日本ハッカの写真を撮っているとき、小さなツル性の植物を見つけました。花は直径1.5センチほどの小さなラッパ型、中心が濃い赤(ラズベリーやザクロみたいな赤)で、まわりが白、びらびらしたかわいらしい花です。
たくさん咲いています。ちょうどラズベリーとバニラがコーンに入ったアイスクリームみたいな感じです。「あとで調べよっと」なんて思っていたのですが、調べてみてビックリ。
ヘクソカズラ(屁糞葛)ですって!・・・しかし、先だってのビンボウカズラといい、このヘクソカズラといい、何の恨みがあるのか、カズラに対してすごいネーミングが続きます。(一度聞いたら忘れませんが)
すごい言われ様の名前のなんですが、確かに、青臭い草のニオイとは明らかに違う独特のニオイがするものの、「屁糞」までは行ってない感じがします。
ニオイのもとは何なの?
調べてみると、花や茎葉をちぎってって指先で揉むと、おならに似た臭いが出るのだそうです。ニオイのもとはメルカプタンという揮発性のガスで、細胞が傷つくと細胞中のペデロシドという硫黄化合物が分解して発生するらしいです。
そしてこのニオイ、人間もでしょうが、昆虫の嫌う成分で、葉を食べたり茎の汁を吸う虫に対し、自分を守る手段としてまき散らしていたのでした。
チオールとも呼ばれる、このメルカプタン、水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物で、都市ガスにもガス漏れ検知のため微量のチオールが添加されていたりするそうですし、チオールの仲間エタンチオールは、ギネスブックにおいて世界一臭い化合物とされているのだそうです。
歯周病患者の口臭の元もこれなのだそうで、要は魚とか肉とかタンパク質の腐った悪臭みたいなもん?なのでしょう。怖いけど、どれだけのものか今度チャレンジしてみます。
ヘクソカズラ (屁糞葛, Paederia scandens) とはアカネ科ヘクソカズラ属の植物の一種。別名ヤイトバナ、サオトメバナ。古名はクソカズラ(糞葛・屎葛)。日本各地、東アジアに分布する蔓性の多年草で、至る所に多い雑草。葉や茎に悪臭があることから屁屎葛(ヘクソカズラ)の名がある。
特徴
葉は蔓性の茎に対生し、形は披針形から広卵形で、縁は全縁。花期は7月から9月頃で、花弁は白色、中心は紅紫色であり、その色合いが灸を据えた跡のようなのでヤイトバナ(灸花)の別名がある。
利用
果実は黄褐色。干して水分を飛ばした果実、または生の実を薬用とする。ただ、生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるため、乾燥したものを使うことのほうが多い。劇的ではないが効用は認められており、しもやけ、あかぎれなどの外用民間薬のほか、生薬の鶏屎藤果としてもしられている。
文化
万葉集(巻十六)
かわらふじに 延ひおほとれる屎葛(くそかづら) 絶ゆることなく宮仕えせむ(高宮王)諺
「屁糞葛も花盛り」 いやなにおいがあってあまり好かれない屁糞葛でも、愛らしい花をつける時期があるように、不器量な娘でも年頃になればそれなりに魅力があるということ。類語に「鬼も十八番茶も出花」がある。
不器量な娘でも年頃になればそれなりに魅力がある・・・ですかあ
考えてみればことわざって、思い切り言いにくいことを誰もが言っていることにしちゃって、自分が言う「言葉のロンダリング」みたいなものですねえ。