニトラックUD12(1949〜1955 12馬力)というトラクターに使われているものが近く、STIHL131というのがありました。これが760cc単気筒。ということは、僕の見たエンジンが131BL、763ccで15馬力というのはありそうな話です。

というわけでキャプションにTC-10とぱりますが、この機体がTC-15だというのは相当確からしい話です。

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それから正面の飾り・・・くちびる形ですねえ・・・

以前見た(『ドンガラだけど・・・イセキ耕耘機KF850・・・「撮りトラ」』)同じ空冷単気筒ディーゼルのイセキKF850はどうだったでしょう・・・

ヰセキ KF850型 動力耕耘機 表記馬力 8.5ps/2000rpm 最大馬力 10ps/2000rpm 排気量 498cc
中身がないくせに強烈な存在感を放っています。これこれ、ウシの角タイプ! ヰセキ KF850型 動力耕耘機 表記馬力 8.5ps/2000rpm 最大馬力 10ps/2000rpm 排気量 498cc

レストアの過程で何れかの機体が取り替えられたか、複数のバージョンが存在したかのどちらかなのでしょうね・・・そういえばTC-10のカタログ(『TC-10型は「ニューチェリー」・・・「昔のカタログ」』)も以前紹介しました。

ヰセキトラクター ニューチェリー TC-10 10馬力小型乗用トラクター
このTC-10の正面・・・どの機体とも違うような気がする・・・やはり色々なバージョンがあったのかも。
それからこの機体は貴重なオリジナルのロータリーがついていました。面白い形ですね。ロータリーはチェーン駆動なのでしょうか?長いカバーがついています。
それからこの機体は貴重なオリジナルのロータリーがついていました。面白い形ですね。ロータリーはチェーン駆動なのでしょうか?長いカバーがついています。油圧のアームの軸部分のレベル窓の上に何かしらのキャップがあります。ここから油圧のオイルを足すのだろうか・・・

わかりにくいですが、カタログに載っている下四つの写真のうち左上の写真に同じロータリーの写真があります。

TC-10しかないと思っていたらTC-15があった・・・ということはクボタのL形みたいに、TC-12とかTC-17とかTC-20なんていうのもあったりして・・・数年でモデルチェンジされてしまっていた当時のトラクター、まさかこんなにたくさんの種類が出ていたとは思いもしませんでした。

エンジニアは相当忙しかったでしょうね。今日はこれでおしまいです。また明日!

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