毎日『ネバリ・ねばり・粘り』をくだらなく考えてきましたが、今日で最終回。初期のカタログに多く見られる「粘り」です。
一番普通でまっとうな書き方なのに、探してみるとカタログ表現の中では一番少ないのでした。
ネバリ・ねばり・粘り・・・今まで見てきたわずかなサンプルの中で、なんとか結論じみたものを考えてみたいと思います。
「強い」を修飾して「粘り強い」「粘り強さ」と、ひとまとまりに使う用法
「粘り」と単独で使う用法
「粘り強い」「粘り強さ」と使うのは比較的古いカタログで。「粘りは驚くほど」「粘りであと押し」などと「粘り」を単独で使うタイプは比較的新しいカタログです。
カタカナの「ネバリ」表現は、古いものから新しいものまでまんべんなく見られ、用法としては「粘り」の場合と同じように、「ネバリ強い」「ネバリ強さ」の他に、エクストラ表現として「他を圧倒する抜群のネバリ!!」「ネバリにネバリます」などがありました。
おもしろかったのは「ねばり」で、すべてのカタログが「ねばり強い」「ねばり強さ」表現でした。「抜群のねばり」とか「ねばりにねばります」、「ねばりは驚くほど」「ねばりであと押し」などのエクストラ表現はなかったのです。ねばねば・ネバネバ糸を引いちゃいそうで敬遠されたのでしょうか?
結論らしきもの
やはり「ネバリ」は発明だったのだと思います。昔、カタログは写真少しで文章ズラズラと書き並べるものでした。ですから普通に「粘り強い」または「ねばり強い」と書いていてもよかったのです。
しかし、印刷技術が向上して美しい写真で消費者の目を惹くことができるようになると、必然的に文章のスペースは小さくなります。そうなると少ない文字で文章のほうも写真に対抗しなくてはなりません。単語一つ一つ、文字の並べ方1つが重要になってきたのです。(断言しちゃってますが、あくまでも想像、妄想です)
そこで粘り1つで注目を集めようという「ネバリ」です。やっぱり従来の「粘り」を「ネバリ」とすれば、そこで流れる目が止まりますよね?
「ネバリ」はカタログ上の発明なのだと思います。刺激は慣れると刺激でなくなる。ですから「他を圧倒する抜群のネバリ!!」「ネバリにネバリます」などの刺激的表現が出てきた・・・そんなところではないかと思います。
競争って色々なところで発明を生むんですね。そういえば機械に「さなえ」のように、名前・愛称を付けてしまうのも劇的な発明です。
今日はこんなところです。また明日!