昨日からの続き(トバタ陸用発動機SLの行方)

相関図、少し直しました。    戸畑鋳物株式會社は大正13年頃から石油発動機を作っていましたが、それらはクボタへ、   また金属継手、バルブ関係は日立製作所/日立金属へ、 それ以外の部分は日産自動車へ行き、 本体はなくなってしまったように見えます。    もちろんデータの寄せ集めなので間違っているかもしれません。  社史やWikipediaだと一対一の関係が主に書かれているので、相関的に理解するのが僕には難しいです。   クリックでで拡大します。
相関図、少し直しました。

戸畑鋳物株式會社は大正13年頃から石油発動機を作っていましたが、それらはクボタへ、
また金属継手、バルブ関係は日立製作所/日立金属へ、
それ以外の部分は日産自動車へ行き、
本体はなくなってしまったように見えます。

もちろんデータの寄せ集めなので間違っているかもしれません。
社史やWikipediaだと一対一の関係が主に書かれているので、相関的に理解するのが僕には難しいです。

クリックでで拡大します。

これで戸畑鋳物株式會社の石油発動機とポンプは久保田鉄工へ行ったことはわかりました。今日は日立へ行った金属継手、バルブ関係です。

銘板部分を拡大します。 トバタ陸用発動機 型式SL 機械番号----- 馬力1.5 回転数100.0 特許番号 製造元 戸畑鑄物株式會社
僕の見たトバタ陸用発動機SL銘板部分を拡大します。

トバタ陸用発動機
型式SL 機械番号—–
馬力1.5 回転数100.0
特許番号
製造元 戸畑鑄物株式會社

登録商標のヒョウタンが見えます。
日立金属のWEBページにそのヒョウタンを見つけることができました。
日立金属のWEBページ、製品紹介の部分にそのヒョウタンを見つけることができました。戸畑鋳物株式會社の石油発動機についていた銘板のマークと全く同じものです。最新の商品紹介に明治43年の商標が使われているというのが大変興味深いです。
製品カタログの一番初めに瓢箪印のことが書いてあります。 鋳物の理想である“より強靭に、より滑らかに、より美しい曲線に”との願いを込めて鋳出しされたのがこの「ひょうたん」マークです。以来 印は産業から暮らしまで、国内はもとより海外でも“Gourd Brand”の名で親しまれ、高い評価を得ています。
製品カタログの一番初めに瓢箪印のことが書いてあります。

鋳物の理想である“より強靭に、より滑らかに、より美しい曲線に”との願いを込めて鋳出しされたのがこの「ひょうたん」マークです。以来 印は産業から暮らしまで、国内はもとより海外でも“Gourd Brand”の名で親しまれ、高い評価を得ています。

鋳肌とよくいわれるザラザラの肌を、ツルツルにしたい!という気持が瓢箪だったのですね!

バルブの歴史的なことも書いてあります。戸畑鋳物株式會社が作っていたのは継手ですが、その技術を元にもう少し複雑なバルブを作った・・・というのがこの製品のようです。

少し長いですが、興味深いので引用しておきます。

マレブルバルブの歴史は昭和17年に始まります。当時の陸軍燃料廠より「ねじ込み式可鍛鋳鉄管継手で実績のあるマレブルを使って何とかバルブも作れないか」との依頼を受けて開発したのが「陸燃形」という当社マレブルバルブの第一号です。このバルブは終戦と共に製造中止となりましたが、昭和25年バルブ技術の習得の意味も含め、まず青銅弁の生産販売を開始、昭和31年には、陸燃形バルブの使用実績にもとづく経験から、シートには硬化肉盛を施し、弁機能を高め、1.96MPaの中圧の分野すなわち鋳鍛鋼弁分野へのVA提案として開発に着手、昭和33年の発売開始時に既に1.96MPaの蒸気や熱媒ラインなどの鋳鍛鋼弁分野のバルブとしての使用実績を築き高い評価を得て参りました。その後ユーザの要求に応え、10K弁、汎用弁とアイテムを拡大し今日に至っております。

https://www.hitachi-metals.co.jp/products/infr/pi/valve/pdf/ca_02_2019_06.pdf

また、何の断りもなくどんどん出てくる「マレブル」ですが、調べてみると英語でmalleable(可鍛性)、マレアブル鋳鉄とか黒心可鍛鋳鉄(FCMB)と呼ばれる鋳造に使う鉄の種類でした。

可鍛とあるので、鋳造後に鍛造できるのかと思ったらそうではなく、強く叩いても割れにくいという意味らしいです。

Wikipediaによると

鋳鉄は多くの炭素を含むため、組織の中にグラファイト(黒鉛)が晶出する。晶出する黒鉛の形状は、冷却速度や、合金成分によってかわり、それによって強度が変化する。ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)では黒鉛が片状に析出するため、伸びがなく硬くて脆い。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%B3%E9%89%84

だから叩くと割れちゃうのか!

僕の理解が正しければ黒鉛が片状に晶出して割れやすい通常の鋳物を、鋳造後に熱処理をして黒鉛を塊状に散在させることで、強度をあげたのがマレブル(叩ける鋳物)だったわけです。

今は薬品によって黒鉛を散在させ、かつその形も球状化させて黒鉛の廻りにかかる応力を分散させて強靭にしたダグタイル鋳鉄というもの(聞いたことがあります。相当固いらしい)ができているそうです。

瓢箪印のマレブルバルブ、どんな製品かと思えばごく普通のもの。
瓢箪印のマレブルバルブ、どんな製品かと思えばごく普通のもの。ちゃんとボディにも瓢箪のマークがついていますね!

戸畑鋳物株式會社という「名」は昭和6年になくなってしまいましたが、瓢箪も、マレブルも今の世に残っています。そのスピリットというかDNAはきっとクボタのエンジンや、日産のクルマにも生きていますよね!

今日はこんなところです。また明日!

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