どこを切ってもキンタローなクボタトラクターのL4ケタ。調べるうちに違いが見え、さらに誕生年もわかって、面白くなってきました。
そんな中、偶然派生形を見つけました。というわけで、今日はL1501DT-AC「撮りトラ」です。
この場所はやたらL形が並んでいたので、目がチカチカします。というわけで感覚が麻痺しているし、「どうせ同じものだろう」という意識があるので違いを見分けられません。何気なく撮った写真に発見があっても、後続の写真がなく今回は悔しい思いをしました。この写真、三台並んでいる一番左が主人公です。
実は写真はこの2枚しかありません。この写真も「見慣れないステッカーが貼ってあるな」くらいのキモチで撮ったもので、他に詳しい写真も撮りませんでした。ステッカーチューンなのか、それとも何かの装備の写真なのか、あとで調べてみよう・・・という程度のものです。
拡大してみます。考えてみれば、大きな2文字だけのステッカーというのは、今まで結構特別仕様というパターンが多かったです。
過去にはこんなものも・・・
以前見たFORD3000に貼ってあった「RS」のステッカー。
これは「ライススペシャル」稲作農家?をターゲットとした特別仕様車でした。
こちらはFORD3910に貼ってあったMUSTANGステッカー。これも初めはステッカーチューンだと思いましたが、後に特別仕様車だと判明しました。
特別仕様車はFORDに多いのかもしれませんが「昔のカタログ」をSさんに提供していただきこれも解決しました。機能をおさえ、比較的低価格で販売したもののようです。
これもFORD。FORD6600のサイドに発見したステッカーです。GSと書いてあるのがわかるでしょうか? 解決とまでは行きませんでしたが、「ゴルフスペシャル」という仕様があったという情報を寄せていただきました。
結局FORDばかりですが、SUPER CXと書いてあるステッカーにいかにもグレード名っぽい響きを感じて調べてみると・・・
↑CM 日本電池 GS SUPER CX 1984年 バッテリーのステッカーだったり・・・
とまあ、前置きが長くなってしまいました。
このようにステッカー探査は、年表に載っていないような特別、もしくは限定仕様発見の糸口になる反面、「個人が何となく貼ったもの」という、時間をかけた割には幸薄い結果になる可能性を秘めたギャンブルだったりします。
で、「AC」に戻ります。
調べてみると農研機構の登録が1977年にあることがわかりました。元オーナーが個人的に貼ったステッカーではなかったのです。
ひとつ上の登録は二輪駆動タイプですが、もちろん僕の見た四輪駆動タイプ、L1501DTにもL1501DT-ACのACバージョンがあります。L1501は先日の記事で昭和50年(1975年)に誕生したことがわかっていますから、ACバージョンはあとから追加されたものだとわかります。
書籍にも記載がありました!
「久保田鉄工最近10年の歩み(創業90周年)」という書籍に書かれていました。少し長くなりますが、引用します。
52年(1977年)に発売したL1511形は1本のレバーですべての変速操作が走りながらできる完全無段階変速装置付きのもので、本格的な油圧ミッションを採用することにより当社が業界に先駆けて実現したものであった。同年にはさらに、耕深を自動制御するオートマチック・コントロールを世界で当社が初めて開発し、これを装着したL1501AC形を発売した。このほか、作物の種類に合わせてスピードの最適範囲を選べるセレクター、トラクタ走行停止時でも作業機の駆動ができるライブPTO、湿田に強いハイラグ大径タイヤ装着等の開発により業界に先鞭をつけた。
とあります。ACとはオートマチック・コントロールの略だったのです。見た目は従来のL型ですが、最新の自動機構を搭載して再登場したという形だったのだと思います。
ネットを探してみたらありました!
くっそ〜〜〜!ちゃんと見ておけば良かったな・・・と思っても後の祭り。どんな機体だったのか、ネットを探してみたらありました!
“世界初!耕深自動制御のクボタL1501DT-AC「撮りトラ」” の続きを読む