今日も続きでクボタ教のNさんに送ってもらった、1969-1970年以降のものと思われる井関農機のカタログ、昔のカタログシリーズです。自脱式コンバインのフロンティア、たったひとりで生まれ、3年後には5兄弟になっていました!
まずは最初に生まれたHD50から・・・
歩行型の自脱式コンバイン「フロンティア」は1966年に完成。1967年の販売は当初試験販売的なものだったそうです。「井関農機60年史」によると・・・
当初は限定販売の形で42年度に500台の試販を予定していたが、つくるはしから売れていき、系列販社や農協系統団体からの注文は引きも切らず、工場や事務所に座り込んで割当を待つものも少なくなかったため、試販台数は最終的には1064台を数えた。
井関農機60年史
と書かれています。「工場や事務所に座り込んで・・・」と言う部分、今なら「ああそうですか」となりそうですが、当時の熱気や空気が感じられるとても興味深い表現です。
HD50B
ここまではHD50のお話でした。カタログにあるHD50Bですが、HD50が試験販売された1967年の翌年、1968年には改良されHD50Aとなり、さらにその次の年にも改良を加えられ、1969年にHD50Bとなっています。
もらった画像が小さいので、もしかしたら読み間違いをしているかもしれませんが、ちょっとスペックを拾い出してみます。
- HD50B
- 全長:2310〜2510mm
- 全幅:1680〜2620mm
- 全高:1383mm
- 重量:600kg
- 変速段数:前進6段 後進2段
- 刈幅:500mm(2条刈り)
- 脱穀方式:自脱式
- 作業能率1〜1.5hr/10a
- 空冷4サイクルハイオクタン灯油KF1300 12ps
HD50R
同じくカタログにあるHD50Rは、「どうせなら乗りたい」ということなのでしょう。後部に折りたたみ式の座席を設けた乗用歩行兼用型なのだそうです。
HD40
そしてHD40ですが、HD50B/HD50Rと同じ年、1969年に誕生した歩行型廉価版のコンバインなのだそうです。もしかしたら読み間違いをしているかもしれませんが、ちょっとスペックを拾い出してみます。
- HD40
- 全長:2035〜2325mm
- 全幅:1550〜2100mm
- 全高:1337mm
- 重量:465kg
- 変速段数:前進6段 後進2段
- 刈幅:500mm(2条刈り)
- 脱穀方式:自脱式
- 作業能率1.5〜2.5hr/10a
- 空冷4サイクルガソリンKF700 7ps
HD50Bと比べると馬力が小さいエンジンとなっていて、作業の効率がかなり悪くなっています。7馬力とは今のコンバインの大馬力状態を思うと、隔世の感があります。
HD550
続いてHD550です。これは歩行型廉価版のHD40の改良型で1970年発売です。改良前のHD40と改良型のHD550が同じカタログに載っているのは興味深いです。
そのことから、いかにコンバインが売れ、改良も矢継ぎ早だったかわかるように思います。スペックを見てみると(これももしかしたら読み間違いをしているかもしれません)・・・
- HD550
- 全長:2170〜2390mm
- 全幅:1600〜2240mm
- 全高:1388mm
- 重量:500kg
- 変速段数:前進4段 後進2段
- 刈幅:500mm(2条刈り)
- 脱穀方式:自脱式
- 作業能率1.5〜2.5hr/10a
- 空冷4サイクルガソリンKF800 7.5ps
エンジンパワーが上がっている他は、HD40とそれほど変わりがありません。
初めての乗用型HD650R
1970年には初めての乗用型HD650Rが誕生します。スペックを拾いだしてみると・・・
- HD650R
- 全長:2585〜2805mm
- 全幅:1715〜2365mm
- 全高:1388mm
- 重量:635kg
- 変則段数:前進6段 後進2段
- 刈幅:500mm(2条刈り)
- 脱穀方式:自脱式
- 作業能率1〜1.5hr/10a
- 空冷4サイクルハイオクタン灯油KF1300 12ps
HD50Rと比べると、HD650Rは乗用型といってもスペックに大差なく、型番のケタが上がったほどの変化はありません。両者が併売されるのにそんなに不都合はなさそうです。
実は、「フロンティア」で先行し、短期間にこれだけ改良に次ぐ改良を行なったにもかかわらず、他社の追い上げもまたすざましく、全面刈りのコンバインが出てあっという間に劣勢になってしまったようです。
もしかしたらちょうどその頃のカタログなのかもしれません。
あっという間に5兄弟。それでも足りないくらいの市場の盛り上りとイノベーションだったのですね!
・・・
全然進まず、今日は時間がなくなっちゃいました。すみません。また明日!