専門用語はおもしろい(多面的機能支払交付金技術研修会に行ってきましたその2)

昨日からの続きです。

それぞれの職にあってやりとりされる言葉の中には、一般的に聞くことの少ない専門的な言葉があります。専門用語は普段聞かないだけにとっても新鮮です。

ため池は機能診断をしたところで簡易補修の手だてはほとんどないので、すぐに開水路のお話に入ります。ここでおもしろかったのは、よく古い水路などで見かける表面がザラザラになって中の玉砂利が洗い出した玄関の三和土のように見える状況。
まずは昨日も出てきた『錆汁(さびじる)』から・・・

『錆汁(さびじる)』・・・専門用語というよりはその響きにちょっと感銘を受けちゃいました。汁(しる)というのはなにかのエッセンスが含まれた液体のイメージですけど、それが汁(じる)と濁った濁点が付くと不思議なもので、とたんに悪いものが濃縮されたコンクのように感じてしまいます。

ん?・・・ふと疑問に思って「コンク」を調べてみたらconcentratedの略だったんですね・・・これだと多くのものの中からフォーカスするようなイメージで、ぼくの思っている「煮詰める」イメージとちょっと違います。これも元々は専門用語から一般化したものなのかな・・・

というわけで、『錆汁(さびじる)』などという言葉は普段目にも口にもしないわけですけど、汁に濁点の付いたその音を聞くといかにもコンクリートの表面にこってりと赤くカサカサしたあのイヤな『錆汁(さびじる)』が見えるような気がするから不思議です。

コンクリート開水路の補修の話だったのですが、新鮮だったのは(あくまでも僕にとってですけど)コンクリート構造物は「目地が命」ということ。
コンクリート開水路の補修の話だったのですが、新鮮だったのは(あくまでも僕にとってですけど)コンクリート構造物は「目地が命」ということ。

例えば開水路などでも気温によってミリ単位で伸び縮みするんだそうです。鉄やプラスチックが伸び縮みするのは感覚的にわかりますけど、コンクリートは言ってみれば石、そのコンクリートも伸び縮みするとは・・・

で、伸び縮みや振動、それから変形、それらのひずみを一手に引き受けているのが目地なんだそうです。なるほどなあ・・・コンクリートの建物も堤防もそれから道路もみんなみんなどこかに目地があって木っ端やゴムがはさまってるもんなあ。

ですからその目地がいちばん弱い。コンクリート製品の耐用年数が40年だとしても目地は10年以下のレベルみたいです。そこでこの補修技術というわけみたいなんです。

引っぱられたり押されたりでできたひび割れや、壊れてしまった目地の簡易補修を弾性充填剤でやろうというわけなんです。グニャグニャしているものなら変形や伸び縮みをうけ止められますものね。
引っぱられたり押されたりでできたひび割れや、壊れてしまった目地の簡易補修を弾性充填剤でやろうというわけなんです。グニャグニャしているものなら変形や伸び縮みをうけ止められますものね。

シーリング材の中でも扱いや手に入れやすさからシリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系が適しているということになっています。ホームセンターに並んでいるものばかりですね!

と写真まで載せてともちあげつつも、シーリング材選定上の注意事項では「しかしながら、一般的なホームセンター等取り扱っているシーリング材は低モジュラスのものが多く、中モジュラス以上の商品を取り扱っているところは少ない(前ページの写真は低モジュラスのもの)」と落としています。
と写真まで載せてともちあげつつも、シーリング材選定上の注意事項では「しかしながら、一般的なホームセンター等取り扱っているシーリング材は低モジュラスのものが多く、中モジュラス以上の商品を取り扱っているところは少ない(前ページの写真は低モジュラスのもの)」と落としています。

「ホントはこれじゃないんだよなあ」とプロの声が聞こえてきそうなコメント。また、ここで何の説明もなく出てきた「モジュラス」ってのも聞いたことがない言葉です。

調べてみると、色々なギョーカイで色々な意味で使われている言葉のようですが、ここでモジュラスは書いてあるように堅さというか反発というか弾性というか・・・低モジュラスがプリンなら中モジュラスはコンニャク・・・できればコンニャクを使いたいな・・・みたいなことらしいです。

ここでも「へぇ〜」(あくまでも当社比)って感じでした。シーリング材を詰める際、ハミ出したりなんだりしないように貼る用養生テープ。これって目地からズレないよう、ピッタリ貼ること・・・だそうです。
ここでも「へぇ〜」(あくまでも当社比)って感じでした。シーリング材を詰める際、ハミ出したりなんだりしないように貼る用養生テープ。これって目地からズレないよう、ピッタリ貼ること・・・だそうです。

僕は多少なすった薄い部分があったほうが剥がれにくいと思っていたのですが(もしかしたら水中で流れがあるという特殊な要素が関係しているのかもしれませんが)、ハミ出した部分があるとそこから水が侵入し、結果剥がれてしまうのだそうです。

表から見て目地の部分だけにシーリング材が入っていて、コンクリートの部分までハミ出さないこと。これ、試験に出ますよ!

最後はここ。シーリング材を充填する際に密着度を上げるために塗るプライマー(接着剤のようなもの)の塗り方です。そもそも目地はひずみを吸収するためのものですから、それを阻害するような方法をとるべきではないと説いています。
最後はここ。シーリング材を充填する際に密着度を上げるために塗るプライマー(接着剤のようなもの)の塗り方です。そもそも目地はひずみを吸収するためのものですから、それを阻害するような方法をとるべきではないと説いています。

バックアップ材はシーリング材を節約するためではなく、目地部分が自由に伸び縮みするために入れる・・・というのが「へぇ〜」でした。どおりで目地にモルタルを使った水路は割れ割れになってるわけだ。

細かいことを上げるとキリがないですが、大体こんな感じでした。意外と得るものがあって、機会があったら行ったほうがいいと思います。活動としてやらなくちゃいけないものでもありますしね。

ただ、診断技術として見るべきところを見ることができるようになって、問題も発見できるようになったとしてもできることと言ったらシーリング材を使った目地詰め・・・というのがちょっと悲しいですけど。

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“専門用語はおもしろい(多面的機能支払交付金技術研修会に行ってきましたその2)” への2件の返信

  1. おじまさん こんにちは

    おじまさんももちろん詳しいと思うのですが
    講師の方はとにかく掃除と乾燥!ということをおっしゃってました

    高圧洗車機やワイヤーブラシで掃除して
    カートリッジ式のバーナーなどで乾燥させて
    ちゃんと掃除できたかどうかの確認は養生テープを貼ってパッと剥がれない状態
    養生テープがしっかり貼付く状態にしてから
    できればプライマーを打ってから施工して欲しいと・・・

    僕だったら多少漏れていても「概ね止まったからまあいいか」となりますが
    プロはちょっとでも漏れたらバカにされちゃいますものね
    「ピタッ」と止めることにはこだわっているのだと思います

  2. おはようございます。

    いやぁー,朝から勉強になっちゃいました。

    我が家の田んぼも開水路で,もうだいぶ傷んで目地がガタガタ。
    入水口以外からも水が入ってきて,うまく田んぼが干せない状態なので,
    この冬にでもシリコン詰めようと思ってたんですが,ハミ出さないようにした方がいいんですね。
    ホムセンの“低モジュラスシリコン”をテキトウに詰めようと思ってたんですが,養生テープも準備してやってみます。

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