TB-15はほとんどチェリー。イセキTB-15「撮りトラ」

今日は某所で見た、ヰセキポルシェの末っ子、でも一番年上、イセキTB-15「撮りトラ」です。でも見ているうちに、ほとんどの部分がチェリートラクターではないかと思えてきました。

写真では感じにくいと思いますが、ものすごく小さいです。そして、展示のためか全体的にクリア塗装されていて、濡れているような不思議な雰囲気を醸し出しています。
ポルシェの顔、ヰセキTB-15型です。詳しいスペックはわかりませんが、空冷単気筒ディーゼルの15馬力なのだと思います。ヰセキの社史『井関農機60年史』によれば、誕生は1964(昭和39)年。ポルシェとの提携は1962(昭和37)年からで、ヰセキポルシェシリーズ最小かつ最古のモデルということになります。

さらに前述のヰセキの社史『井関農機60年史』によればこのTB-15は ポルシェトラクタの販売を開始した昭和38年、当社は水田作業に適したトラクタTB型を開始した。前述のTC型は、ロータリ作業に難点があったので、稲作向けに設計した小型トラクタとして、ロータリ作業を主体においた「TB15型」を開発、39年2月から生産を開始したのである。 とあります。
さらにこのヰセキの社史『井関農機60年史』によればTB-15はポルシェトラクタの販売を開始した昭和38年、当社は水田作業に適したトラクタTB型を開始した。前述のTC型は、ロータリ作業に難点があったので、稲作向けに設計した小型トラクタとして、ロータリ作業を主体においた「TB15型」を開発、39年2月から生産を開始したのである。

とあります。ヰセキポルシェは稲作用のトラクターだったんです。「TB」という型式名も実は「TANBO(タンボ)」の意味だったかもしれません。

『井関農機60年史』の巻末にトラクターが型式ごとに棒の長さで生産期間が表されている年表がありました。大抵はTB-20の棒は1本というように、1形式につき1本なのですが、このTB-15は違っていました。
『井関農機60年史』の巻末にトラクターが型式ごとに棒の長さで生産期間が表されている年表がありました。大抵はTB-20の棒は1本というように、1形式につき1本なのですが、このTB-15は違っていました。TC15と繋がって表現されていたのです。
具体的にいえば、1962(昭和37)年中頃から1964(昭和39)年中頃までがTC15、それに繋がって1966(昭和41)年の終わりまでがTB-15と、TB-15はまるでTC15の改良型のような扱いなんです。

TC15はチェリートラクタ

イセキトラクター TC-10
こちらは土の館で見たイセキTC-10 キャプションによると・・・
井セキ トラクター
1960年(昭和35) 井関農機㈱製 (日本)
TC-10型 10馬力 496cc 機番0133
1960年(昭和35) 清里町 中農場で導入。
馬に変わる農作業の動力では、10馬力の威力は驚くほど能率が上がった。
4年後に渋谷が譲り受け、付近の仕事に昼夜働いたという。とあります。

イセキトラクタTC10 10馬力 井関農機㈱ 日本 1958年(昭和33年)と書いてあります。エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。正面のエアインテークについている翼かウシの角のような飾りと、大きく張り出した腕についたランプ(メーカーわからず)が印象的です。
こちらは以前私設博物館で見た、TB-15のもとになったトラクター(と考えてもいいですよね?)TC15です。大きく張り出した腕についたランプ(メーカーわからず)が印象的です。
エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。
ヰセキTC15
エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。
TB-15の同じような角度からのショットはないのですが、エンジンレイアウトはほぼ同じです。セルモーターも同じく三菱製でした。
TB-15の同じような角度からのショットはないのですが、エンジンレイアウトはほぼ同じです。セルモーターも同じく三菱製でした。田んぼ用に重量配分を考えたのか、チェリーについていた何かのタンクは前になく、エンジン後ろに移されています。
ヰセキTB-15 セルモーター後ろはカットされて中が見えています。
ヰセキTB-15
セルモーター後ろはカットされて中が見えています。
JIDOUSHA DENKI KOGYOと書かれたリレーでしょうか、これもTC15と同じように見えます。
ヰセキTB-15
JIDOUSHA DENKI KOGYOと書かれたリレーでしょうか、これもTC15と同じように見えます。
これを見ていて「ヘンだな」と思いました。シリンダーの根元にある数字が763ccと書いてあるように読めたからです。小馬力の単気筒って大抵600ccくらいじゃなかったかな?と少し不思議に思ったんです。右側の濃い色の筒に、今度はKAYABAと書いてあります。油圧用のポンプかな?
ヰセキTC15
ヰセキTB-15 右端の何かのポンプ(オイル?)の形状がちがいますけど、良く似たエンジン。
ヰセキTB-15
右端の何かのポンプ(オイル?)の形状がちがいますけど、良く似たエンジン。
ヰセキTB-15 マフラーは手作りでオリジナル感が失われていますけど、出口は左側で同じです。
ヰセキTB-15
マフラーは手作りでオリジナル感が失われていますけど、出口は左側で同じです。
イセキトラクタTC10 10馬力 井関農機㈱ 日本 1958年(昭和33年)と書いてあります。エンジン脇の濃い色の円筒(セルモーターかなあ)は三菱電機製。正面のエアインテークについている翼かウシの角のような飾りと、大きく張り出した腕についたランプ(メーカーわからず)が印象的です。
ヰセキTC15とTB-15・・・そこここに違うところはありますが、かなりの部分で共通しています。

ネット上のTC-15の動画

↑ヰセキ(ニューチェリー)TC-15のエンジン始動と走行シーン。ヰセキの初代トラクターTC-10のエンジン強化版でTC自体が希少車です。ビクターオート製スチール131BLエンジン。だそうです。

ヰセキTB-15 こちらのフレームはTC15のようなラダーフレームではなく、ポルシェ風にエンジンとミッションがフレームになっています。
ヰセキTB-15
TB-15のエンジンもビクターオート製スチールエンジンかにしれませんね。TB-15のフレームはTC15のようなラダーフレームではなく、ポルシェ風にエンジンとミッションがフレームになっています。これはごちゃごちゃしているので後でゆっくり見ようと撮った写真。
ヰセキTB-15 後から見てもよくわかりませんでした。
ヰセキTB-15
後から見てもよくわかりませんでした。
あとはTB-15の記録用写真です。これはテールランプ。メーカーはわかりませんでした。
あとはTB-15の記録用写真です。これはテールランプ。メーカーはわかりませんでした。
前ホイール
前ホイール
後ろホイール
後ろホイール

写真が尽きたので今日はおしまいです。以上のようにTC15とTB-15はとてもよく似ています。

ポルシェトラクターの正式な後継者はTB-20だったかもしれませんが、このTB-15は乗用耕耘機のテイストが残るTC15をベースに、小さいけれどちゃんとポルシェになっている感じがします。

タイトルに「ほとんどチェリー」なんて書いちゃいましたけど、パッと見「ほとんどチェリー」。でも「よく見りゃやっぱりポルシェ」という感じでしょうか。

今日はここまでです。また明日!

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