ムック本で「けーこ」ことコマツトラクター(ブルドーザー)G40を偶然見たという昨日からの続きです。この記事の中の写真では「35才生きて還ったブルドーザー」という写真が載っていますが、戦争経験者にしちゃ若すぎるなあ・・・と思っていると・・・
よく読んだら
1935年 G40型トラクター誕生
1937年 日中戦争勃発 軍用道路建設機械(ブルドーザー)の開発に着手
1941年 満州にCAT製D4ドーザーを見に行く
1941年末 太平洋戦争の勃発とともに図面はお蔵入り
1942年末 今度は海軍から飛行場建設用機械(ブルドーザー)開発要請
1942年末 もう図面もあったのですぐに中古改造で生産
1945年 敗戦「けーこ」捕まる その後海中投棄
1948年頃 「けーこ」船舶航行安全のため引き揚げられる
海中から引き揚げられた「けーこ」の機体はサンゴに覆われて無惨な姿だったそうですが、塩水を洗って油を注すとエンジンも始動すぐに動き出したそうです。う〜ん・・・驚き。
それにしても7.58リッター50馬力水冷4サイクル4気筒OHVガソリンエンジンをハンドクランクで始動するのって大変なんだろうなあ・・・
1978年 オーストラリアのコマツディーラーのお偉いさんが「けーこ」発見
1979年 「けーこ」日本へ里帰り
という感じで1979年5月冒頭の写真となった流れのようです・・・もう34年も前の話なんだ。「けーこ」さんはもう70過ぎのおばあさんなんですねえ。
Black&White使う人次第
「けーこ」はもともと農場で働く「トラクター」で、それが鉄炮ならぬ鉄板の排土板を持たされて戦場に送られ、でも実際にはG40全部が全部戦場に行ったのではなく、南方への輸送途中で輸送船が沈められて大部分は海の底。
わずかに戦場にたどり着いた「けーこ」も敗戦でやっぱり海の底・・・でもそこから引き揚げられオーストラリアの農場で働いていたってのが何とも泣けちゃいそうなお話。
コメント欄にも書きましたけど、もともと農業をやるように作られた機械ですから、極々フツーにどんな国のどんな人でも見て触れば農業に使うってのがおもしろいです。きっと、宇宙人がこの機械を初めて見て触っても農業に使うのではないでしょうか?
でも農業以外に使うとバクハツするわけじゃあないですから、戦争にでも殺人にでもドロボーにでも(そういえばひと頃ATM破壊窃盗なんてありましたね)使えるわけです。
使い方によって同じ作業でも白にも黒にもなる・・・使い方だけでなく、売り方、見せ方・・・すべてそうですねえ。
もうなにもかも使う人次第で戦略物質。農業機械も核もエンターテインメントもコメもトウモロコシもレアアースも種も通貨もみんなみんなです。人の思惑が介入して戦争から本来の目的の作業まで黒から白へ無段階のグラデーションで・・・
どうしようもないことですけど、見た目だけでは判断できないってことですね。