僕がトラクター好きということを知っている友達から「キューバで見た」というトラクターの写真が送られてきました。こういうことは結構あるのですが、共産圏のトラクターは難題です。キューバは僕も行ったことがありますが、とにかく古いアメ車(しかしボロボロ)がゴロゴロしているのが印象的でした。それにしても一体どこの、どういうトラクターでしょうか?追跡してみます。
送られてきたのはこの写真
検索してみる
まあ、とにかくあてずっぽうに検索してみます。こういう謎のもの・・・絶対掘り当てたいですよね。今やこの世に存在する工業製品でインターネットに載っていないものはないはずです。
名前とかメーカーが知りたい
ここまできたら絶対名前とかメーカーとか知りたいです。なんとかならないかなぁ・・・検索を続けます。
キューバのトラクターはYuMZ
送ってもらった写真にとてもよく似ている旧ソビエトのトラクターはYuMZ-6。YuMZが名前なのかブランド名なのよくわからなかったのですが、突っ込んで調べてみるとYuMZの表記はЮМЗなんです!
ビンゴ!!ЮМЗ
ЮМЗ-6はベラルーシ製の4気筒60馬力ディーゼルを搭載したトラクター
1970年頃、ソビエトで作られたYuMZ-6-M(初期型)
YuMZ、ЮМЗはウクライナのことだった!
それにしてもいったいЮМЗってなんでしょう・・・謎は残ります。さらに突っ込むと面白いことがわかりました。どうもうまい言葉が見つかりませんが、向こうの言葉で南部機械製造工場という意味らしいです。
何に対しての南か?それは、北、つまりベラルーシに対しての南、つまりウクライナのことだったのです。おでこに「南部機械製造工場」とマークをつけた、南部機械製造工場-6という機種の初期型(M型)だったわけです。面白いですよね!
ソビエトは徹底的な分業制で、あちこちにいろいろなメーカーが工場を作って様々なブランドを展開するのではなく、多分トラクターといえばベラルーシ、エンジンはミンスクという感じで作っていたと思うんです。
で、もう一つトラクターの工場を作ったところ、ベラルーシに対しての南(現在のウクライナ)ということでYuMZ、ЮМЗということになったわけですね!
ベラルスといえばこれ
以前、日本に輸入されたベラルーシのトラクターを見ていました
この時、ソビエトはメーカーを絞って身内で競争せず、もちろん、メーカー内でも競争しない、徹底した少品種の、ある意味合理的な製造方法を取っているなぁ・・・と思ったものです。これなら常にユーザーが不便で売れ残りもありません。
それにそうすることで他のことができますしね。
当時のソビエトからしたら、発動機メーカーが120社以上あったという日本の昭和など気違い沙汰ですよね・・・「なぜそんなバカなことをするんだ!」と思うでしょう。
・・・いや〜・・・時間がかかりましたけど、今日は面白い旅ができました。友人に感謝です。今日はここまで。それではまた明日!
O.Mさん おはようございます
お返事遅くなりました
ご想像の通り、あのトラクターは今のウクライナで作られていた
南部機械製造YuMZ(ЮМЗ)の6、という名前のトラクターでした
古臭い形をしていますが、設計が古いだけでそんなに大昔のものではなかったです
こんにちは、キューバで活躍中のトラクターとは珍しいものを送ってもらえましたね。あのあたりだと昔なら革命前のアメリカ製か、革命後はソ連製や東欧(旧東独やチェコなど)が多く、近年だと中国製も入ってきているのではないだろうかと推察します。
余談ながらソ連や中国は国土が広いため各地にトラクター工場が分散していますが、工場ごとに得意分野やブランド(ネーミングがいかにも共産圏らしい!)があるようで、戦時中は戦車工場としても機能していたところも一部にはありました。