国立科学博物館で開催されていた、明治150年記念、日本を変えた千の技術博という特別展で見たものいろいろ・・・その30です。昨日の続きなのですが、150年くらいのスパンの中で、技術の進歩を紹介してきた展示が最後に持ってきたのは・・・というお話でした。
これ、結構有名な記事らしく、『二十世紀の豫言』として色々なところで検証されていて、Wikipediaにも詳しく載っていました。現実となったもの、そうでないものについても検証した所によって違っていて、それもなかなか興味深いです。
志田林三郎「将来可能となるであろう十余のエレクトロニクス技術予測」
- 一条の電線により、一分時間数百倍の速度を以て、同時に数通の音信を送受し得るの時も至るべし(高速による多重通信を予測)
- 電線を用いず数里の河海を隔て、自在に通信または通話しえるの節も来るべし(長距離の無線通信を予測)
- 音声伝送の法益進み、例えば大阪長崎は言うに及ばす、上海香港等の如き数百里外の地に於いて演ずる所の唱歌音楽等、座ながら東京に於いて聴聞するの快楽に遭遇するも応に近きに在るべし(海外からの音楽放送の受信を予測)
- 勢力電送の術いよいよ巧みに赴き、日光山華厳の滝の勢力を東京に移し、或は東京市街に電灯を点し、或は馬車人力車灯を運搬せしむの奇観を呈するも、当に遠きにあらざるべし(電力の長距離輸送を予測)
- 陸に電気鉄道、海に電気船舶の使用いよいよ増加し、鉃道列車、水路船舶に黒煙白気を見ざる時節も亦記して待つべし(クリーンな電気鉄道と電気船舶を予測)
- 電気空船の改良に依り、航空の術高度に達し、空船に乗り、空間に逍遙し、或は佳山勝水を賞鑑し、或は名所旧跡を捜索するの時節もあるべし(電気による飛行船での旅行を予測)
- 電気または磁気の作用に依りて、光を遠隔の地に輸送し遠隔の地に在る人と自在に相見るを得る方法の発見を望むも、敢えて夢中の想像にあらざるべし(光通信を利用したテレビ電話を予測)
- 音声を自記し演説談話其他如何なる言語と誰も、機械の仕掛けに依りて一々之を記し取る方法の発明を待つも、徒に坐上の空談にあらざるべし(電気による自動音声入力を予測)
志田林三郎はWikipediaによると物理学者・電気工学者だったようで、電信技術研究のかたわら磁気や物理など幅広い研究を行なっていた人のようです。
道理で通信関係の予測が多いです。研究の中であたった壁を突き抜けた世界、それが遠くの世界との繫がり、外国から送られた音楽を東京で聴いたり、日光から電気を東京に引いたりという予測に繋がっている感じです。
どちらがどちらかわかりませんが、最後の展示は自動DNAシーケンサーでした。中身は全くわけがわかりません。
科学技術の未来予測は、研究の成果によって得られる果実ということなので底抜けに明るいです。その中でも将来の有望株としてDNA関係の未来が明るいということなのかもしれません。
最後まで見てきて感じたのは、科学技術に罪はありませんが人は便利になった分怠けるということです。そのような意味では進歩の歴史は退化の歴史でもある・・・このまま便利になり続けると、余裕のある人だけお金を払って不便を体験し退化を食い止める・・・なんて世の中になってしまうのではないかと不安にもなります。
便利になっても今までの能力は保存されるような技術も合わせて開発してもらいたいです。
今日はこんなところです。また明日!
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