変幻自在のマスクマン。角ダルマ顔は却下 FORD1720「撮りトラ」

素晴らしいコンディションのFORD1720。顔かたちから一目でシバウラ製と分かります。

今日は「在宅撮りトラに」とShioikaさんに送っていただいたFORD1720「撮りトラ」です。

なんの気なしに始めたら朝の短い時間ではとても解決できないような難問を抱えてしまいました。嬉しいようなツラいような・・・

とにもかくにもShioikaさん、ありがとうございます!

素晴らしいコンディションのFORD1720。顔かたちから一目でシバウラ製と分かります。
素晴らしいコンディションのFORD1720。顔かたちから一目でシバウラ製と分かります。

国内限定モデルでしょうか?

残念ですが運輸省型式認定番号はブランクでした。しかし、重要な情報が下の銘板に書かれています。 農業機械の種類 農用トラクター(乗用型) 型式名 シバウラ SD2640D 区分 - 車台型式 F174D 製造会社 石川島芝浦機械株式会社 シリアルナンバー - 商品名 FORD 1720・4WD 北海フォード株式会社 このFORD1720はシバウラSD2640Dだったんです。
残念ですが運輸省型式認定番号はブランクでした。しかし、重要な情報が下の銘板に書かれています。
農業機械の種類 農用トラクター(乗用型)
型式名 シバウラ SD2640D
区分 -
車台型式 F174D
製造会社 石川島芝浦機械株式会社
シリアルナンバー -
商品名 FORD 1720・4WD
北海フォード株式会社
このFORD1720はシバウラSD2640Dだったんです。そして扱いは北海フォード株式会社・・・

FORD1000の銘板はこう

あ!FORD1000はこんな顔です。
これがFORD1000ですと・・・
小型特殊自動車 運輸省形式認定番号 農721号 FORD 25 FORD TRACTOR F 1000 MODEL F25 CHASSIS・NUMBER 10702 ENGINE NUMBER LE892- ISHIKAWAJIMA,SHIBAURA MACHINERY CO.,LTD
小型特殊自動車
運輸省形式認定番号 農721号

小型特殊自動車型式認定番号で行くと、農721号。シバウラS1500の農720号1番違いです。

FORD 25
FORD TRACTOR
F 1000
MODEL F25
CHASSIS・NUMBER 10702
ENGINE NUMBER LE892-
ISHIKAWAJIMA,SHIBAURA
MACHINERY CO.,LTD

タグの感じからして北海フォード株式会社扱いで国内オンリーはなく、FORD直々扱いで外にも売られていたような雰囲気です。

北海フォードはこんなものも生み出していました

リヤタイヤが扁平でカッコイイ!HOKKAIFORD 180と書いてはありますが、どう見てもFORDっぽくないです。色は青ですけど・・・
日の本E18のHOKKAIFORD 180です。色は青ですが、FORD1720に比べるとかなりやっつけ感のあるFORD化。
銘板です。 日の本(農用)トラクター トラクター型式E18 エンジン型式 S111 定格出力 18ps/2300rpm 最高回転数 2500rpm (発売元) 北海フォードトラクター株式會社 (製造元)株式会社 東洋社 とあります。
銘板です。
日の本(農用)トラクター
トラクター型式E18
エンジン型式 S111
定格出力 18ps/2300rpm
最高回転数 2500rpm
(発売元)
北海フォードトラクター株式會社
(製造元)株式会社 東洋社
とあります。ここはまったくフォード臭がしません。

ベースになったシバウラSD2640Dは?

シバウラ2640です。2640Dではなく2640。シバウラ2640は農研機構のWEBサイトによると登録が1976年。3気筒26馬力ディーゼルでした。(とても情報が少ないです)思ったより古いトラクターでびっくりです。ダルマみたいなかわいらしい顔と「四角くて丸いという」独特のデザインのせいでしょうか?
シバウラ2640です。2640Dではなく2640。DありとDなしの違いはミッションの段数その他のようなので、姿形は2640Dと同じだと思います。シバウラ2640は農研機構のWEBサイトによると登録が1976年。3気筒26馬力ディーゼルでした。小型特殊の運輸省型式認定番号は農1098号でした。フォード1000のように別に型式認定を受けている様子はなく、次の番号農1099号は日の本E14Dでした。

角ダルマ顔は却下?

いつもいつも収穫があるとはかぎらないなあ・・・今日はこれでおしまいです。また明日!
このトラクターの顔は本当にユニーク。角ダルマ顔です。しかし、日の本E18はそのまんま北海フォード180として売られたのに、北海フォード1720はSD2640Dを単に青く塗って出せば良いのにそうはなっていません。わざわざ別のエンジンフードに交換されています。
オリジナルの角ダルマ顔ではなく、当時の末尾00FORDに似せたかったのでしょうか・・・
オリジナルの角ダルマ顔ではなく、当時の末尾600FORDに似せたかったのでしょうか・・・
tractordata.comによればFORD1000は1973年〜1976年、シバウラ製2気筒1 .3Lディーゼルで25馬力/2500rpmだそうです。
そういえばFORD1000は末尾000のFORDにかなり寄せて作られていますものね!

この顔のベースは?

シバウラS-30Aです。年式がわかりません。農研機構に登録のある1976年以降には記載がありませんので、1976年より古いものと思われます。また、tractordata.comにも記載がないので、輸出もされていない感じです。
やはりルーツはこれ、シバウラS-30Aでしょう。ただ、グリルを囲むベゼル部分というか額縁部分が太く見えますから、この次のS30DやS1000やS1500が直接の流用元だと思います。
上がS-30A下がS30Dです。目の位置が「ドン」と下になってしまいました。エンジンが違うのでオイルバスフィルターやマフラー形状が違います。それからウインカー類・・・S30Dはかなりカッコよくなっています。下回りはほとんど同じに見えますね・・・
上がS-30A下がS30Dです。横のラインはほぼ同じなのでグリルの出し入れで額縁を細く見せていると思われます。

あ”〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。イントロダクションで時間がなくなってしまいました。まだ課題にもたどり着いていないのに・・・

この続きは明日です。それではごきげんよう!

 

話はいつだって大きくなる

大きな話はほんのちょっとの真実と大きなウソでできていると思います。しかし、その大きなウソがとてつもなく魅力的・・・僕の頭の中にあっという間にこんな絵が浮かびました。

昨日の代かきシーン収集のオマケです。土地には土地自身(地面に人格はないかもしれませんが・・・)が持っている記憶や面白い話があります。今日はそんな話をひとつ。

そしてその後クレイソンコンバインがどうなったかというと、八郎潟へ行ってしまったといいます。そしてその八郎潟でも田んぼに沈んでしまったと。
茨城で稲刈りを画期的に楽にするという外国製汎用コンバインが導入され始めた当初、実は収穫の歩留まりが悪かったため普及せず、使われなくなったコンバインは八郎潟へ行ってしまったといいます。そして柔らかい八郎潟の田んぼに沈んでしまったということです。(絵は僕のイメージで、実際は引き揚げられたかもしれません)

昨日はこんな話を紹介しました。「本当は乾燥地で小麦の収穫に使われるホイールコンバインが日本の田んぼに合わなかった」というだけの話かもしれませんが、圧倒的に「コンバインの屍が八郎潟の地下に積み上がっている」というほうがおもしろいです。

こんな風に話というものは大きくなりがちですが、Kさんに聞いた話もすごく興味を引かれました。その前に基礎知識のレクチャーをガマンして読んでください。

しつこくマコモ層の説明(ごめんね)

このあたりは昔「浦(た分霞ヶ浦)」だったということで田んぼのすぐ下には遺骸が十分分解されずに堆積した「マコモ層」と呼ばれる地層があります。
このあたりは昔「浦(た分霞ヶ浦)」だったということで田んぼのすぐ下には植物の遺骸が十分分解されずに堆積した「マコモ層」と呼ばれる地層があります。田んぼの断面を描いてみました。

Kさん曰く「稲刈り後に植物の残滓などを燃やすと、そのマコモ層に火が入り何日も燃えている」なのですが、たぶんKさん自身もそれを見たことはなさそうです。

Kさんが持っているのがマコモ層。土というより繊維です。
Kさんが持っているのがマコモ層。土というより繊維です。多分泥炭とかピートなどと呼ばれる種類のものですよね?

泥炭をWikipediaで調べてみると・・・

泥炭(でいたん、英語: Peat)は、状ので、石炭の一種。石炭の中では植物からの炭化度が少ない。石炭と泥の中途半端のような状態のものであると言える。見た目は湿地帯の表層などにある何の変哲のない普通の泥だが、可燃物である。採取して乾かせば燃料として使用できる一方で、山火事の延焼要因ともなる[1]。別名にピート、あるいは草炭そうたんとも呼ばれる。

とあります。泥炭は若い石炭なんですね。マコモ層と似たところがたくさんあります。もし、マコモ層が燃えるのなら泥炭そのものですよね。

Wikipediaから泥炭の写真を引っぱってきました。マコモ層が繊維っぽく堆肥のように見た目とそっくりです。
Wikipediaから泥炭の写真を引っぱってきました。マコモ層が繊維っぽく堆肥のように見た目とそっくりです。

マコモ層は泥炭だった・・・というのも十分興味深く、マコトかウソかそれが地中で何日も燃えるというのもなかなか話が大きく面白いのですが、もっと大きい話を聞いてしまいました。

いでよ柳田國男

マコモ層は植物の遺骸が十分分解されずに堆積したものであり、それが故に繊維状で軽いという特長があります。

つまり田んぼは40〜50cmの厚みのスポンジの上に乗っているということになります。

で、Kさんのこんな話です。

「洪水の時に田んぼがそっくり流されて補償金を貰った人がいる」

!これは大きい!大きすぎる話です。なんだか昔話みたいな話ですが、それと違うのは補償金などという生臭い単語が混じっていることです。

大きな話はほんのちょっとの真実と大きなウソでできていると思います。しかし、その大きなウソがとてつもなく魅力的・・・僕の頭の中にあっという間にこんな絵が浮かびました。
大きな話はほんのちょっとの真実と大きなウソでできていると思います。しかし、その大きなウソがとてつもなく魅力的・・・僕の頭の中にあっという間にこんな絵が浮かびました。うどんのつゆに浮かぶ油揚げが、どんぶりのフチに引っかかっているように、田んぼががプカプカと浮かんで6号線に引っかかっている図です。

軽いマコモ層の下に水が入り込めばありそうでもあり、「まさかねー」と、ありそうもない話・・・もし現代に柳田國男がいたら飛びついて「常陸物語」とか「霞ヶ浦物語」なんて書きそうです。

もしそんなことがあるのならこの目で見て確かめたいものです。

「話は大きくなる」でも「大きい話はおもしろい」

今日はこんなところです。また明日!