出遅れたので感性に訴える。1974年ヤンマー田植機(マット苗歩行式)“伊吹”「昔のカタログ」

今日も田植機考古学。トラクター狂さんに送っていただいた、巻末の番号から1974年のものと思われるヤンマーのマット苗歩行式田植機“伊吹”の「昔のカタログシリーズ」です。

 

トラクター狂さん、いつもありがとうございます! おかげで田植機の複雑な地層の成り立ちがが色々と明らかになってきました。(当社比)

 

以前『「田植機機能の名前」&「田植機考古学」まとめ』で昔の田植機を取りあげたときに木田さんが

 

またまた突然ですが 私の古~い記憶がよみがえって 報告です。
ヤンマー田植機です うちの近所で「伊吹」ってのを持っていました。

 

とコメントをくれたヤツですね!

 

農業近代化の歩みを世界へ 「農機事業」というヤンマーのpdfでは、1967 年 5 月にいち早くひも苗式の田植機(動力苗まき機)TP21 を発売したにもかかわらず、市場をマット苗式に席巻された苦い記憶として記されている田植機部門。同PDFには『1972(昭和 47)年 2 月にヤンマー農機、ダイキン工業、神崎高級工機の3社技術陣で新たなプロジェクトチームを結成して散播・マット式田植機の開発に取り組み、同年末には AP2 を、翌 1973 年8月には YP2 を発表した。』と書かれています。また、ヤンマー100年史にも同じく『田植機「伊吹」YP2、YP4を発表』とありますので、誕生日は間違いなさそうです。そして1974年。他社に出遅れた分、感性に訴えることにしたのでしょうか。カタログはおねえさん少なめ、風景が多めになっています。

農業近代化の歩みを世界へ 「農機事業」というヤンマーのpdfでは、1967 年 5 月にいち早くひも苗式の田植機(動力苗まき機)TP21 を発売したにもかかわらず、市場をマット苗式に席巻された苦い記憶として記されている田植機部門。同PDFには『1972(昭和 47)年 2 月にヤンマー農機、ダイキン工業、神崎高級工機の3社技術陣で新たなプロジェクトチームを結成して散播・マット式田植機の開発に取り組み、同年末には AP2 を、翌 1973 年8月には YP2 を発表した。』と書かれています。また、ヤンマー100年史「資料・年表」にも同じく『田植機「伊吹」YP2、YP4を発表』とありますので、誕生日は間違いなさそうです。そして1974年。他社に出遅れた分、感性に訴えることにしたのでしょうか。カタログはおねえさん少なめ、風景が多めになっています。

 

風景写真は田植えの頃ののものだと仮定すると、左下に入っているお祭りらしき写真は御田植祭などの神事の写真なんでしょうね。当時もどことなく懐かしい、郷愁を誘うような写真と捉えられたのではないでしょうか?

 

また、近所の以前Mさんに今とは違うヤンマーの田植機の話を聞いた覚えがあります。確か「一筆書きみたいに苗が繋がっている」と聞いたような記憶があるので、これがその1967年には発売した「ひも苗式田植機」でしょうか。

 

シバウラS1500(25PS)カタログの表紙です。もう現在のカタログと比べても技法的には変わりのないもの。年代としては最後に49.4とありますから昭和49年4月のものなのでしょう。ということは1974年。これ以前のカタログが会社のおじさんたちが頭を付き合わせて作っていたとしたら、それが「プロの手」に渡ったのだな・・・と感じられます。

これは同じ1974年と思われるシバウラS1500(25PS)カタログの表紙です。もう現在のカタログと比べても技法的には変わりのないもの。イメージ写真が背景に使われていますが、商品とかなり関連のある写真。伊吹のカタログのように完全なイメージ写真とは少し趣が異なります。質実剛健(と勝手に僕が思い込んでいる)シバウラのカタログだということを差し引いても、冒頭の伊吹のカタログ表紙は革新的に思えます。

 

 

伊吹の前、1972年にはクボタですでにこのようなものを出していました

 

探したらありました!!!オークションで売られていたみたいです。これはもうアンティークですね・・・先エンジン、苗受けが手前でこっちを向いています。考えてみれば、これが乗用型の形ですよね? なにも考えていなかったのですが、今まで見てきた歩行型の田植機って、苗受けが乗用型と逆だ!

2ストエンジンのアンティーククボタ田植機。『「田植機機能の名前」&「田植機考古学」まとめ』でトラクター狂さんに1972発売のSPS-28という名前だと教えてもらいました。

 

クボタのコーポレートサイトの中の『農業機械|技術の系譜|』の『稲作農家の長年の夢かなえる。過酷な作業工程をついに機械化。念願の田植え機が誕生』によれば、

 

田植え作業の機械化は、稲作農家にとって長年の夢でした。明治時代からさまざまな試みがされましたが、どれも実用には至らず、開発は困難を極めていました。そこでクボタは他社の方式とは異なる、育苗箱を使用した「ばらまき育苗方式」による「土付苗田植機」に注力。1968年にSP形を開発、翌年には歩行形田植え機の原型となる1輪2条植えのSPS形を発売、1970年に量産を開始しました。

 

とあり、このタイプの田植機は1970年には普及し始めていたものと思われます。

 

ぱっと探したかぎりにおいては画像が見つからなかったのですが、関連してクボタのコーポレートサイトの中の『農業機械|技術の系譜|』(http://www.kubota.co.jp/rd/evolution/agriculture/detail/detail.html)に記述を見つけました。

クボタのコーポレートサイトの中の『農業機械|技術の系譜|』の中の画像。ヤンマーの伊吹に基本レイアウトは似ていますね。

 

 

これなんかもそうです。ヤンマー田植機の広告。一番上の目立つところに若い女性の写真が何の説明もなく・・・浅芽陽子。「なぁ、みんなどう思う。」っていわれてもねえ・・・

1978年、ヤンマー田植機の広告。ヤンマーの田植機の愛称は発表から5年後には「伊吹」から「いちばん苗」に変わっています。型番も伊吹の後継を匂わせるYP200。もしかしたら間にYP20とかをはさんでいたかもしれませんね。伊吹のカタログが匿名おねえさんイメージキャラクター(しかも風景が多めなので露出少なめ)だったのに比べ、当時の有名人浅茅陽子を起用しています。このあたり機械が他社に追いついたので、広告手法も他社に倣ったのかもしれません。

 

話は『伊吹』のカタログに戻ります。

 

どんな育苗方式でもOK!とある中にヤンマー稚苗箱(木箱)とあります。なんと!昔はあの箱、木でできていたんだ! 1974年ですから44年前? プラスチックの箱がなかったとは思えませんが、きっと木箱よりずっと高かったんでしょうね。

どんな育苗方式でもOK!とある中にヤンマー稚苗箱(木箱)とあります。なんと!昔はあの箱、木でできていたんだ! 1974年ですから44年前? プラスチックの箱がなかったとは思えませんが、きっと木箱よりずっと高かったんでしょうね。

 

4の他社との比較が興味深いです。当時このような比較広告は珍らしかったのではないでしょうか?後発メーカーの工夫やほんの少しの焦燥が見て取れます。でも、このスイングアーム式はなかなか良さそうです。すぐ他社にまねされてしまったでしょうけど・・・

4の他社との比較が興味深いです。当時このような比較広告は珍らしかったのではないでしょうか?後発メーカーの工夫やほんの少しの焦燥が見て取れます。でも、このスイングアーム式はなかなか良さそうです。すぐ他社にまねされてしまったでしょうけど・・・

 

ざっと過去の記事を検索してみたんですが、それらしいのは昔の三菱ジープの広告と今年のライバルと対立軸ははっきりと・・・マヒンドラパワーシャトル6075「撮りトラ@スプリングフェア」くらいでした。

 

三樹書房のサイトより。比較広告ですね。かなり手前味噌になってます。こう書かれて右を選ぶ人は相当ひねくれてます。

三樹書房のサイトより。比較広告です。ジャンルの違うものを比べた半分シャレみたいなものでしょうから、本気で他社と比較するとなるとかなり後のことになるのではないでしょうか。

 

そして裏表紙

 

おねえさんがメインよいうよりは風景になっているとてもいい写真です。40年以上前のカタログとは思えない格調の高さ。

おねえさんがメインよいうよりは風景になっているとてもいい写真です。40年以上前のカタログとは思えない格調の高さ。

 

最後にちょっとスペックを抜き書きしておしまいにします。また明日!

 

『伊吹』 YP2

全長:1900〜2000mm
全高:7980〜890mm
全幅:880mm
重量:70kg
植付け条数:2
植付け感覚:30cm
植付け株間:10、12、14、16、18、20cm
植付け株数:3.3㎡あたり100、90、80、70、60、50株

植付け深さ:2〜5(3段)cm
作業速度:0.3〜0.6m/sec

空冷4サイクルガソリンエンジン1.6PS/1800rpm〜2.4PS/2100rpm

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