今日はhokkaidoujinさんの案内で見た、今では見かけることのない前方で植え付けるタイプ。1977年6月発売開始のヤンマー田植機YP6000「撮り田植機?」です。
ちょうど昔の四角いトラクターを前後逆にしたようなカタチ。今の田植機のようなツルッとしたプラスチックボディに比べるといかつい感じです。
前で植え付けるタイプは、植え付け精度が悪かった当初の田植機では失敗にすぐ気がつくので便利だったそうです。
27.5MBもあるPDFのヤンマー100年史、245ページには
1977 年6月には業界初の乗用田植機として6条植のYP6000 を発売。植付状態を確認しながら作業ができるよう運転席の前方に植付機を設けた前植式を採用し、植付けた苗を後輪が踏みつけないよう胴体屈折機構を搭載していた。
とあり、40年も前のものだとわかりました。
業界初?
なぜ「国内初」ではなく「業界初」なのでしょう・・・乗用田植機だったら「世界初」でもいいような気がしますけど・・・
もしかしたら先だってのスプレーヤーみたいに、農家の人はとんでもない工夫や機械を生み出しますから、それを折り込んでより小さな世界での「初」を謳ったのかもしれませんね。
・・・と、ここまで書いてきてもう一つ疑問がわきました。結果的に乗用田植機と言えるブルトラの田植えアタッチメントはいつ頃のものだったのでしょう・・・
詳しくは『「田植機考古学」クボタの田植機樹形図は思ったよりずっと複雑だった。ブルトラアタッチメントSPR600「昔のカタログ」』の記事を読んでもらうとして、
上の写真はブルトラの田植機アタッチメントSPR6000です。このSPR6000は農研機構の登録が1977年になっています。発売するとしたら田植えの前でしょうからヤンマーのYP6000と同時期になりますよねえ・・・
業界初は一社じゃないかもしれませんね!
さらに
さらにSPR6000より型番の小さなSPR600というのがありました。
型番が一桁下ということは、SPR6000より前のものと考えるのが自然です。となると、ヤンマーYP6000より前・・・ということになります。
もしかしたら、もう少しレンジを狭めて乗用田植専用機としては業界初(農家の誰かが個人的に作ってるかもしれないので業界初)と言うべきかもしれませんよね。(本気で言っているわけではないですよ!冗談です)
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胴体屈折機構?
ちょうど座席の下のあたり、魚のエラのように見える部分があります。ここから折れてケツが左右に振れるのでしょうか? なんだか切れ角が少なそうです。それともエラ部分にはちょうつがいが付いていてパタンパタン動くのかなあ・・・
この機体を見た時にはただのカタマリとしか見ていなくて、アーティキュレート方式だとは思いもしなかったので詳しく見ていませんでした。
色々調べていたら、自分の記事『愉快だなあ・・・と思ったら、今とあまり変わっていなかった・・・「昔の広告」』につきあたりました。
農研機構の登録は1978年になっています。このとき、トラクター狂さんがこのようなコメントを寄せてくれていました。
表紙の田植機、ヤンマーYP8000っていう田植機です。ホイールローダーと同じで車体が折れ曲がって旋回するちょっと変わった特徴を持っています。
また写真では分かりづらいですが、苗を踏まないように前輪と後輪のトレッドが異なります。
植付部と視界が同一視野の前植えタイプの評判はいまひとつで、製造期間は短かったようです。
ただ前方を見て作業ができ、小回りがきく操作性が改造用にピッタリということで、現在生き残っている個体はいろいろな方面で利用されています。
有機稲作を行っている方々は、乗用除草機に改造して利用しているみたいです!(youtubeに動画があると思います)
小回りが効く・・・ということは結構ダイタンに「中折れ」するのかもしれませんね。もう一度よく見てみたいです。
結論みたいなものがあるとしたら「業界初」というのはきっと「それを目指して開発してきた」と言う意味で、あまり「こっちが先だあっちが先だと突っ込むのはナシね」という感じでしょうか・・・
それではまた明日!