イセキは愛称のトップランナー「さなえ」「太郎」「小太郎」「大作」「耕太」「耕二」

同業他社がたくさんある場合に、農業機械はユーザーからは同じように見えてしまいます。(例えば田植機だったら「苗を植える機械」なので、同じような形になるのは仕方ないです。)

そこでその機械とメーカーを回りに印象づけようと考えられたのが、機械の型式、名前とは別につけられた「愛称」でした。

その「愛称」のつけ方が、一番先ではないかもしれないけれどウマかった・・・のがイセキではないか?というのが昨日のお話でした。

昨日はあまりうまく書けなかったので、今日はその続きです。

田植機の「さなえ」

他社がぼんやりとした様子や、オノマトペのような愛称を付ける中、イセキは田植機の「さなえ」を当時のアイドルとむすびつけ、その個性、違い(もちろん機械の優秀さもありました)を強烈にユーザーに植付けることに成功しました。

それは「機械に人の名前を付け、具体的な顔としてイメージキャラクターを立てる」という、一種の発明だったのだと思います。

その成功体験が次の愛称に繋がったのではないでしょうか?

ヰセキコンバイン「太郎」

ヰセキ複胴コンバイン 太郎1800 スペシャルオート3条刈
「さなえ」のように成功したのかどうかわかりませんが、「太郎」です。ヰセキ複胴コンバイン 太郎1800 スペシャルオート3条刈

「太郎は父さんの超特急」というコピー、好きです。商品より子供の遊んでいるのが前・・・というのもいいですよね! 以前見た「商品よりあまり関係のないレーシングカーが前」というカタログにも通じます。
太郎よりあとのカタログですが、こうやってみるとイセキの広告はいつもチャレンジングです。

耕うん機の「大作」

ネットで写真を探してきました。「大作」は耕うん機の名前でした。
ネットで写真を探してきました。「大作」は耕うん機の名前でした。KS650「大作」です。

イセキのお名前は田植機とトラクターが有名だと思うのですが、この、「さなえ」「太郎」「大作」が初期のお名前トリオなのだと思います。

この後にトラクターに愛称が付けられたと思う理由は下の写真から来ています。

ヰセキ複胴コンバイン 太郎 HL1800 スペシャルオート3条刈カタログ
昭和50年、8月15日締め切り。当選者はペアで沖縄海洋博へご招待です。

トラクタの決定版、ヰセキトラクタの新シリーズが完成しました。さわやかなアイアンブルー・精悍なデザイン・豊富な形式・強力なパワー—–この新型トラクタの発売を記念して、広くみなさまから、ペットネームを募集いたします。

ヰセキ製品には「太郎」、「さなえ」「大作」など、既にすてきな名前が付いています。ヰセキトラクタにふさわしい、すばらしい名前(愛称)をお寄せください。

このように、イセキの「耕太」は公募で名付けられたのです。「耕太」と名付けた人は沖縄海洋博に行ったんですねぇ・・・

トラクター「耕太」

TS2510「耕太」は、おなじみの農研機構のサイトでは登録が1976年。tractordata.comでは1200cc3気筒ディーゼル25馬力とありますが、どうも2気筒エンジンのようです。
「こうた」とキーボードで打っても普通はこの字には変換されないと思いますが、僕は一発目でこの「耕太」が出てきてしまいます。ただ、この漢字の「耕太」のバッジの付いた機体を見たのは初めてじゃないかな・・・取れちゃっているのが多いので結構貴重かもしれません。

トラクター「耕二」

イセキTX1410F『耕二』です。角目は角目でも少し薄い角目。クボタのB1400などもこのような顔をしていましたよね!
イセキTX1410F『耕二』です。角目は角目でも少し薄い角目。クボタのB1400などもこのような顔をしていましたよね!

小さい太郎、コンバインの「小太郎」

これもネットで写真を探してきました。コンバインのHD450です。「小太郎」と書いてありますよね?
これもネットで写真を探してきました。コンバインのHD450です。「小太郎」と書いてありますよね?

イセキは2匹目、3匹目のドジョウを狙い、各ジャンルに全部人の名前を付けてしまいました。成功したのもあるでしょうし、イマイチだったものもあるでしょう。

なんだかこういうのって「自家中毒」のようなところがあって、各ジャンルを揃えるのは正しいと思うのですけど、最後は皆埋没してしまう感じ、ありますよね?

メーカーの中で同じようなものが溢れ、業界の中で同じようなものが溢れ、時代の中で同じようなものが溢れる・・・

結局その中でどうにかしようともがくうちにねじのぶっ飛んだものができる・・・

ぶっ飛んだ表紙でトラクターが霞みます。匿名お姉さんイメージキャラクターはここまで進んでいます。赤と黒のレオタード姿の女性が2人。これは一体何を表しているのでしょう?
一見笑っちゃうようなそんなカタログも、担当者の苦悩の中から生まれたと思うとなんだか愛せてしまいますよね!

今日はこんなところです。また明日!

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