休みの日は見に来る人も少ないので今日は趣向を変えて・・・国立科学博物館で開催されていた、明治150年記念、日本を変えた千の技術博という特別展で見たものいろいろ・・・

明治改元から150年、そして2019年に予定される改元。
時代が転換するこの機会にあわせて日本を大きく変えていった科学・技術の成果が一堂に集まります。
日本各地の大学・研究機関や企業などから、
600を超える点数の貴重な科学・技術の遺産が上野の国立科学博物館に大集合!
科学者・技術者の発明・発見にまつわるエピソードや世相、関連する写真などを合わせ、
“日本を変えた千の技術”をたっぷりと紹介していきます。
中でも、「重要文化財」や、「化学遺産」、「機械遺産」、「情報処理技術遺産」、
「でんきの礎」、 「未来技術遺産」に認定された約50点の資料は特に注目です!
もう終っちゃいましたけどね。
こういう展示を見ていておもしろいのは、今では考えられない・・・でも良く考えると現在も一緒・・・という部分です。やっぱり少しはとっかかりがないと、何も考えずに「へー」と終ってしまいますからね。

一番フックしたのは絵なのですが、キャプションを引き写してみます。
生活改善と家電の普及
大正時代から、科学的知識に基づいた生活や、生活の合理化を標榜して「生活改善」と呼ばれる社会ムーブメントが起きた。生活改善同盟会などが組織されて、虚礼虚飾の因習を排し、科学的・経済的生活の推進や、和式と洋風生活との融合を目指し、官民挙げて、時間の遵守、衛生的生活、家電製品の利用などが奨励された。
とあります。これって前回見たクォーツ時計の「時間にルーズだった日本人を正確な時計が変えた」と考えたくだりの「生活改善」運動と同じものです。

対して戸棚にしまった食品は痛んで悪臭を放っています。
こういう「こうしないと大変悪いことが起きます」というキャンペーン、今でも日本のあちこちで行なわれていますよね?
生活改善の三段論法

和服に火鉢で骨董をおっさんと眺めるより、家庭の団欒のほうがいいでしょ?というキャンペーンです。団欒のある家庭ってのが、欧米風の生活の中で妻や子と繰り広げるというのがミソです。

家に帰っても同じく火鉢じゃどうしようもないでしょ?電気ですよ。電気・・・と、今までの日本の標準的な生活を「不衛生である」と、切って捨てています。

土間の竃で煮炊きする生活をオーブンやシンクを使った欧米風なものに変えようという提案です。お!換気扇まであるみたいですね。
この生活改善運動とは直接関係はなさそうですが、この時代は女性の職種も増えて社会進出が進んだそうです。
しかし、この絵を見ると三枚の絵を通して奥さまは和服ですね。(子供が洋装なのにもかかわらずです)生活改善は男性のためであって、女性自身は旧態のほうが良いと思われていたってことですよね・・・時代だなあ。これで居間から台所まで・・・女性の役割や内外面を除き、愉快で衛生的な家庭の欧米化が完成です。ただ、そもそもの骨董弄りと家庭の関係がよくわかりませんけどね。
世の中を良くするのには『洋装だ』とか『電化だ』、『いや、衛生だ』というわかりやすいスローガンが牧歌的でおおらかで楽天的。いい感じです(内容の是非はともかくなんですが)
生涯学習e辞典というサイトに、久井英輔という方の生活改善運動についての記述がありました。(これらを研究の課題とする場合、持つべき視点を提示しているの感じなのでしょうか?)いくつかの側面からの評価が書かれていて興味深いです。
今でも行なわれる官民を挙げてのキャンペーンについて、「またトップダウンかよ」「俺らを手なずけようとしてんじゃネエの?」とか「やるのは自分なんだから、いいとこだけ取りゃあいいじゃん」とか「言ってる人はともかく、言ってることは間違ってないんだから」なんて様々な評価があるわけですが、大昔からのことなんだなあ・・・なんて改めて思いました。
今日はこんなところです。また明日!