今日は北海道開拓の村で見た、巨大な湯たんぽのようなFORDSON F型「撮りトラ」です。
照明のない、暗い倉庫のような場所に展示してあったのでかえって印象的な写真になりました。「佇んでいる」という感じです。ラジエターはありますが自然対流式なのでしょう。冷却水の注ぎ口?が見えています。ねじ込み式のキャップのようですね。
そのラジエターにはのっぺりとした4.1L4気筒、ハーキュリーズ灯油エンジンの下のほうから大きな冷却水のパイプが繋がっています。エンジンの上にはラジエターと同じシェイプで楕円形の燃料タンクが載っています。
tractordata.comによると、フォードソンという名前は、フォードモーターの株主がトラクターに興味がなく、ヘンリーフォードがトラクター製造のために「Henry Ford & Son」という会社をわざわざ設立せねばならなかったことに由来しているそうです。フォードソンF形は1917(大正6)年 – 1928(昭和3)年まで10年以上の永きにわたって生産されたようで、この機体のキャプションに昭和2年と書かれていることにも合致しています。
ブレてしまっていますが、もっとも気になったのはこの写真です。それは主に2つ。ひとつはこのトラクターのステップ。(ペグと言ってもいいかもしれません)巨大な鉄の塊なのに、こんなに小さな足のせです。丸で電柱の足場みたいです。鉄のお皿の座席といい、快適からはもっとも遠い場所に位置している感じです。
もう一つの気になった点は、ラジエターの横についている円筒形。よく見るとエンジンからチェーンを介して円筒の裏のスプロケットを回していることに気がつきます。どうも正面の4本はプラグに繋がった点火コードのように思えます。
これはオマケですが、排気管の曲がり・・・オリジナルではないのかもしれませんがクシャクシャです。
ぶれていますがさらに寄った写真です。回転子を内蔵しているのでしょう。ディストリビューターなのかな? 大げさな形です。それに、位置や取付けかたから見てもあとから取付けたようにも感じます。
実は以前北海道上富良野町にあるスガノ農機の『「土の館」 土と犂の博物館』で似たようなフォードソンを見ていました。
80年前のトラクタ
1922年(大正11)英国のフォードソン社で製作した内燃機関初期のもの、ガソリンで始動石油に切り替える。22馬力。
大正12年八雲町の徳川農場導入、主にモアーで牧草刈り作業。昭和30年に元山牧場で譲り受けプーリーの動力作業に長年使用後、大切に保存していた。「国内でも希少価値の高い産業遺産の1台」
複雑な給排気系。これも吸気を排気で暖めるタイプなのかな・・・右奥にはディストリビュータが見えます。つまり、このフォードソンには巨大な円筒の箱はついていないんです。
そこで他のフォードソンはどうかと画像検索してみました。するとなんと!今度は別の箱を発見してしまいました。コードが4本繋がっていますから行く先はプラグでしょうねぇ・・・
ただのバッテリーケースでディストリビューターではないのかもしれませんけど、フォードソン界で流行しています。
ホント大流行です。
もしかしたら謎が2つになってしまったのかもしれません。結論は出ませんでした。それではまた明日!
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