オイルショックで吹き飛んだ意味不明のキャラクター。ヤンマー田植機YP2伊吹カタログ比較「田植機考古学」

なんすか?これ。 手植えの人達が並んでいます。ストレートに解釈すると、きれいどころが2人にとぼけたおじさん一人。おじさんの傘だけは破れていますね・・・ 新型田植機に目を見張る手植えをしなくてはならない女性に、「そんなの買えるわけねえべ」と考えるクールなおじさん・・・という意味でしょうか?

今日も昔のカタログシリーズ田植機考古学。Shioikaさんに送ってもらったヤンマー田植機YP2伊吹カタログとトラクター狂さんに送ってもらった同じく伊吹のカタログの比較です。

昨日は、オイルショックは田植機のカタログに戦時中のようなスローガンを書かせ、目立たないところの色数を4色→2色にするような涙ぐましい努力を強いるようなものだった・・・ということがわかった・・・というお話でした。

もう少し見開き部分を比較してみましょう。

Shioikaさんに送ってもらったカタログの見開き部分です。
Shioikaさんに送ってもらった、1973年8月カタログの見開き部分です。
1Pよりは2P・・・情報量が多いだけに、こちらの説明のほうが繊細です。
こちら同じくトラクター狂さんに送ってもらった1974年10月カタログの見開き部分。

両者微妙に違うのですが、内容で印象に残るのは2色の後者にある「フロートを上げれば田んぼのどこからも出られます」という部分。

前者には全く出てこない記載です。実際に販売され、使った人からの声だったのでしょうね。

他にはイラストの苗が後者は2列に減っていること。そしてなぜかYP2の向きが変わっています。

これを見ると、初期型のマーカー位置が変更になったことがよくわかります。
これを見ると、初期型のマーカー位置が変更になったことがよくわかります。

そして何よりも、いや、もうそれは初めから気になっていたもの。それは・・・

なんすか?これ。 手植えの人達が並んでいます。ストレートに解釈すると、きれいどころが2人にとぼけたおじさん一人。おじさんの傘だけは破れていますね・・・ 新型田植機に目を見張る手植えをしなくてはならない女性に、「そんなの買えるわけねえべ」と考えるクールなおじさん・・・という意味でしょうか?
なんすか?これ。 手植えの人達が並んでいます。

ストレートに解釈すると、きれいどころが2人にとぼけたおじさん一人。おじさんの傘だけは破れていますね・・・ 新型田植機に目を見張る「あれがあればこんなことしなくても済む」と考える若い女性と、「そんなの買えるわけねえべ」と考えるクールなおじさん・・・という意味でしょうか?

しかし、これらのヒトはオイルショック後の2色刷りのカタログ見開きでは消えています。

さらに次のページに行きますと・・・

どうもYP2の写真とセットで出てくるようです。当初の印象のように、YP2をうらやむ機械を持たない人・・・という設定としか思えません。 ただ、おじさんの突き放したようなクールなまなざしが気になりますけど。
Shioikaさんに送ってもらった、1973年8月カタログ最後のページ部分です。
どうもYP2の写真とセットで出てくるようです。当初の印象のように、YP2をうらやむ機械を持たない人・・・という設定としか思えません。 ただ、おじさんの突き放したようなクールなまなざしが気になりますけど。
どうもYP2の写真とセットで出てくるようです。当初の印象のように、YP2をうらやむ機械を持たない人・・・という設定としか思えません。 ただ、おじさんの突き放したようなクールなまなざしが気になりますけど。

あれ?73年8月のカタログなのに、田植えの写真がありますね・・・かなり大きな苗を結構広い間隔で植えている感じです。
こちらはトラクター狂さんに送ってもらった、1974年10月の同じYP2のカタログ、最後のページ部分です。

あの謎のキャラクターたちは消え、トンボのマークと「安全に気を配ろう」「操作と点検」というマークが増えています。
おねえさん部分を拡大します。前者に比べ、少しファッションがあか抜けた感じです。
おねえさん部分を拡大します。前者に比べ、少しファッションがあか抜けた感じです。

何よりもテキスト部分の変化がすごいです。少し長いですが引用してみますね。

73年8月

〜ヤンマーは豊かなみのりを皆様にプロデュースいたします〜

ヤンマーは皆様にお届けするすべての商品にこの精神を貫いています。稲作、畑作、酪農、果樹、園芸など様々な経営体、経営規模に適応できる豊富な機種、生産性をたかめる作業システム、完全なアフターサービスなど、ヤンマーは、皆様と共に豊かなみのりをプロデュースします。

74年10月

〜ヤンマーは豊かなみのりを皆様にプロデュースいたします〜

ヤンマーは、創立いらい一貫した「燃料報国」の精神のもとに、もっとも経済的で能率の高いディーゼルエンジンを中心とする農業機械を開発。稲作、畑作、酪農、果樹、園芸など様々な経営体、経営規模に適応できる豊富な機種を揃えて、生産性をたかめる作業システムを生み出すと共に、完全なアフターサービス体制を確立し、皆様に豊かなみのりをプロデュースします。

なんだか74年10月のカタログには突然「燃料報国」の文字が入っています。まさにオイルショック・・・それに、創立いらいと書かれていますが、「ヤンマー農機20年のあゆみ」を見てもタイトルは「豊穣無限」ですし、「燃料報国」などどこにも出てきません。

カタログに「燃料報国」が入り、遊びのある不思議なキャラクターが吹っ飛んでどこかへいなくなってしまう・・・

そんなインパクトをオイルショックは農機の世界に与えたようです。

輸入に頼っているオイル問題は、完全に解決することはこの先もなかったはずですが、バブルの時にはそれを忘れたようなカタログがあるわけですから、「モノを売ること」は危機すらも販売につなげる材料にすること・・・なわけですね。(非難しているわけではなく、全くそうするしかないと思うので)

それだけに昔のカタログを見るのはおもしろいです。

今日はこんなところです。それではまた明日!

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