今日も田植機考古学。昨日のフロート式動力苗まき機(ひも苗式)ヤンマーFP2Aの記事を見て、トラクター狂さんが同じくフロート式動力苗まき機ヤンマーFP2Bの記事を送ってくれました。
きっと「どこかで見たゾ」と雑誌のバックナンバーを一所懸命探してくれたのだと思います。ぼんやりとしたヤンマーFP2Aの像が、この資料によってハッキリクッキリと焦点を結びました。トラクター狂さん、ありがとうございます!
『農業機械|技術の系譜|』の『稲作農家の長年の夢かなえる。過酷な作業工程をついに機械化。念願の田植え機が誕生』によれば、
田植え作業の機械化は、稲作農家にとって長年の夢でした。明治時代からさまざまな試みがされましたが、どれも実用には至らず、開発は困難を極めていました。そこでクボタは他社の方式とは異なる、育苗箱を使用した「ばらまき育苗方式」による「土付苗田植機」に注力。1968年にSP形を開発、翌年には歩行形田植え機の原型となる1輪2条植えのSPS形を発売、1970年に量産を開始しました。
とあります。
せっかくなのでフルに引用します。
{特長}
- ひも苗稚苗を同時2条植付け。植付けはクランク式
- 植付け深さは、レバー1本のワンタッチ操作で4段階に調節でき、浅植えをする。
- 株間は、工具なしで7段階に調節できる。
- 左右にセットした2輪で安定走行。幅広いフロートで田面を直進する。
- サイドクラッチセットにより旋回性にまさる。
- 能率は苗取りを含め10aあたり1〜1.5時間。
- 床土の代わりに、新苗床材であるウレタンを採用した育苗方式。
- 播種作業は、10a分15箱がわずか5分。
- 株間330mmのFP2Aもある。
{仕様}
機体寸法=長さ1860〜2040×全幅750(標準仕様・車輪105)、806(特別仕様・車輪806)mm×全高780~905mm
出てきました!昨日のFP2Aです。AとBの違いは株間の違いだったんです。そして床土がウレタンだったということもわかりました。
重量=62kg
仕様苗=葉令1.5〜2.5葉、草丈8〜18cm程度の連続苗
植付条数=2条
条間=300mm
株間=100〜160mm、4段調節可能
株数=3.3㎡当たり約66〜111株
1株苗本数=2〜5本
植付方式=切断同時植付式(クランク式植付方式)
植付速度=0.28〜0.715m/sec
クラッチ方式=主クラッチ・・・自動遠心式、操向クラッチ・・・ボールスライド式
苗送りクラッチ・・・ばねクラッチ式
エンジン=空冷2サイクル単気筒ガソリン、1.7ps/6500rpm、リコイルスタート式
{機構とその調製}
- 栽植密度の決定=地域の特性に合わせて、栽植密度表により株間と隣接条間を選定、栽培密度を決定する。機械植えは、慣行田植えより株数を10〜20株多くする。
- 株間の調節=株間は、調節金具をまわして、チョ説金具の目盛と調節金具の凸起部の合わせ位置を換えて調節する。調節金具はエンジン側と車輪側の2カ所にある。
- マーカー位置の決定=希望する隣接条間に合わせて蝶ボルトでマーカーを移動固定させる。
苗のせ=左右両方の苗のせ台へ、それぞれ一箱分ずつの苗をのせる。
苗送り=苗のせ箱の最下部にある苗ひもの端を苗送りロールの間にはさみ、苗送りロールハンドルを回して苗ひもが、かカッター受け刃より10mm程度出るまで苗を送り、始動直後より切断植付ができるようにする。
植付開始=植付クラッチレバーを「前方」へ倒すと、植付クラッチが入って植付を始める。
植付深さ調節=深度調節ハンドルをまわして植付深さを調節する。
枕地での旋回位置の少し手前で、スロットルレバーを「低速」にし、旋回点で切り、旋回しようとする側の操向クラッチレバーを握り旋回する。
以上、なんとなくひも苗式田植機の操作法がわかったような気がします。
トラクター狂さんによると、本州は株間300mmが標準で、北海道は330mmと地域差があるらしく、機械化農業に登場したFP2Bの株間は300mm。僕が北海道で見たFP2Aの株間は330mm・・・
つまり、僕の見た田植機は当然北海道仕様で株間330mmのFP2Aなのは当然の結果ということになります。
もっと続けるはずだったのですが、時間がなくなってしまいました。今日はここまでです。田植機考古学、明日も是非お付合いください。それではまた明日!