今日も田植機考古学。イセキの田植機で行ってみたいと思います。昨日のダイキン・ヤンマー動力苗まき機TP21を扱った記事の中でイセキ最初の動力田植機PC20型に少し触れました。
その写真を探してもなかなか出てこないので、その次に出たイセキ最初のフロート式超軽量動力田植機PF20「さなえ」にします。

「■PC20型とフロート式PF20型の開発」としてこのような記述がありました。
当社が田植機に開発大正をマット苗用円筒型に切り替えたことは第4章で述べたが、その試作第一号機が完成したのは昭和43年9月である。市場テストを重ねて商品化を検討した結果、円筒と車輪にナオ改善の余地があったので、基本仕様の見直しを行ない、構造・機能の欠点を是正して、44年7月に「PC20型」として商品構成に加え、45年から試験販売を開始した。
とあります。イセキの動力田植機は昭和45年、つまり1970年に販売されたということです。マット苗円筒形かひも苗式かの違いはありますが鉄車輪の耕耘機タイプというところがダイキン・ヤンマー動力苗まき機TP21と似ていますよね!
で、今日はそのPC20型の下の写真、PF20型「さなえ」です。写真で引用したイセキの社史「井関農機60年史」174pにはこのような記述が続きます。
しかし、最終的な定着商品とするには、フロート式が現れ始めた他社製品との競争力などの点で問題があり、生産は2350台で中止することにした。そしてPC20型とは視点の異なる、フロート式超軽量田植機を新たに研究することとなった。




このPF20の形状については既出のイセキの社史「井関農機60年史」174pに興味深い記述があります。
また、基本型を先行他社に追従して「1輪前傾苗タンク式」とするか、当社独自の「2輪後傾苗タンク式」とするかが、設計スタッフを二分する争点になり、いずれとも決しかねた。結局、徹底的な比較検討のすえ後者を選択したのであるが、これが当社田植機を大成功に導くものとなった。

そして反骨精神からか「2輪後傾苗タンク式」を採用したPF20「さなえ」は1970年に商品構成に加えられたそうです。大成功というのですから、バカ売れしたのでしょうね。

ラクな操作で20人分の働き・・・田植コストは大巾にダウン
ヰセキ田植機PF20「さなえ」は田植作業を楽しく、かつコストを大巾にダウンし、農家のみなさまの期待に応えました。
広告からは田植は辛くコスト(人手)がかかった・・・ということが読み取れます。
ヰセキ田植機PF20
●エンジン 4サイクルヰセキKF344・出力2.5ps
●機体寸法 全長1940mm・全巾900mm・全高810mm
●重量 65kg
●走行方法 2輪フロート式、サイドクラッチ付
●能率 60分/10アールあたり
●育苗方式 ばらまき苗
エンジンがむき出しなところなど、荒削りなところも見えますけどほぼ見慣れた田植機の形に仕上がっていますよね!
きょうはここまでです。また明日!