イネと技術の発展
日本のイネに関しても、昔からの各地の気候にあったさまざまな品種が生み出され、栽培されてきた。そこには日本のバイオテクノロジーの原点を見ることができる。しかし現在では、かつてあった多くの品種は顧みられることなく、消費者に人気のある特定の銘柄だけが作付け面積を増やしている。多様性が減少しているのは自然界の話だけではない。先祖がつくった技術体系と品種の多様性を維持するために、私たちの努力が必要とされている。とこのように書かれ、日本に存在してきた様々なイネの品種を培ってきた技術の産物である多様性と捉え、経済製だけを考えあるひとつに収束した結果、他のものが途絶えることの危機感を訴えています。確かに過去、このようなことが幾度となく起きてきましたものね。一度途絶えてしまったものは復活させることが難しいですから・・・
本州と北海道品種の比較
これは、本州の代表的な栽培品種である「コシヒカリ」と「ササニシキ」を、北海道の環境で育てたものである。右側に展示している北海道の代表的な品種「きらら397」と同時期に作付けを行い、「きらら」が収穫を迎えた時に刈取りを行った。この時点で、コシヒカリ、ササニシキとも収穫できる状態ではない。収穫時期まで待つと霜害にあう。このため、本来、熱帯性の植物であるイネを夏の短い寒冷地で育てるには、品種改良によって生育期間を短くする必要がある。
とあります。写真ではわかりにくいですが、「きらら」が黄色くもう収穫できるのに対し、「コシヒカリ」と「ササニシキ」はまだ青く未成熟な写真が示され、気候によって品種改良が必要であることが説かれています。多様性が失われた状態で「今」人気のある品種ばかりを作っていると、気候が変動したり、嗜好が変わったりした場合に対応ができなくなる・・・ということなのでしょうね。