YM1300Dは藤井製作所の血を引いているのじゃないか?物語。YM1300D「撮りトラ」

ネットで見つけた写真です。YM1300Dは当初こんな色も出回っていたようです。ちょっとJDの影響もあるのでしょうか?

3日もかかってしまいましたが、ようやく考えがまとまってきました。つまり何が言いたいかというと、「YM1300Dは藤井製作所の血を引いているのじゃないか?」ということなんです。

と、いうわけで、もう一度整理して初めからやり直してみます。

 

まず初めに、ヤンマー100年史P235に、岡山県の藤井製作所、高知県の協和農機、福岡県の竹下鉄工とヤンマーがヤンマー農機を設立したというようなことが書いてあります。1963 年には初のヤンマートラクタとして竹下鉄工がYM12A(12馬力)、藤井製作所がYM13A(13 馬力)、協和農機がYM18A(18 馬力)を開発した。とあり、まず作業機メーカー主体でトラクターの開発がなされたということがわかります。と、いうことは「各作業機メーカーのDNAがしばらくはヤンマートラクターの中に色濃く残っているのではないか?」と、楽しい想像ができそうじゃありませんか!
まず初めに、ヤンマー100年史P235に、岡山県の藤井製作所、高知県の協和農機、福岡県の竹下鉄工とヤンマーがヤンマー農機を設立したというようなことが書いてあります。

1963 年には初のヤンマートラクタとして竹下鉄工がYM12A(12馬力)、藤井製作所がYM13A(13 馬力)、協和農機がYM18A(18 馬力)を開発した。とあり、まず作業機メーカー主体でトラクターの開発がなされたということがわかります。

と、いうことは「各作業機メーカーのDNAがしばらくはヤンマートラクターの中に色濃く残っているのではないか?」と、楽しい想像ができそうじゃありませんか!

 

ヤンマーのサイト『画像で振り返るトラクターの半世紀  誌上「ヤンマー 赤いトラクター展」』にはYM12Aの写真が載っています。
ヤンマーのサイト『画像で振り返るトラクターの半世紀  誌上「ヤンマー 赤いトラクター展」』には作業機メーカーの一つである竹下鉄工と共同開発したというYM12Aの写真が載っています。キャプションに

1963年 YM12A
ヤンマー初の耕うん機発売から2年で乗用トラクターが登場。YM12A/13Aは横型水冷ディーゼル搭載。

とありますが、これはどう見ても横型水冷ディーゼルには見えません。多分、YM12AとYM18Aは空冷ディーゼルだったのでしょう。

 

ヤンマートラクタ 1961年(昭和36) ヤンマー農機㈱ (日本) YM-18型 18馬力 空冷ディーゼルエンジン 1962年(昭和37)昭和35年発売、国産トラクタとして各地で導入が進む。 末永途中入手、使用経過は不明。 後に岩崎が入手自家保存していた。
同じく作業機メーカーである協和農機が1963年に開発したヤンマーYM-18型 空冷2気筒ディーゼルエンジン

 

竹下鉄工のYM12A、藤井製作所のYA13A、協和農機のYA18AなどのYM2ケタシリーズの後、1966年にはYM3ケタの竹下鉄工とヤンマーの共同開発でYM160(10馬力)、協和農機と共同開発でYM260(20馬力)が発売されます。(ヤンマー100年史P237)

 

レイアウトや構造がYM18とほぼ同じでYM260はYM18の後継機であることがわかります。
これは以前見たYM260。レイアウトや構造がYM18とほぼ同じでYM260はYM18の後継機で協和農機の血を色濃く引いていることがわかります。

 

そして1968年、ヤンマー100年史では

 

トラクタ専用工場として開設した木之本工場では、1968(昭和43)年1月から当社の実質的なディーゼルトラクタ第1号となるYM273(23 馬力)の生産を開始した。

 

とされるYM3ケタ、真ん中の数字が7シリーズが発売されます。水冷エンジンであり、ヤンマーとして単独で開発されたように書いてありますが、姿はYM260ととてもよく似ていて、やはり協和農機の血を引いていることがわかります。

 

YM273
以前写真を送ってもらったYM273です。どう見ても空冷YM260と兄弟です。

 

でも、ここで見たのはYM270です。古すぎて農研機構のWEBサイトにも載っていません。お!2気筒なんですね!
YM270なんてのもありました。古すぎて農研機構のWEBサイトにも載っていません。お!2気筒なんですね!やはり協和農機の影響が見えます。

 

そして今度は同じYM3ケタ、真ん中の数字が7シリーズのYM173です。この後YMは70年代には4ケタになってしまうので、1968年以降、1970年以前に生産されたものだと想像します。

 

で、YM173は13馬力みたいなんです。この型番、型番から「7」を取ったものが馬力になってるんですね!それにしても一見意味がなさそうに思える「7」にどんな意味が込められているのだろう・・・
以前見たYM173です。協和農機の血を引くYM273と明らかに血筋が違う(YM273はフェンダーライトですし・・・)感じがします。

 

水冷単気筒横型エンジンです。YM1300Dは水冷立形のようなのでここは少し違いますが、同じ13馬力、同じような顔、同じ水冷ということでYM173とYM1300Dには関連性があると考えられないでしょうか?
ネットで見つけたYM173のカタログです。顔もそうですが、水冷単気筒横型エンジンで、協和農機の血を引く空冷ベースのYM273と構造もかなり違います。つまりYM173は水冷エンジンベースの藤井製作所のYM13Aの血を引いていると考えられませんか? これが1968年〜の話です。

 

ときは流れ1974年・・・業界初の四輪駆動

 

ヤンマー100年史97Pにはこうあります。

1970 年代前半にトラクタが台頭し、また田植機やコンバインの本格的な生産も関連会社で始まった。

中略

トラクタでは、1974(昭和49)年2月に業界初の4輪駆動を採用したYM1500D など3機種を、1976 年12月にはトランスミッションにパワーシフト機構を搭載したYM2210 を発売した。

 

また、同239ページでは

 

1974 年2 月には4 輪駆動トラクタYM1500D、YM1700D、YM2000D の生産を開始した。4輪駆動を採用したのは水田作業での牽引力や機動力を高めるためであり、防水性に優れた機械式ベベルギヤも装備した。

 

ともあります。ここで先日の記事を訂正です。

『1974年生まれ。業界初の4輪駆動というのだけど、ちょっと違うかも・・・ヤンマーYM1300D「撮りトラ」』

の記事の中でYM1300Dを1974年生まれとしていましたが、100年史の中で言及されていた4輪駆動を採用したYM1500D など3機種はYM1500D、YM1700D、YM2000D であるようなので、YM1300Dが1974年生まれというのは誤りで、訂正します。

 

ネットで探してきたYM1500Dです。「かなりヤンマーの子」になっているとは思いますが、やはりどこかに協和農機の面影が残っていますよね!
ネットで探してきた1974年生まれ、YM1500Dです。「かなりヤンマーの子」になっているとは思いますが、やはりどこかに協和農機の面影が残っていますよね!

 

やっと出てくるYM1300D

 

ただ、ヤンマーの社史に業界初の四輪駆動と謳われていますが、書いてある通りにそれが1974年のことだとしたら、それはもしかしたら間違っているかもしれません。
ここでやっとヤンマーYM1300Dに戻ります。1974年以降の生まれであるとして、YM1500Dとかなり雰囲気が違います。
僕が勝手に藤井製作所の血を引いていると考えるYM173です。YM1300DがYM173とYM18どちらに似ているかといったら、明らかにYM173に似ています。
僕が勝手に藤井製作所の血を引いていると考えるYM173です。YM1300DがYM173とYM18どちらに似ているかといったら、明らかにYM173に似ています。

 

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