今は見ることのないベルトプーリー。フォードソン・パワー・メジャー・・・「撮りトラ」その2

今日は、スガノ農機「土の館」で見たフォードソン・メジャー・ディーゼル(Power Major 52ps)「撮りトラ」その2です。

今から50年以上前、トラクターのグレードも種類も少なくて、「こちらのメーカーは非力だから、もう少し馬力の大きいの・・・」と、選ぶと家一軒分の値段の違いがある・・・という時代だったみたいなんです。

非力なものでさえ最低家一軒分なのに、さらに上のグレードを狙うともう一軒乗っかってきてしまう・・・清水の舞台から飛び降りてトラクターを買うつもりになっている人は、次にどうすればよいのでしょう・・・

今は親切に小刻みにグレートや選択肢が刻まれていますから、ある意味カタログを眺めているだけで「もっと上、もっと上」と、出せる限界まで連れて行かれてしまいますが、当時は刻みがでかすぎてうまくフィットしなかったかもしれません。

あたらめて今は幸せな時代なんだなあ・・・と思います。

フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。  1955年(昭和30) 八雲町 元山牧場 150万円で導入。 町内では導入第一号機。 近年まで使用していた、堅牢で性能も優れていたという。 使用後は苦労して買い求めたので家宝として自家保存していた。  同型は6年間に道内に30台導入された。
フォードソンメジャートラクタ 1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力。 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。とキャプションにあります。

ベルトプーリー

フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
その動力取出しプーリー

ガードが付いていますから、常時回転していたのでしょうか・・・プーリーの根本の軸を固定するためのようにも見えるピンが気になります。それともこれを押し込むと回転するとか? どっちにしても危険な感じ・・・

ベルトプーリーといえば、東日本大震災の時にたしか東北のほうだったと思いますが、電気もなく、食べるものもない時に、農家の方が納屋から引っぱり出してきたのでしょう・・・発動機に長い平ベルトを掛けて精米機を回し、玄米を精米して焚火でお米を炊いてみんなでわけあう・・・みたいなニュースを見た記憶があります。

僕はこのニュースを同じく停電している中、クルマのバッテリーからインバーターで12Vを変換してTVで見ていたのでした。

エンジンはかけっぱなしにしておく必要はありません。時々エンジンをかけて充電してやればいいんです。
エンジンはかけっぱなしにしておく必要はありません。時々エンジンをかけて充電してやればいいんです。

便利な世の中ですが、便利じゃない機械も使い方を知っていて、そしてちゃんと取っておけばこのような時に役に立つんだなあ・・・と強く思ったのでしたっけ・・・

気を取り直してベルトプーリー

フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
写真を探してきました。何だかすごく不思議な絵です。プーリーはミッションに付いているんですね。これを見るとトラクターってほとんどがエンジン・・・ということがわかります。
フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
写真を探してきました。

フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
写真を探してきました。
フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
写真を探してきました。
関係ないですけど、同じく見つけた写真。フロントホイールです。模型のパーツみたいです。簡単だなあ。
関係ないですけど、同じく見つけた写真。フロントホイールです。模型のパーツみたいです。簡単だなあ。

う〜ん・・・ 「ピンを刺すと回転する」のような、ステキな構造になっていそうもないですね・・・エンジン停止時、プーリーを取り外す時に、軸を固定してネジを回すためのもののようです。

もし万が一、ピンを刺したままエンジンを回したらギアを舐めちゃいそうですね。おそろしい・・・

他の写真

フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
ほとんどの古いフォードに付いているSIMMSの噴射ポンプ。

『巡航戦車の血を引く、37馬力のナフィールドユニバーサル3・・・「撮りトラ」』で見た、ナフィールドユニバーサルにも付いていました。それから、クレイスコンバインのフォードエンジンの噴射ポンプもSimmsでした。

フォードソンメジャートラクタ  1954年(昭和29) フォードソン社製 (アメリカ) パワーメジャー型 52馬力 動力取出しプーリーが胴体横に付いている。
フォードソンのマーク。スーパーデキスタのマークは赤でした。
フォードソン・スーパーデキスタ FORDSON SUPER DEXTA
フォードソン・スーパーデキスタ、赤のエンブレム。家2軒半もするのですから、これくらい主張してほしいな。
フォードソンのロゴ。機械を表す歯車と、人の手。人の手が掴んでいるのは麦の穂なんでしょうね。日本だったらこれが稲穂になるんでしょう。人が機械を使って麦という果実を得るのだということをシンプルに表していますね。
フォードソンのロゴ。機械を表す歯車と、人の手。人の手が掴んでいるのは麦の穂のようです。日本だったらこれが稲穂になるんでしょう。人が機械を使って麦という果実を得るのだということをシンプルに表しています。クレイスやクレイソンも麦と歯車がモチーフのロゴでしたね!
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“今は見ることのないベルトプーリー。フォードソン・パワー・メジャー・・・「撮りトラ」その2” への9件の返信

  1. 山葵さん 愛読者さん おはようございます

    平ベルト、発動機を使っているお宅では子供の目に触れる機会が多かったんですね
    そういえばクレイスコンバインにも使われていました
     
     

     
     
    銀色に光る中央の主軸に、エンジンが始動してから平ベルトを掛けていました
    何だかドキドキしました

    それから、工場の大きなボール盤に使われているのも見たことがあります
    ワックスの塊も傍に確かあったと思います

    僕も機械のゴムベルトが劣化してスリップしたので、ベトベトした強力な松やにワックスを思い出し
    同じようなものだろうと松やにスプレーを買って使ってみましたが、サラサラしていてちっとも効きませんでした

  2. >流れるベルトの間に素手でワックス掛けするなんて

    そういえば、ベルトの内側に箱ごと「シュシュシュッ」って擦りつけてました。

    私も、ベルトの継ぎ目を目で追いかけたり、度胸試しに(?)ベルトを撫でて遊んだものです。

    それほどの高速回転ではないので、プーリーに巻き込まれない限り、そんなに危険ではなかったんでしょう。

    怪我と弁当は自分持ちっていう時代ですから、大人も子供も、大胆かつ慎重だったんですね(笑)

  3. ベルトワックスをこすり付けるのもおとなを感じさせる技でしたね。
    粘土より硬くて蝋より軟らかくてオブラートみたいなセロファンに包まっているあれです。
    パッケージごとこすり付けて使っていたと思います。摩擦も激しいので正しい使い方でしょうね。
    しかし、流れるベルトの間に素手でワックス掛けするなんてなんて大胆なんでしょう!

  4. 愛読者さん おはようございます

    脱穀機や籾摺機、精米機も黒い石油発動機で動かしていて

    畑や田んぼに出ないトラクターみたいな存在だったんですね・・・発動機
    やっぱりロビンエンジンが見ていておもしろくなかったのは回転運動ばかりで、上下動が見える部分がなかったというのもあるんでしょう

    僕からするとロビンエンジンは、モーター製品よりは振動や音があり、まだ魅力があります

    >発動機にベルトを無理矢理引っ掛ける高等テク

    構造上、負荷をかけたままではエンジンが始動できないから、始動後にベルトを掛けてたんですね。
    大人がやっているのを見て、毎回「すげー!」って思っていました。

    ほんとです! 毎回この高等テクを発揮しなくちゃならないです!!! よく考えたらすごく危ないし・・・

  5. 私も子供の頃に実働の発動機を見ていた世代です。

    脱穀機や籾摺機、精米機も黒い石油発動機で動かしていて、見ているうちに冷却水が湯になったり、シャフトがガシャガシャ動いているのが面白くて、飽きずに見ていたものでしたが、ロビンエンジンに更新されてからは、見ていても面白くなくなったのが残念でした(笑)

    >発動機にベルトを無理矢理引っ掛ける高等テク

    構造上、負荷をかけたままではエンジンが始動できないから、始動後にベルトを掛けてたんですね。
    大人がやっているのを見て、毎回「すげー!」って思っていました。

  6. 山葵さん おはようございます

    平プーリーって微妙に太鼓のようにワイン樽のように膨らんでいます。クラウン加工っていいます
    これによってベルトが蛇行しないようになっています。ベルトコンベアとかも全部これです。
    これを旋盤でフリーハンドで作るのが腕の見せ所。自動旋盤とか持ってないので(冷汗)

    ワイン樽!
    これもただ写真を見ていては気がつかないポイントですね!
    どちらへずれても中央に戻るように・・・といった加工なのでしょうか
    これをご自分で作られる????・・・スーパーマンです

    目的へのアプローチをいくつも持っていること、とても大事だと思います
    自動旋盤と汎用旋盤
    平ベルトとVベルト

    このベルト掛け、是非間近で見てみたいです

  7. 発動機のシャチさん おはようございます

    ちゃんとクラッチが付いているんですか
    安心しました

    目からウロコのシンプルなクラッチ構造なんでしょうね

  8. 赤い模様の入ったベルト、懐かしいですね!ベルト式のロールベーラーの修理に発動機の
    ベルトレーシングが大活躍します。何でも取っておくべきです。そしてガラクタに囲まれ途方にくれる…

    平プーリーって微妙に太鼓のようにワイン樽のように膨らんでいます。クラウン加工っていいます
    これによってベルトが蛇行しないようになっています。ベルトコンベアとかも全部これです。
    これを旋盤でフリーハンドで作るのが腕の見せ所。自動旋盤とか持ってないので(冷汗)
    発動機と機械を平ベルトで繋ぐコツは「タスキ掛けが基本」。これをしないと直ぐ外れてしまう
    もちろん回転方向が逆になるので発動機の位置と向きは後先考えてセットしましょう
    回転する発動機にベルトを無理矢理引っ掛ける高等テクや、ベルト脇に紐の付いた鉄棒を立てて
    簡易非常停止装置にしたり、冷えた発動機をみんなでベルトを引っ張って準備運動したり
    どれもこれも失われていく思い出でしょうね。私は40代で最後の発動機世代です。
    中学生の頃には発動機は消えてしまいました。

    噴射ポンプのガバナーがどんな仕組みなのか気になります。
    回転する錘の求心力を利用していないような・・・

  9. 平プーリーの所のレバーですが、
    駆動の入、切、の切り替えです。
    クラッチを踏んでレバーを90度回すとギアが入ります。

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