中古トラクターの行き先
かなり確からしいと思えるhttp://www.orangetractortalks.comの記事によれば・・・の話なんですが、国内需要喚起に玉突きされたトラクターの中古品の行き先の話です。
買い替えによって出た中古品は日本国内でも取引されたでしょうが、アメリカでも注目されました。アメリカは日本国内の中古の値段を知っているものにとって、中古品は買いたくないくらい中古品が高いです。
日本の中古トラクターを買い付けてアメリカで売れば利益を出せる・・・そう考えたものがいてもおかしくありません。(これはオートバイでも行われていると聞いたことがあります)
ルートを確立
コンテナの中に入る16〜18台の中古トラクターが新車の3〜4台分の値段で買えてしまうということですから、中古価格の高いアメリカで商売になったというのは想像に難くありません。
日本で業者を募って、中古トラクターを集め、コンテナに詰め込んでアメリカに運び、それを売るルートを確立して商売を始めた人がいました。これが1990年代初めの頃のようです。
良き日は長くは続かない
1970年代から販売会社を北米に置いていたクボタは、1996年頃これに気がつきます。アメリカに比べると稼働時間の少ない、(クルマでも日本だと10万キロも走ると買い替えの対象になってしまいますが、アメリカではまだまだヒヨッコなんでしょうね。)高年式のトラクターが安く売られると、新品のトラクターの販売に打撃をこうむるからです。
クボタは1997年あたりにアメリカ関税法337条(337 Suit→雰囲気でやってるので常にですけど不確かです)と商標侵害で業者を訴えます。
アメリカ関税法337条は、アメリカへの輸入で不公正な行為があってアメリカの産業に被害が生じる恐れがあるときに、輸入品の排除や、その不公正行為の差し止めを米国国際貿易委員会(US International Trade Commission, ITC)が判断して、差し止めの命令を発することができる法律だそうで、この場合の不公正な行為は商標侵害ということだったみたいです。
中古トラクター輸入差し止め
この訴えは認められたようで1997年にはその判断が下り、アメリカの税関ではインボイスに「USED KUBOTA TRACTOR」と書かれた荷物は通関できなくなってしまいました。
クルマだったらエコ減税、家電品にもそんなものがあったと思いますが、買い替えには飴。そして古いものを直し直し使っている者には懲罰的課税のムチ・・・狭い土地にひしめき合って住んでいる日本の人すべてに仕事を回そうとしたのか、そうやって作り出された需要と中古品。その行き先はなくなってしまいました。
得をしたのは?
相変わらず「古い農機やオートバイございましたらお声をおかけください。動かなくても結構です。」と、農機具、家電、不要品回収業者は近所を回っていますが、少なくともアメリカでクボタトラクターの中古は売れなくなってしまったみたいです。
これによって日本で中古トラクターを集めていた業者は打撃を受けてしまったでしょうし、アメリカの中古トラクター販売業者も出激を受けました。アメリカのクボタやそのディーラーは少しホッとして、日本の農家は中古トラクターが高く売れなくなって少し損をし、もしかしたら買い替え需要が若干落ち込んで日本のクボタは損をしたかもしれません。
物は長く使いたいけど・・・
一つの物を長く使うのは僕自身は環境に良いとは思いますが、こうやってみて見ると、確かに物が動くというのはお金が動くとイコールで、動けば動くほど色々な人がぶら下がってこれも大事なのかな・・・などど思います。
アメとムチで買い替えを促して、中古品を仕立ててそれを買える人に売り、さらにはその中古品も何らかの方法でアメとムチをふるって買い替えさせてさらにさらに中古品を仕立て、それを買える人に売る。
そうしていけば一つの製品が何回も売られてトータルで動くお金は大きく、それに関わる人も多く、修理部品もより多く売れる・・・1台のトラクターが稼ぐ生涯賃金が多くなり、扶養する人数も増え、末端までトラクターが行き渡るという寸法です。
さらに脱線 詰め師のお仕事
コンテナ輸送が主流になって効率よく色々な物を詰め込んでます。見ていると時間を忘れてしまいます。
色々な物の行き先やを考えてみる必要があるようです。なんの話かわからなくなっちゃいましたが、全農トラクターの話に続きます。