『この手が知っている』三菱かつらディーゼルエンジンM形シリーズ「昔のカタログ」

今日はトラクター狂さんに送っていただいた、三菱かつらディーゼルエンジンM形シリーズのカタログ、「昔のカタログシリーズ」です。トラクター狂さん、いつもありがとうございます!

 

トラクター狂さんによれば、昭和45年、1970年頃のカタログだそうで、この三菱かつらディーゼルエンジンの「かつら」というのは、京都の桂で作られていたから・・・ということです。始動ハンドルをギュッと握った手をドーンと持ってくるという、1970年のモノとは思えないダイナミックな作りで目を惹きます。 そして、「小さくこの手が知っている」

トラクター狂さんによれば、昭和45年、1970年頃のカタログだそうで、この三菱かつらディーゼルエンジンの「かつら」というのは、京都の桂で作られていたから・・・ということです。「溢れるパワー」と大きな文字、また、始動ハンドルをギュッと握った手をドーンと持ってくるという、1970年のモノとは思えないダイナミックな作りで目を惹きます。
そして小さく、「この手が知っている」書かれ、溢れるパワーをこの手が知っているということを表しています。セルモーターではなく、手でエンジンを掛けていたということが特徴的にわかる表現が興味深いです。

 

これ、凄くよくわかるのはオートバイに乗っているせいかもしれません。

 

さすがに手では掛けませんが、キックスターターなので「足が知っている」のです。250cc、500cc、600cc・・・排気量が大きくなると抵抗や慣性力が大きく簡単には掛けられなくなります。また4ストロークの場合、上死点出しをしなければムダにキックすることになったり、ケッチン(キックが異常燃焼で跳ね返ってくること)を喰らって踵の骨を折ったりするので厄介です。

 

きっと当時の動力エンジンの使い手は、そんな風に微妙なコツや感触の経験をその手に持って、エンジンを扱っていたのだと思います。

 

ディーゼルの中のディーゼル《かつら》! 《かつら》のレトロな書体がいいです!こういうのも韻を踏むというのでしょうか・・・小見出しの最後は全部「!」で終わっています。 その小見出しのなかで目を惹くのは「ほかにないネバリ強さ!」農機のカタログでは「粘り強さ」を「ネバリ強さ」と、カタカナ表記するのはなぜなんでしょう?ネバリと書けば確かに目に飛び込んできますが、なんだかあっさりした印象で、あんまり粘らないような気がするのですが・・・

ディーゼルの中のディーゼル《かつら》!
朝日を望むかつらディーゼルの構図です。《かつら》のレトロな書体もいい!
こういうのも韻を踏むというのでしょうか・・・小見出しの最後は全部「!」で終わっています。
その小見出しのなかで目を惹くのは「ほかにないネバリ強さ!」農機のカタログでは「粘り強さ」を「ネバリ強さ」と、カタカナ表記するのはなぜなんでしょう?ネバリと書けば確かに目に飛び込んできますが、なんだかあっさりした印象で、あんまり粘らないような気がするのですが・・・

 

1馬力刻みな感じ、細か伊ラインナップであるのがわかります。エンジンだけ、こんなにたくさん売っていたんですね。それを、買った人が様々な装置に繋いで使っていた・・・ということになります。 そう考えると、当時の人達は相当頭を使う機会や工夫する機会があったわけで、今のように動力と機能が完全に結びついて切り離せなくなっているので、

1馬力刻みな感じ、細かいラインナップであるのがわかります。エンジンだけ、こんなにたくさん売っていたんですね。それを、買った人が様々な装置に繋いで使っていた・・・ということになります。
そう考えると、当時の人達は相当頭を使う機会や工夫する機会があったわけで、今のように動力と機能が完全に結びついて切り離せなくなってしまっているということは、ある意味無駄に動力を買ってしまっている・・・ということでもありますねぇ・・・

 

そもそも現在は小型エンジン単体でこんなゴージャスな透視図つきのカタログが成立しそうにありません。当時のエンジンは貴重で高価なものだったのでしょうね。

そもそも現在は小型エンジン単体でこんなゴージャスな透視図つきのカタログが成立しそうにありません。当時のエンジンは貴重で高価なものだったのでしょうね。僕にとって興味深いのはコンデンサ冷却装置と言う部分です。

コンデンサ冷却装置
三菱が開発した加圧式コンデンサ。冷却水の蒸発量が少なく、放熱効果がよいとともに、冷却水をいつも理想的な沸とう状態に保つ。また、ホッパ冷却装置は、冷却水容量が特に大きく、補給回数が少なくてすむ。

とあります。
加圧強制循環式ではないラジエターのことをコンデンサというのですね!このエンジンは、ホッパのような開放型の冷却装置とコンデンサを備えたハイブリッド形だったのです。また、スタートパイロットという部分も興味深いです。

減圧レバーを押えると、始動前の油膜の切れたカラカラのシリンダーに燃料が少しだけ押し出されて油膜を張り、(軽油には少しだけオイルが添加されていますものね!)ピストンの抵抗が減り、始動ハンドルが軽くなる・・・という機構・・・「その手の苦労」を知っている作り手が、その気持を汲んで装備したんですねぇ・・・

 

最後のほうに住所が書いてあるのですが、京都市右京区太秦巽町1番地になっていて、桂ではありません。調べてみると、三菱重工の桂工場は現在、陸上自衛隊の駐屯地になっているようなのです。

 

 ↑元桂工場の陸上自衛隊桂駐屯地

 

陸上自衛隊のWEBページに年表が載っていて、このようになっています。

 

  • 昭和16年 太平洋戦争開戦により航空機増産を軍当局から求められる
  • 昭和17年 桂・太秦に新工場建設し、規模拡大を図る方針が決定、海軍省経理局、川岡の農地を買収
  • 昭和18年 桂工場起工式、名古屋発動機製作所内に京都発動機製作所建設部を設置
  • 昭和19年 京都発動機製作所(桂)発足(火星型航空機エンジン生産工場)
  • 昭和20年 終戦、財閥解体(旧三菱重工業3社分割)京都機器製作所として再発足(桂・太秦・山科工場統合)
    (桂工場はトラックの生産)
  • 昭和24年 生産打ち切り、桂工場敷地(国有地)を国へ返還、太秦工場へ終結

 

となっていて、京都の工場は三菱自動車の工場で、現在もカタログにあった住所にあるようです。桂工場は航空機の星形エンジン、火星を作っていた工場なんですね!

 

 

 

桂工場の存在が昭和24年、1949年までということは、1970年のこのカタログにあるエンジンは桂工場製ではない・・・ということになります。

 

もしかしたら、「桂」という名は、航空機用、しかも星形エンジンというエンジンの最高峰のようなプロダクトに関わっていたという意味で、特別な名になっていたのかもしれません。

 

単なるエンジンとはいえ、戦争に関わった兵器の一部。平和産業としては直接それに言及するわけにはいかないので、技術の最高峰というエッセンスだけを引き継ぐ形で「かつら」という名前が使われ、後に太秦に工場が統合された後も使われたのではないか?と、想像します。

 

以上、勝手な想像でした。今日はここまでです。また明日!

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