これで戸畑鋳物株式會社の石油発動機とポンプは久保田鉄工へ行ったことはわかりました。今日は日立へ行った金属継手、バルブ関係です。
バルブの歴史的なことも書いてあります。戸畑鋳物株式會社が作っていたのは継手ですが、その技術を元にもう少し複雑なバルブを作った・・・というのがこの製品のようです。
少し長いですが、興味深いので引用しておきます。
マレブルバルブの歴史は昭和17年に始まります。当時の陸軍燃料廠より「ねじ込み式可鍛鋳鉄管継手で実績のあるマレブルを使って何とかバルブも作れないか」との依頼を受けて開発したのが「陸燃形」という当社マレブルバルブの第一号です。このバルブは終戦と共に製造中止となりましたが、昭和25年バルブ技術の習得の意味も含め、まず青銅弁の生産販売を開始、昭和31年には、陸燃形バルブの使用実績にもとづく経験から、シートには硬化肉盛を施し、弁機能を高め、1.96MPaの中圧の分野すなわち鋳鍛鋼弁分野へのVA提案として開発に着手、昭和33年の発売開始時に既に1.96MPaの蒸気や熱媒ラインなどの鋳鍛鋼弁分野のバルブとしての使用実績を築き高い評価を得て参りました。その後ユーザの要求に応え、10K弁、汎用弁とアイテムを拡大し今日に至っております。
https://www.hitachi-metals.co.jp/products/infr/pi/valve/pdf/ca_02_2019_06.pdf
また、何の断りもなくどんどん出てくる「マレブル」ですが、調べてみると英語でmalleable(可鍛性)、マレアブル鋳鉄とか黒心可鍛鋳鉄(FCMB)と呼ばれる鋳造に使う鉄の種類でした。
可鍛とあるので、鋳造後に鍛造できるのかと思ったらそうではなく、強く叩いても割れにくいという意味らしいです。
Wikipediaによると
鋳鉄は多くの炭素を含むため、組織の中にグラファイト(黒鉛)が晶出する。晶出する黒鉛の形状は、冷却速度や、合金成分によってかわり、それによって強度が変化する。ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)では黒鉛が片状に析出するため、伸びがなく硬くて脆い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%B3%E9%89%84
だから叩くと割れちゃうのか!
僕の理解が正しければ黒鉛が片状に晶出して割れやすい通常の鋳物を、鋳造後に熱処理をして黒鉛を塊状に散在させることで、強度をあげたのがマレブル(叩ける鋳物)だったわけです。
今は薬品によって黒鉛を散在させ、かつその形も球状化させて黒鉛の廻りにかかる応力を分散させて強靭にしたダグタイル鋳鉄というもの(聞いたことがあります。相当固いらしい)ができているそうです。
戸畑鋳物株式會社という「名」は昭和6年になくなってしまいましたが、瓢箪も、マレブルも今の世に残っています。そのスピリットというかDNAはきっとクボタのエンジンや、日産のクルマにも生きていますよね!
今日はこんなところです。また明日!