1970年代後半、メーカーは自信がついてきた。クボタL2601「昔のカタログ」

連日で稼ぎに出ているので余裕がありません。若干山姥に追われているような気がしてきています。今日もお手軽にトラクター狂さんがカタログを送ってくれたのをいいことにそれに食い付いてしまうことにします。

というわけで、クボタトラクターL2601「昔のカタログシリーズ」です。

クボタL2601のカタログです。巻末の番号によると1977年のものと思われます。商品であるトラクターが大きく扱われた表紙。しかも顔は右上を見上げた感じ。クボタトラクター新時代の幕開け・・・といった雰囲気の表紙じゃないですか?
クボタL2601のカタログです。巻末の番号によると1977年のものと思われます。商品であるトラクターが大きく扱われた表紙。しかも顔は右上を見上げた感じ。クボタトラクター新時代の幕開け・・・といった雰囲気の表紙じゃないですか?

この顔は以前見たL3001DTと同じ顔です。(詳しくは『図体はでかくても操作は一緒 クボタL3001DT「撮りトラ」その1』の記事で!)

クボタL3001DT
L3001DTは1976年に安全鑑定の登録がなされています。顔はまったく同じですね。

デミング賞受賞!

気になったのはデミング賞受賞のマークが付いていること。よくは読めませんが、事業所表彰と書いてあるように思えます。デミング賞って聞いたことがあるような気がするけど、何の賞かよくわからなかったので調べてみました。

ウィキペディアによると

デミング賞(デミングしょう、Deming Prize)は、TQM(総合品質管理)の進歩に功績のあった民間の団体および個人に授与されている賞。日本科学技術連盟により運営されるデミング賞委員会が選考を行っている。アメリカの品質管理の専門家であるW・エドワーズ・デミングからの寄付を契機として設立された。

委員会の会長には経済団体連合会の会長が就任している。デミング賞大賞(旧:日本品質管理賞)、デミング賞本賞、デミング賞(旧:デミング賞実施賞)があり、デミング賞には実施賞,中小企業賞,事業部賞,事業所表彰がある。

そして、日本科学技術連盟のWEBサイトに行ってみると、自ら応募し、審査の結果、合格点に達していると認められた組織すべてに賞が授与されるみたいです。

で、過去の受賞のページを見ると、1976年

久保田鉄工株式会社内燃機器事業本部
内燃機器研究本部
(事業所表彰)
久保田鉄工株式会社内燃機器事業本部
内燃機器製造本部堺製造所
(事業所表彰)

1970年代後半、メーカーは自信がついてきた。

わが国初の国産トラクタを送り出して10数年・・・日本のトラクタの先駆者としての道のりを歩んできたクボタトラクタは、いまや名実ともに日本を代表するトラクタに成長しました。世界に誇るその技術、その実績、その伝統。L2601はクボタのすべてを結集した快心作です。 とあります。
「世界の名門トラクタ」わが国初の国産トラクタを送り出して10数年・・・日本のトラクタの先駆者としての道のりを歩んできたクボタトラクタは、いまや名実ともに日本を代表するトラクタに成長しました。世界に誇るその技術、その実績、その伝統。L2601はクボタのすべてを結集した快心作です。 とあります。

このL2601は農研機構の安全鑑定の登録だと1977年、なぜか4WDのほうが登録が早くて1976年には登録されているようです。

それにしても「世界の名門トラクタ」ですか・・・相当な自信ですね。

国産トラクタを生み出して10数年で名門と言うには裏付けがあるに違いありません。少し調べてみました。

1962年頃(農機技術概史と業界の動向という資料によれば)

1962年、昭和37年頃、テイラーや耕耘機全盛の時代では乗用トラクターはまだ売れるかどうか未知数だったようで、20馬力以下は国産で、それ以上は海外メーカーとの販売提携や技術提携という棲み分けが行われたようです。もしかしたら国の指導などもあったのかもしれません。

1976年頃(農機技術概史と業界の動向という資料によれば)

ところが1976年になると1975年から20〜30馬力級トラクターの米国向け輸出が数量的にまとまり出し、米国メーカーとのOEM契約が目立ち始めたと書いてあります。

なるほど、これだと国産の小型農用トラクターが世界で認められたと思ったとしても不思議ではないですよね。「世界の名門トラクタ」と風呂敷を広げたとしても文句は言われない感じです。

そういえばこの人を最後に農研機構の登録はされていない感じです。

FIAT640はtractordata.comによれば1973〜1978年。3.5L水冷4気筒ディーゼル64馬力/2400rpmとあります。それにしてもまったくのクボタ色。角の丸目かとかハンドルや計器クラスタのあたりもすごくクボタっぽいです。
FIAT640です。FIAT640はtractordata.comによれば1973〜1978年。3.5L水冷4気筒ディーゼル64馬力/2400rpm。それにしてもまったくのクボタ色。角の丸目かとかハンドルや計器クラスタのあたりもすごくクボタっぽいです。

このFIAT640DTの農研機構への登録は1976年。この機体が1978年まで製造されていたとしても、それ以降はクボタからFIATは発売されていないですよね?

ということは1970年代後半、ピンポイントで言えば1976年。ちょうどデミング賞に応募したあたりにはすっかり自信をつけていて、「世界で認められたし全部国産で行こう」という決定がこのあたりで出され、そのためFIATの輸入販売は停止されたのではないでしょうか?

と、そんなことを思うのでした。

今日はココまで。また明日!

その意気込みがこのカタログに出ているような気がしてなりません。

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“1970年代後半、メーカーは自信がついてきた。クボタL2601「昔のカタログ」” への2件の返信

  1. 木田さん おはようございます

    「世界の名門トラクタ」と自分で言っちゃうのはちょっと恥ずかしい気もしますが
    今では言った通りの大きな会社になってますから、言っていたことは正しかったんですよね?

  2. 世界の名門トラクタ 流石クボタですね!。
    うちもクボタユーザーとして誇りに想えます。

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