休みの日は見に来る人も少ないので今日は趣向を変えて・・・国立科学博物館で開催されていた、明治150年記念、日本を変えた千の技術博という特別展で見たものいろいろ・・・

明治改元から150年、そして2019年に予定される改元。
時代が転換するこの機会にあわせて日本を大きく変えていった科学・技術の成果が一堂に集まります。
日本各地の大学・研究機関や企業などから、
600を超える点数の貴重な科学・技術の遺産が上野の国立科学博物館に大集合!
科学者・技術者の発明・発見にまつわるエピソードや世相、関連する写真などを合わせ、
“日本を変えた千の技術”をたっぷりと紹介していきます。
中でも、「重要文化財」や、「化学遺産」、「機械遺産」、「情報処理技術遺産」、
「でんきの礎」、 「未来技術遺産」に認定された約50点の資料は特に注目です!
もう終っちゃいましたけどね。
前回は『新聞広告最古の左横書きを探せ!』で、敗戦によって横書きは左横書きになったのかと思ったら、そうではなかったというお話。今日はちょっとだけ残ったその広告関係のお話から・・・

1905年(明治38)年の「治療薬報」に掲載されたアドレナリンの広告です。中央に写っている広告の文句を抜き書きしてみると・・・
アドレナリンは動物臓器中神秘的効能ありと博説さるる副腎の主成分なり。
アドレナリンは高峰博士の大発明にして之により氏の名は世界的となれリ。
アドレナリンは血圧を高進し血管を収縮する作用を有す。
アドレナリンは小外科に◯(漢字1文字読めず)く可らず、出血を減少し、手術を容易ならしめ、手術後の出血を防止す。
アドレナリンは診断に◯(漢字1文字読めず)く可らず、血管収縮に由りて深部の状況を窺ひ管壁の収斂に由りて消息子の通過を容易ならしめ、出血を止めて上面を済む。
後略(漢字が難しくて読めない部分が多いです)
昔のトラクターのカタログにあった
■グロープラグ付きですから寒冷時の始動も簡単です。
■高圧油圧シリンダを2コ装備していますので、1.2トンの持上力があります。
■ブレーキやエンジン部は、オール密閉式ですから、防塵、防水は完全です。
みたいな書き方と基本的に一緒の感じがします。

●水晶発振子のすぐれた安定性を導入
水晶をその結晶の特殊な方位に切断・加工してつくった振動子に一定の電圧を加えると、極めて安定した振動を持続いたします。
この原理を応用した大型標準時計は、今日までに各種開発され、日本をはじめ海外諸国の天文台、数多くの放送局、或は船舶の標準と計として利用されています。この大型水晶時計の原理をそのまま小型化・低電力化して、腕につけた状態で最も正確な精度を保たせる研究が、今日までに各国で進められてきましたが、セイコーは、世界に先駆けて水晶腕時計の商品化に成功しました。セイコー クオーツ・アストロンの水晶振動子から発せられる8,192HZ(電気的振動)の信号は、ICを通して毎秒1この信号に計数分割され、セイコーが開発した超小型のステップ・モーターが力強く働いて、1秒ステップで正確な時を刻みます。
とあります。
ポエム部分、感性に訴える部分ほぼゼロ。
ちょっと長く、気の短い現代人に最後まで読んでもらえない可能性もありますが、細かい部分を全く端折らない、とてもわかりやすい文章だと思います。今、なかなかこういうカタログってないですよね。あのチッチッチッっていう動き、モーターだったんだ!
この展示会のカタログのこの展示の部分に「昔は日本人も時間にルーズだった」とありました。幕末に日本にやってきた外国人は、時間にルーズな日本人に驚いていたということです。
維新が起こり、明治になって50年経ってもそのルーズさは変わらず、かの大隈重信が『開国50年史』のなかで嘆いていた・・・と書いてあります。
大正から昭和初期に、合理的な生活を勧める「生活改善」の運動の中に時間の尊守というテーマがあったとカタログに書いてありました。
50年経っても変わらなかった日本人のルーズさ・・・後にいわれる秒刻みの交通機関の運行など、このような運動によるものというより、クオーツ時計などの道具による部分が多かったかもしれませんね。

シリコン単結晶球(レプリカ)
キャプションには
産業総合研究所によって、兆候精度のレーザー干渉計と表面分析システムを用いて、測定された直径94ミリメートルのシリコン単結晶球体。1ナノメートル未満の測定精度は、キログラムの定義改訂に向け大きく貢献した。
とあります。
この単結晶球が1キロってわけじゃないの?一体どういう意味???と、調べてみると・・・日刊工業新聞に記載がありました。タイトルは『産総研、シリコン単結晶を高精密計測し質量再定義する値を決定』あとあとなくなっちゃうことを考えて引用しておくと・・・
現在は世界で唯一の国際キログラム原器に依存している。しかし長期的に汚染などで質量が変わるため、CGPMでは将来、原器を廃止して、基礎物理定数の一種「プランク定数」に基づいた値にキログラムを再定義するように決議していた。
産総研では、質量を精密に求めるために1キログラムシリコン単結晶球の体積を精密に測定。直径94ミリメートルの球を0・6ナノメートル(ナノは10億分の1)の精度で計った。これは原子と原子の間の距離に相当する。
重さと体積とシリコンの格子定数などを組み合わせ、プランク定数を算出した。精度は1億分の2・4。同様に算出されたカナダなどの八つのプランク定数を加味して、国際科学会議の委員会が高精度プランク定数を決めた。
質量標準が原器から基礎物理定数に変わると、計測技術があれば誰でも質量標準を設定できるようになる。
とありました。う〜〜〜ん・・・プランク定数・・・学校でさらっと習ったような気もするけど、全く覚えてない。
光子の持つエネルギー(エネルギー量子)ε は振動数 ν に比例し、その比例定数がプランク定数と定義される。
光のエネルギー E は光子の持つエネルギーの倍数の値のみを取り得る。
E = n h ν
1キロ=ナントカプランクってことなのでしょうか? そもそも、光子の持つエネルギーの定数がなんで体積を計るとわかるの? さらに単結晶のシリコンがどう係わってるの?
「計測技術があれば誰でも質量標準を設定できる」って、プランク定数がわかっているのだったら、もう計測技術はいらないんじゃん?
と、わからないことだらけ。

上のキャプション
KS磁石鋼 1918(大正7)年
日本で発明された当時世界最強の永久磁石。命名は研究費を寄付した住友吉左衛門に由来。
下のキャプション
新KS磁石鋼 1935(昭和10)年
鉄を主成分にコバルト約30%、ニッケル約15%、チタン約10%、さらに少量のアルミニウムからなる合金で、本多光太郎が所長時代に増本量、白川勇紀ラと開発した。発明当時世界最強を誇り、永久磁石として多用された。
とあります。

調べてみるとフェライト磁石は一般的に品番がSSRではじまることが多い(不正確だったり、間違っている可能性あり)みたいなので、SSRはフェライト磁石じゃないでしょうか。
そしてCORMAXは・・・これは自信がありませんが
で、NEOMAXがネオジム磁石じゃないでしょうか・・・
ネオジム磁石(ネオジムじしゃく、英語: Neodymium magnet)とは、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石(レアアース磁石)の一つ。永久磁石のうちでは最も強力とされている。1984年にアメリカのゼネラルモーターズ及び日本の住友特殊金属(現、日立金属)の佐川眞人らによって発明された。
とあります。
昨日も磁石でちくわやカッパ巻きを浮かしていましたが、日本の磁石ってすごいんですね!
今日はこんなところです。また明日!