農業機械年表のよすが【縁】国営検査はそういう意味だったんだ!今はもうやっていないらしいけど

ぐーっと視野が狭くなって三菱ばかり続けていくと自分ばかりおもしろくて、他の人がちっともおもしろくなくなるので少し話題を変えます。今日はたまたま読んだ『農機具国営検査要覧』という本に興味深いことが書いてあったのでそのことを・・・

年式はこの銘板である程度できそうです。国営検査合格票 1967年 7月 農業機械化研究所
ヤンマーYC6の銘板、金属ステッカーです。国営検査合格票 1967年 7月 農業機械化研究所と書いてあります。

いつも農機年式並べに便利に使っている(パズルのようでおもしろいです)この国営検査合格証票や安全鑑定などは全部ひっくるめて国営検査と言われているみたいです。(運輸省型式認定はそれに入らないのかな?)

銘板が2つ 小型特殊自動車 運輸省認定番号 農 364 号 三菱 CT531型 国営検査合格票 農用トラクタ(歩行型) (けん引駆動兼用型) 64059 1964年2月 農業機械化研究所
1964年、三菱耕耘機CT531
銘板が2つで

小型特殊自動車
運輸省認定番号 農 364 号
三菱 CT531型
国営検査合格票
農用トラクタ(歩行型)
(けん引駆動兼用型)
64059
1964年2月
農業機械化研究所
 

国営検査は農業機械化促進等について定めた日本の法律である農業機械化促進法を根拠に行なわれていたもののようで、型式検査などもそれに含まれると僕は理解しました。

ヰセキ KF850型 動力耕耘機 表記馬力 8.5ps/2000rpm 最大馬力 10ps/2000rpm 排気量 498cc
ヰセキKF850の検査合格銘板です。書かれている内容というか主体は国営検査だとか農林省だとか色々ですが、皆同じ趣旨で行なわれていたもののようです。今までこれがどんな意味のものだか考えたことはありませんでした。
チェリートラクタ 1954年(昭和29) 神農工社製 (日本) CT-52型 7馬力 三輪タイプ
チェリートラクタのものです。農林省農業資材審議会 検査合格証 ゴージャスです。きっとこれも同じ性格のものです。

この、農業機械化促進法は廃止されてしまったようです。調べてみるとその性格はこんなことのようでした。

国が定める基本方針に基づいて、高性能な農業機械等の計画的な試験研究、実用化の促進をこれ行なうことを軸といたしまして、同じく基本方針に基づく主要な農業機械については、適正導入に向けた下限面積の設定、そして農機具の性能や安全性に係わる検査・鑑定制度等を定めたものであり、昭和28年に制定されて以降、情勢の変化をふまえて数次の改正を経て現在に至っているものであります。

平成29年4月11日 農林水産委員会

農林水産省81155 検査合格証票 1981年の155番目に合格・・・という感じなのでしょうね。
ヤンマーYM4220Dです。農林水産省81155 検査合格証票 1981年の155番目に合格・・・という感じなのでしょうね。

先の答弁にもあったように、ダメな機械はお国が弾くので、それに基づいて機械を適正導入してね・・・ということだったのですね。きっとこれら金属やステッカー状の証票はクルマのナンバーのように貰うものではなく、メーカー側で用意しなくてはならなかったのでしょう。

生研機構の安全鑑定証票と農林水産省の検査合格証票が貼ってあります。 それぞれNO27149と203023です。
クボタGM90です。生研機構の安全鑑定証票と農林水産省の検査合格証票が貼ってあります。 それぞれNO27149と203023です。

農機具国営検査について

最近読んだ本『農機具国営検査要覧 : 農機具購入の指針として 附・合格機検査成績概要 昭和33年版農林省振興局 編』(タイトルが長い!)の中の農機具国営検査についてという記述に興味深い部分を見つけました。

少し長いですけど引用しますね

1.国営検査の目的
(1)優良農機具の普及奨励
 他の農業資材とちがって農機具ほど良い悪いの見分けのつきにくいものはない。
 又土を耕したり、稲を扱いだり、面倒な作業をする機械で、他の機械のように単純ではない、従って今の農民の技術水準では自分で優劣を判断することは到底できない。しかも沢山の銘柄型式のものが各自めいめいの宣伝で販売競争をしているのでどれを選んでよいか分からないというのが現状である。
 このような農機具については、国家が農民の立場に立って検査をして不良品を排除して優良と認めるものを選んで発表し、優良農機具購入のための権威ある指針を与えることが大切である。

『農機具国営検査要覧 : 農機具購入の指針として 附・合格機検査成績概要 昭和33年版農林省振興局 編』

今の農民の技術水準、権威ある指針と昔ならでは、上から目線のうっかりなパワーワードが並んでいます。

しかし、確かにネットがない時代ですし、口コミに乗せられて購入しようにも金額が金額ですから(もう少し前の時代かもしれませんけど、家一軒とか言ってましたものね)失敗したら大ヤケドどころじゃない問題です。

慎重にも慎重に行きたいところである程度国が絞ってくれるのはありがたかったに違いありません。

今となってはかの本の言うところの農民・農機メーカーの技術水準も上がって、ネットで情報もとれるようになったし「役割は果たしたからもういいよね?」ということになったということなのでしょう。

ただ、農機並べマニアの僕としては農機並べの指針がなくなるのは困りますけど・・・

時間がなくなってきてしまいました。まだ書きたいことはありますがこのへんで・・・それではまた明日!

上の記事とゆるく関連しているほかの記事:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。