日本で最初の自脱型コンバインはフロンティア・・・イセキHD50型コンバイン

近所のコイン精米所で精米していたら、壁に貼ってあるチラシが目につきました。イセキのチラシです。なに?『ありがとう50年。〜自脱型コンバイン50周年〜』だとっ?!
近所のコイン精米所で精米していたら、壁に貼ってあるチラシが目につきました。イセキのチラシです。なに?『ありがとう50年。〜自脱型コンバイン50周年〜』だとっ?!

あ!目についたのは大きな面積を占めていた販売部分ではなく、その下のすごく小さな部分だったんですけどね。「1966年 世界初の量産自脱型コンバイン HD50」ワクワクする言葉じゃないですか!

写真から大きさはわかりませんが、バインダーに何か機械がくっついた(自脱部分なのかな?)ような形をしています。調べてみると、まず産業技術史資料データベースというのが見つかりました。

「自脱型コンバイン HD50型」昭和41年9月、当社が世界にも例のない自脱型コンバインHD50型を完成し、一般に公表。これが歩行型コンバイン「フロンティア」である。これは全くの当社オリジナル商品であり、業界内外の注目を集めた。S42年7月から生産、販売を開始し、つくるはしから売れていった。小型軽量(580kg) で、価格も小売り50万円と手ごろであった。
「自脱型コンバイン HD50型」昭和41年9月、当社が世界にも例のない自脱型コンバインHD50型を完成し、一般に公表。これが歩行型コンバイン「フロンティア」である。これは全くの当社オリジナル商品であり、業界内外の注目を集めた。S42年7月から生産、販売を開始し、つくるはしから売れていった。小型軽量(580kg) で、価格も小売り50万円と手ごろであった。

「S42年7月から生産、販売を開始し、つくるはしから売れていった。小型軽量(580kg) で、価格も小売り50万円と手ごろであった。」すごく生々しい記述です。こういう書き方、よく見ますけど一体誰の言葉なのかすごく興味があります。

ことばのロンダリングというか、こういうのってだれか個人が言ったことだと思うのですが、それを「つくるはしから売れていった」とか「手ごろであった」と書くことによって大勢の感じたことになっていくような感じ・・・

悪いことと思うわけではなく、インタビューされた人の「よく売れたねえ」とか「手頃だったからじゃない?」なんていう言葉が書き言葉の「つくるはしから売れていった」とか「手ごろであった」になり、流れを代弁する形になっていくのがなんだかおもしろいです。

そしてなぜか同じHD50型がもう一つデータベースで見つかりました。同じものなのかな?ちょっと形が違うか・・・全自動脱穀機(自脱)と刈取装置を搬送装置で一体的に結合させた稲・麦収穫用の機械である。わが国の稲は脱粒性が「難」であるため、欧米式脱穀機では穀粒損失が多い。自脱の持つ脱穀特性を生かした構想で、上森農機と農林省農試が昭和36~39年に共同研究を行いプロトタイプを完成した。以後、多くの農機メーカが積極的に開発を試み、昭和42年、写真の「歩行2条刈自脱コンバイン」が井関農機から量産・市販され始めた。 
そしてなぜか同じHD50型がもう一つデータベースで見つかりました。同じものなのかな?ちょっと形が違うか・・・全自動脱穀機(自脱)と刈取装置を搬送装置で一体的に結合させた稲・麦収穫用の機械である。わが国の稲は脱粒性が「難」であるため、欧米式脱穀機では穀粒損失が多い。自脱の持つ脱穀特性を生かした構想で、上森農機と農林省農試が昭和36~39年に共同研究を行いプロトタイプを完成した。以後、多くの農機メーカが積極的に開発を試み、昭和42年、写真の「歩行2条刈自脱コンバイン」が井関農機から量産・市販され始めた。

どちらも愛媛県松山市の井関農機展示館にあるもので、別の機体みたいですね。背景が違うし・・・

更に検索してみると、発明協会というところがやっている「戦後日本のイノベーション100選」というのが見つかりました。インスタントラーメンやウォークマン、新幹線やウォシュレットなど、おなじみのものが並んでいます。

ただ、朝は時間がないのですっとばしてHD50を・・・

「自脱型コンバインと田植機」というタイトルです。なんで田植機とコンバイン?と思いましたが、考えてみればたくさん米を穫るためにはどちらも大切です。片一方が律速になってしまうのは避けたい・・・田植機とコンバインは車の両輪みたいに進化していったのでしょうね。
「自脱型コンバインと田植機」というタイトルです。なんで田植機とコンバイン?と思いましたが、考えてみればたくさん米を穫るためにはどちらも大切です。片一方が律速になってしまうのは避けたい・・・田植機とコンバインは車の両輪みたいに進化していったのでしょうね。
そして(2)自脱型コンバインの登場。こういう新しい機械は官主導で始まるものなんですね・・・最初に開発したのは農林省農事試験場なんだそうです。
そして(2)自脱型コンバインの登場。こういう新しい機械は官主導で始まるものなんですね・・・最初に開発したのは農林省農事試験場なんだそうです。
初めは歩行型からだったのか・・・
初めは歩行型からだったのか・・・
そこから各社が競って市販品開発をはじめたという経緯のようです。
そこから各社が競って市販品開発をはじめたという経緯のようです。

更に調べていると本家本元の井関農機のページでこんなものを見つけました。『井関農機 自脱型コンバイン50周年 DIGITAL GALLERY』

おお!HD50のきれいな写真が!
おお!HD50のきれいな写真が!

文字がジャマなのでどけてみると・・・どうも愛称が「Frontier」というみたいです。いまでも「フロンティア」という名前は使ってますよね?
文字がジャマなのでどけてみると・・・どうも愛称が「Frontier」というみたいです。いまでも「フロンティア」という名前は使っていますよね?
拡大してみます。やっぱりフロンティアだ!なかなか美しい文字です。
拡大してみます。やっぱりフロンティアだ!なかなか美しい文字です。
これはイセキコンバインHF456に付いているフロンティアの文字。(実際はフロンティアファイターですけど)書体もちょっと似てますよね?
これはイセキコンバインHF456に付いているフロンティアの文字。(実際はフロンティアファイターですけど)書体もちょっと似ています。

自脱型コンバイン大陸に最初の1歩を踏み入れたフロンティアとして、ずっと同じ名前を使っていたんですね! 前の記事で販売形式名と形式名が違って調べにくいなんて言ってゴメンなさい。

チラシを見た時、50周年のマークの横に何かのシルエットがある・・・と、気がついていたんですが、それが何かはわかりませんでした。でも、今はわかります。世界初の量産自脱型コンバインHD50のシルエットだったんです。
チラシを見た時、50周年のマークの横に何かのシルエットがある・・・と、気がついていたんですが、それが何かはわかりませんでした。でも、今はわかります。世界初の量産自脱型コンバインHD50のシルエットだったんです。

動画もありました

デジタルギャラリーの「ホンモノのHD50に会いにいこう」という所をクリックすると、イセキドリームギャラリー&熊本製作所というのが出てきます。でも展示コーナーイメージにはHD50はないなあ・・・どちらかというと最新の技術を紹介したいみたい・・・まあドリームギャラリーですからね。昔の夢より今の夢・・・というのももっともです。
デジタルギャラリーの「ホンモノのHD50に会いにいこう」という所をクリックすると、イセキドリームギャラリー&熊本製作所というのが出てきます。でも展示コーナーイメージにはHD50はないなあ・・・どちらかというと最新の技術を紹介したいみたい・・・まあドリームギャラリーですからね。昔の夢より今の夢・・・というのももっともです。

そういえば歩行自脱型のコンバインは以前『なんと46年前!クボタ歩行自脱型コンバイン HJ3・・・「昔のカタログシリーズ」』でも紹介しましたね。

クボタ 歩行自脱型コンバイン HJ3 1969年のカタログ
クボタ 歩行自脱型コンバイン HJ3 1969年のカタログですから、こちらは47周年。クボタのフロンティアはもうすこしで50周年です。お!これはレイアウトがイセキと正反対だ!

今日はこんなところでおしまいです。また明日!

上の記事とゆるく関連しているほかの記事:

“日本で最初の自脱型コンバインはフロンティア・・・イセキHD50型コンバイン” への2件の返信

  1. トラクター狂さん おはようございます

    スペックありがとうございます!
    乗用歩行兼用タイプなんてあったんですね・・・

    エンジンも発動機みたいなものだったのでしょうか
    50年も前のもの、考えたら半世紀前ですからね

    「HD50の現役が動いているかも」←なんて夢がある放しでしょう!

  2. HD50のスペックです。

    全長・・・2310mm~2510mm
    全幅・・・1680mm~2620mm
    全高・・・1385mm
    重量・・・600kg(乗用歩行兼用タイプは615kg)

    変速段数・・・前進6段・後進2段

    刈幅・・・500mm(2条刈)
    刈高さ・・・20mm~150mm
    脱穀形式・・・自脱式
    作業能率・・・1~1.5hr/10a

    エンジン・・・空冷4サイクルハイオクタン灯油 ヰセキ KF1300 12馬力

    ウチの近所に朽ち果てたHD50と思われるコンバインがいます!

    と言っても、刈取部・脱穀部は外されて、エンジンも違う物(確かヤンマーだったかな?)が載せられ、クローラー運搬車に改造してありました。

    原型はとどめていませんが、エンジンの配置や操作部の形状から、あれはHD50じゃないか?と判断しました。

    何年も道路沿いの畑に放置されていて、ボロボロでしたが、ちょこちょこ場所が変わっているので、まだ実働みたいです。

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