今日はhokkaidoujinさんにお招きいただき行ってきた、第34回国際農業機械展in帯広で見た、ニューホランドのコンセプトトラクターNew Holland methane powered concept tractor「撮りトラ」です。
誤解を恐れずに言えば、第34回国際農業機械展in帯広の会場の中で、そのコンセプトといい形といい、頭一つ抜けて一番輝いていたのがこのトラクターだと思います。(当社比)
フェンダーやルーフ、ウエイトに付いたマーカーランプ。なかなか斬新です。ニューホランドのバッジも光るんですね!
後ろまわりもスキがありません。このテールランプは本当に斬新・・・今までこんなの見たことがありません。
もちろん上から見てもスキがありません。三次曲面のキャビン。まるでコップの底です。
これは戦闘機のキャノピーの技術なのでしょうね・・・アクリル製だろうなあ・・・
でも、一番素晴らしいと感じたのはメタンガスを燃料とするコンセプトの部分です。農業生産の過程で出る糞尿や植物残滓でメタンガスを作り、そのガスを燃料としてトラクター、農業生産のエネルギーにしようという試みです。
デザインもそうですが、そういうトラクターを取り巻く環境のデザインがとても素晴らしいと感じました。
フードマイレージならぬ、エネルギーマイレージ。日本であれば中東から原油を運んで、製油所で精油し、ガソリンスタンドまで運び、そこから農場までやってくる・・・気の遠くなるような距離を石油を使って運ばれてくる燃料が裏庭でできる!
職住近接ならぬ職エネルギー近接というわけです。他の展示がこれまでの技術の進化というものであったり、能率を上げたり、人を楽にさせる技術であったりする、昔からずっと続いてきた農業機械の進化の延長線上にあるのに対して、このニューホランドメタンパワードコンセプトは一歩進んだ提案のように思います。
しかもメタンガスが燃料ですから、排気ガスもCO2の発生量が石油系燃料と比較し約20%少ないそうです。
エネルギーをそれを使う場所の近くで作るというコンセプトは素晴らしいです。石油系燃料よりクリーンな排気を実現できるというのも素晴らしい!ただ一つ残念なのは、その生産物は巨大なトラクターで大量に生産され、遠く離れた消費者の元にこれまた石油をたくさん使って運ばれるという矛盾を抱えていることです。エネルギーマイレージを解決できてもフードマイレージは解決できない・・・ということですね。
だからといってこのトラクターの素晴らしさが色あせるということはありませんけど・・・何にしてもカッコいいし・・・
それからここまで各部がカバーされたトラクターも今までなかったですよね?
整備性はめちゃめちゃ悪そうです。まあ、メタンガスを燃料とする特殊なトラクターを気軽にバラすわけにも行かないでしょうけど・・・
あ!上の写真と見比べてみると、このトラクター左側からしか乗り込めないんですね!こちらにはステップがあるけれど、反対側はただの模様です。
ちゃんと動くみたいですし、ショーモデルだけではなく、これからトラクターはこうなっていくかもしれませんね。
僕個人の感想ですが、レンジが狭いと言うかすごく閉塞感、頭打ち感のあった他の展示を見たあとにこの展示を見たというのもあり、「未来は明るいゾ!」という気持になったのを思い出します。そもそもニューホランドのブースはすごく力が入っていましたし、その中でも特に力が入っていて、見せ方もとても上手だったのだと思います。
メタンガスが主流になるとは思えませんが、これからはトラクター単体の進化・・・というより、トラクターと社会(もう既に排ガス規制でトラクターと環境という関わりは始まっていますが)とか、トラクターと宇宙とか、トラクターと住まいとか(わかんないですけど)何か1つ2つかかわり合った形で進んで行くような気がします。
今日はこんなところです。また明日!