
もう実機は見られないであろう運輸省型式の若い番号の古い農機を本や雑誌から探している「朝1分の農機考古学」。今朝は小説倶楽部の1959年9月号の口絵グラフ『お国自慢美人(むすめ)自慢-観光と職場-出雲の巻』という今ならアウトな名のグラビアで1960年型式認定サトー式TA30です。

このTA30というティラーを探していたのですが実機はもちろんカタログの類も見つかりませんでした。でもこんな思わぬところ(月刊の小説誌)で見つけるとは!
それにしても「東京に遊学したこともある」というのが気になります。でも、東京には留学しないし、東京の大学に進学したことがあるという書き方もおかしいし・・・遊学を調べてみると
「遊学(ゆうがく)」は、主に広い視野や見聞を広めることを目的とする、より広範な海外滞在を指すのに対し、「留学(りゅうがく)」は、特定の目的(語学力向上や専門知識の習得など)を持って外国で集中的に学ぶことを意味します。遊学は留学を含み、勉学以外の経験も重視されるニュアンスがありますが、留学は「学ぶこと」に重点が置かれています。
と書かれています。島根の地元のお嬢さんで「三年東京に行って帰ってこい」なんて言われ見聞を広めて戻ってきたのですかね?
巻頭の写真は社屋と社長室勤務の女性が写ったものでした。そこには
■佐藤造機KKは大正三年創業で 耕うん機、全自動脱穀機 動力脱穀機 籾摺機等 年額二千余億の生産高を誇る日本農機具界最大メーカーの一つです。
と紹介されています。島根県を代表する会社の一つだったのでしょうね。

くサトーテーラーTA30型>理想的ワンボディーによるエンジン直結後機を採用伝導機構の簡茶化を計り一段と性能が高くなった。大変安価であるのも魅力の一つです。
と書かれています。ワンボディーという言葉が印象的です。50年代後半にやってきたホンダの黒船、F150を意識した言葉に違いありません。F150の噂に各農機メーカーが震え上がり、ワンボディーの耕運機の開発に血道をあげたのでしたね!確かにベルトやプーリーが見当たらないスッキリ・スマートな形をしています。

農耕作業用軽自動車
運輸省型式認定番号 農187号
サトー式 TA30型
となっています。1960年型式認定、エンジンは140ccのサトーGA14型搭載となっています。
『農機の運輸省型式認定番号一覧表』に追記しました
『農機の運輸省型式認定番号一覧表』を固定ページで公開しました。一番上のメニューから入れるようにしています。これから新しく運輸省型式認定番号を発見するたびに追記することにします。
(ほぼ同時に英語版の一覧表も公開しています)← Click here for the English version.
追記:今まで一部の環境ではテキストが読めなかったということがわかったので修正しました。スマホでも読めるようになったと思うのですが、もし読めない場合はコメント欄でもメールでも構いませんので連絡をください。お願いします!
こういうところで探し物にぶち当たるというのは意外かつ新鮮です。なかなか愉快な体験でした。今朝はここまでです。それはまた明日!