島耕作の農業論

図書館で弘兼 憲史さんの書いた「島耕作の農業論」というのを借りてきたので読んでみました。考えてみれば、図鑑などを除いては農業の本を読むのは初めてです。

島耕作っていつの間にか会長になって、農業に取り組んでいたんですね・・・知らなかった。でも、よく考えたら名前が耕作ですから、農家の生まれなのかもしれません。イセキのトラクターに耕太ってのもありましたからね! 関係ないか・・・

それに、島という名字、島地区にも通じていて関係ないけど関係あるじゃないですか・・・島地区の耕作って感じで・・・

本としては薄くて字も大きくて、夜更かしすれば一晩で読めるようなボリューム。印象としたら、まさに今、国として進めようとしている政策なり方向性についての意味づけみたいな感じでしょうか・・・

多面的機能支払交付金などの活動をしていて、目にしたり聞いたりする農家に降りてくる(まさに降りてくるという感じです)制度というか政策を、島耕作みたいな人が考えているんだろうなあ・・・と思いました。

地面ばかり見ていて突然降ってくる空から降ってくる雨の黒いシミを追っているだけでは、なかなかわからないこともありますから、たまにはこういう本を読んで、地面の上の雲行きはどのようになっているのか知るのも悪くありません。

日本の産業が国外に移って空洞化してしまった後、それを埋めるのが農業だ・・・とキャッチーな書出しの島耕作の農業論、超ざっくりまとめるとこんな感じです。

『農地をもっと集約して高度化し、ニーズを把握した上で小さな国土で世界第二位のオランダのような農業生産物輸出国になろう!』

すみません・・・まだまだ続くんですが、いろいろと今からやることがありまして、続きは今日中に書きます。ではまた・・

ここから追記です

ここに書いてあるような、もっとITを活用しようとか、会社組織にして農業に就職するような将来にしようとか、そんな方向へ持っていこうと力が働いているということは、KSASや他のメーカーのICTを利用した農業というテーマの展示会が多かったこと。それから農地を集約して貸し出す瀬尾式ができたことなどから、なんとなーく、気がつきました。

ても、ちゃんと国の農業を司る人たちがそう思うと、メーカーもそういう製品を作ってちゃんと動き出すものなのですね。

島耕作の農業論というよりは、弘兼 憲史さんの農業論なのでしょう。とてもわかりやすかったです。

そのなかで農家の方や、農業に詳しい方には常識なのだと思いますが、僕にとっては「へぇ〜」というようなものもありました。

食料自給率

それは食料自給率です。

自給率にはよく目や耳にする、国民1人1日当たりの国内生産カロリー÷国民1人1日当たりの供給カロリーという、カロリーベースのものと、国内の食料総生産額÷国内で消費する食料の総生産額という計算式の生産額ベースというものの2種類あったんですね!

ウィキペディアで調べればちゃんと載っているのですが、今まで調べたことがありませんでした。

主要国の食料自給率比較
国名カナダオーストラリアフランスアメリカドイツイギリスイタリアスイス日本
生産額ベース

(2009年)

121%128%83%92%70%58%80%70%70%
カロリーベース

(2011年)

258%205%129%127%92%72%61%57%39%
出典:農林水産省試算

計算方式によってずいぶん違うなあ・・・

同じくウィキペディアにこんなことが書いてありました。ちょっと長いけど引用してみます。

食料自給率の問題点

カロリーベース
雑誌「農業経営者」によれば、カロリーベースで見た日本の食料自給率の低さが問題とされ、多くの国民の心配事となっているがこの自給率推計には以下の多くの問題点があるとしている。

  1. カロリーベース総合食料自給率は分母が国民に供給されている食料の全熱量合計であり、分子が国産で賄われた熱量で計算される。国民が健康を維持する上で必要なカロリーではなく輸入も含め国民に供給されている食料の全熱量合計であるため、国内の農業生産が変わらなくても輸入が減ると自動的に自給率が上昇することとなる。輸入が途絶えると一部の輸入品が不足するが自給率は計算上100%となる。
  2. 分子の計算は畜産物については、国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しないこととしている。しかし、畜産に飼料が必要なように穀物野菜果物の生産に肥料が欠かせないのだが、この肥料の自給率は一切考慮されていない。農家の経営を効率化させるために稲作から果実や野菜などに転作した場合、園芸作物は一般にカロリーが低いため農家総収入が増える場合でもカロリー自給率は低下する。
  3. 上記「主要国の食料自給率」でも取り上げたが各国の自給率は日本の農水省が独自に推計したものであり、日本を除く海外諸国はカロリーベース総合食料自給率の計算をしていない。雑誌「農業経営者」がこの計算方法について農水省に取材したところ、「食料安全保障の機密上出せない」との回答があったという[27]。また、分母の「国民1人1日当たりの供給カロリー」とは、国産供給カロリー+輸入供給カロリー(ともに可食部)をもとに日本の人口で除することで算定されているが[28]、現実の食卓では「小売店の店頭にならびながら」「食卓にのぼりながら」廃棄されてしまう食材量(カロリー)が相当数にのぼり廃棄した食品が多ければ多いほど食料自給率が低くなるような仕組みとなっている。実際、廃棄されている食材は、年間900万tに及び、食料自給率の計算の分母となる供給カロリーは2573kcal(2005年)であるが、日本人が一日に摂取する平均カロリーは1805kcalであり、それ以外の768kcalは食べられることなく廃棄されている。分母を摂取カロリーとして食料自給率を「国民1人1日当たりの国産供給カロリー(1013kcal)÷国民1人1日当たりの供給カロリー」として計算しなおすと日本の食料自給率は56%である。

知らなかったー

今まで聞いていたカロリーベースの計算式で?なのは、レストランやコンビニ、家庭などで使われず捨てられてしまった食材まで計算式に含まれてしまい、捨てれば捨てるほど名目上の自給率が落ちてしまうことと、野菜などはカロリーが低いのでいくら作っても自給率は低いままということです。

自国内で年ごとに比べて傾向を把握する場合はこれでいいですけど、数字だけをとって現状を把握しようとするのはこれでは難しいです。

「極限自給率」どうでしょう?

自給率というものを、「もし何かあった場合、食べ物に困らないように」というところで考える場合、別の指標が必要になる感じがします。お城に何年か篭城することになったとして、「何もかも今のまま」というわけには行きません。

どこかで割り切って「米の飯とみそ汁と漬け物。そしてちょっとした野菜。たまに肉とアイスクリーム」くらいの考えになるのではないでしょうか・・・となれば、「極限自給率」とか「限界自給率」みたいな数字を考案するほうがいいかもしれません。

一番フックしたのはこの自給率という数字だったんですけど、他にも考えることがありました。農業のあり方の問題です。

島耕作は小さな農業も含めて多様な農業、特にTPPを契機に、日本人の特製を生かし、外へ向かって行く大規模な農業企業が育つと良いと思っているみたいです。

そして企業というものは単に「お金儲け」というだけではなく、大きくなればそれ相応の責任があり、グループの会社で働く人たちや地域や国に対して重い責任を負っている・・・という風に考えているようなのです。

だとすればそれはとってもいいなあ・・・と思います。

先祖から受け継いだ土地を大事に思い、維持して、そこから糧をえた後に次の世代にバトンタッチする個人の農家と同じように、個人よりは少し大きいレンジ・・・地域とでもいいましょうか・・・にその企業が大きく関わるのであればそんなに今までと変わりがないように思えます。

お祭りでもいいでしょう。小学校の農業体験でもいいかもしれません。雇用が増えるなんていうのも大事です。

でも、とにかく農業というからには、「儲からなくなったので海外へ行く」というようなスタンスではきっとその責任は果たせないですよね?

企業というもの、詳しいくはないですけど、僕のイメージではその責任が有限で、個人にしてみればできる範囲で分担している感じです。

いくら責任が重いといっても、ヤバくなったら結局どうなの??? というのがなかなか企業が農地を集約できない理由かもしれない・・・と想像します。

本当に想像の上に想像を重ねてついに妄想な感じになってますけど、大規模な農業企業をやるのであれば地域にちゃんとコミットして、農業好きで、ついでに機械ズキ、そんな、「GO!Public」な気概を持った経営者にそこを担ってもらえたらなあ・・・なんて思います。

(ってずいぶんエラそうな終わりかたになっちゃった・・・)

上の記事とゆるく関連しているほかの記事:

“島耕作の農業論” への9件の返信

  1. 木田さん おはようございます

    耕二もいたんですか!

    早苗、耕太、耕二、太郎、小太郎 5人兄弟ですね

    耕太は確かKŌTAというバッジが付いていました
    耕二はKŌJIというバッジがついているかもしれませんね

  2. イセキには 小型トラクターで 耕二 って言うのもある。

  3. 「太郎」のカタログ持ってますよ(笑)

    昭和58年発行なので最終型の物だと思います。

    もし良かったら送りましょうか?

  4. 愛読者さん おはようございます

    何で「太郎」なのかは・・・謎です(笑)

    そうですよねえ・・・
    さなえ耕太までは何となく農業っぽかったのに、太郎って・・・
    まあ、刈取り関係でそれらしい名前は確かに難しいです
    ストレートすぎますが「収」って書いて「おさむ」という名前の人いますよね

  5. wikiさんによりますと、「3.^ 登場時のブランドは「フロンティア」だったが、1972年に同社初の乗用全面刈コンバインの発売に伴い、「太郎」というブランドに改名ししばらくの間親しまれる。しかし1985年に再び「フロンティア」のブランドに回帰し今日に到る。」とのことですから、1972年から1985年までの間、ヰセキのコンバインは「太郎」という愛称だったようです。

    「かつて起用されていたCMキャラクター」欄には、「坂上二郎(コンバイン「太郎(2代目)」&「小太郎」シリーズ)」ともあります。

    田植機が「さなえ」、トラクターが「耕太」、コンバインが「太郎」だったんですね。

    何で「太郎」なのかは・・・謎です(笑)

  6. 発動機のシャチさん 愛読者さん こんばんは

    ちょっと待ってください???

    つまり、イセキのトラクターは「耕太」で耕耘機は「大作」、コンバインは「小太郎」ってことですか???
    耕耘機までは「会長井関耕作」って感じでいい流れですけど
    コンバインがどうにも異質な名前になっちゃってますね

    「小太郎」一体どこからきたのでしょう・・・

  7. コンバインが「太郎」で、うちでは歩行型の小さなモデル「小太郎」を使っていました。

    近所に「小太郎」さんっていう爺ちゃんが健在で、ちょっとした苦笑いネタだったのが懐かしいです。

  8. ちなみに、イセキの耕運機には「大作」ってのが
    有ります(笑)

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